聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第十一話 いじめ。ダメ、ぜったい。
[国立王国騎士アカデミー]
ローランド王国の国民であり、尚且つ、その才気が認められた18歳までの若者に入学資格が与えられる。
学園施設は第一から第四までが存在し第一アカデミーが王都エスターテールにある以外はそれぞれ東西南北に分かれて点在している。
一般的に第一から順に優秀な生徒が集まるとされているが、これは単なる噂である。
実際は各アカデミーの学園長が受験の結果を考慮した上で話し合い、それぞれの学園への入学者を独断と偏見で決めている。
卒業後は無条件に『騎士』の称号が与えられ、富と名誉が約束されるばかりではなく、希望とあらば王国直下の騎士団や研究機関などへの配属も可能である。
その為、年に一度、数日間かけて行われる入学試験には国中から多くの若者が集まり、その期間エスターテールは祝祭のような盛り上がりを見せるのだ。
因みに昨年の受験者数は2000人を超えたが、合格者は53人、卒業生に至ってはわずか14人であった。
ー中央区・大神殿(第一試験場)付近ー
(あそこ見ろよ!フランシス・ゴトー様だ!!)
(本当だ!!”軍神”だ!)
(この前の魔人も一人で倒しちまったらしいぜ!)
(((すげー!!)))
「いやはや!今年の試験も盛り上がっておりますなー!歩けませんぞ!ハッハ!」
「そうですかー」
(いやこれ、ゴトーさんが居るからでしょ!)
明らかにゴトーの周りだけ人だかりが出来ているが、彼は試験場付近全体で盛り上がっていると思っているらしい。
「ゴトーさんこっちこっち!」
僕はゴトーを人気の少ない裏路地へ逃がし、体制の整えを図る。
「どうしたのです?年に一度の試験期間ですぞ!若いのだからもっと楽しまなければ!ハッハ!」
「あなたが目立ち過ぎて楽しめません!!」
僕は嘆くようにゴトーに訴えたが、彼は「何のことだかさっぱり」という表情をし、この状況を豪快に笑い飛ばす。
しかし、事実として『約束の時間』が迫っている為、僕たちは出店の立ち並ぶメインストリートを避け、ひと気の少ない裏路地を進む事にした。
「それにしても今年の受験者数は昨年の2倍らしいですぞ!必然的に優秀な者が集まるはず。ユタロウ殿、頑張るのですぞ!」
「はー、、」
自分自身、未だにこの状況を受け止めきれずにいた。
僕がこの世界で目指していたのは前世で言う「どう◯つの森」や「マ◯ノギ」のような「ほのぼ系ロールプレイング」である。
しかし聖剣を抜いてしまったがゆえに「バトルもの」のオプションが追加され、このまま順調に行けば今度は「学園物のラノベ」のような世界観に突入してしまう。
「もしこれが自分を主人公にしたライトノベルなら作者のセンスを疑いますね!」
次の瞬間、ユタロウは寝ていた野良犬の尻尾を気付かぬうちに踏みつけていた。
野良犬は飛び起きると、ユタロウの臀部に『ありったけの力で』噛み付き、満足すると「へっ」と一言だけ残して去って行った。
「何をしておるのじゃ?」
「すびませんでした、、」
(なんだろ!見えざる力を感じたんですが!)
そうこうしている間に裏路地を抜け、受験生の受け付けも兼ねている大神殿の正門前に出た。
やはり混雑はしているが、先ほどの屋台が立ち並ぶエリアとは違い、祭りのような雰囲気は薄く、少し空気がピリついている。
(あそこ見ろよ!フランシス・ゴトーだ!)
(うそ!、、本当だ!すげー)
やはりここでもゴトーの登場にざわめくが、先ほどのような混乱は起きない。
場の緊張感がそうさせないのだった。
受験生が受け付けを済まそうと長蛇の列を作っているのを尻目に、僕たちは受け付け横の関係者入り口を目指していた。
(ゴトー様と一緒に歩いてるの誰だ?)
(まさか弟子とか?)
(あんな奴が弟子になれたら、俺だってなってるよ。迷子かなんかだろ?)
ああ、この感じは懐かしい。
他人から蔑まれるように注目され、聞こえるかどうか、ギリギリのボリューム感で悪口を言われる。
前世の僕なら、腹がキリキリと痛くなってその場にしゃがみ込むか、逃げ出してしまいそうな場面だが、今は違う。
ゴトーさんが居て、今日は一緒じゃないがリーンもいる。一度話しただけのグレゴール所長やユイだって強い味方だと思っている。
なんだか虎の威を借る狐のような感じで、格好はつかないかもしれないが、平穏が崩された中でも、ちゃんと幸福を感じ取れているのだから不思議だった。
「ん?なんだ、、」
受け付け列とは少し離れた所で若者同士が揉めているのが目に入った。
よく見ると対等な争いではなく、3対1の構図で一人が一方的に壁際に追いやられていた。
俗に言う「いじめ」という卑劣な行為は、どの世界でも起こりうる事象なのだ。
「グィスカ!、、それ返して、、、」
「なんだベル?お前は来るなって言ったよな?お前みたいな奴が同郷だと思われたら、受かるもんも受からねえだろ!」
「そんな、、ひどいよ、、」
一際体の大きい、リーダー格であろう少年は「ベル」と呼ぶ少年を突き飛ばすと、手下の一人が「先に俺らが査定してやる」と彼のステートログを開こうとした。
「ん、、なんだ?」
「早くしろよ!コルザ!」
「ふんー!ハァ。このステートログ全然開かないっすよ!」
「貸せ!、、ん!、、おんどりゃー!うおー!、、だめだ。ベルと一緒でステートログまで不良品だぜ」
そう言うと彼は、『重みのある』ベルのステートログを地面に叩きつけた。
パリンという音と共に、擬態魔法「モデル:ロック]の効果が失われる。しかし、このいじめっ子たちは魔法が使用された事にさえ気付いていないようだ。
重みが消え、ふわふわと軽やかに足元へ転がってきたステートログを手に取り開くと、僕はそのステータスに目を通した。
「ふむふむ、、へー!なんだ強いじゃん、ベルル!」
名前:ベルル・コンティニュー
年齢:14歳
職業:魔法師見習い
『ステータス』
心力:D
技力:B
体力:D
筋力:D
脚力:C
魔力:A
知力:B
『スキル』
中級魔法:C・付与師:B・魔法耐性:C
(固有)稀代の献身家:B
(魔力Aって強いよな?リーンと一緒だし)
「、、てめぇナニモンだよ?関係ねぇ奴が出しゃばってる来るんじゃ、、!」
ユタロウは背負っていた聖剣の柄に手をかける。それを見るやグィスカは一瞬たじろいだ。
なぜかベルルも慌てふためいている。
「な、なんだよ!こんなとこでやり合う気かよ!」
「いや?そんな事しないよ。この剣あげるから、ベルルの事許してやってよ」
「はぁ?」
グィスカは目の前に差し出された剣を見る。
少し古いが、きめ細かい職人技とも言える彫刻や細工が施されており、素人目に見ても「業物」の一級品だと分かったらしい。
次第に目が輝いて、元の威勢の良さが戻ってきた。
「ふん、、しょうがねえな!許してやるよ。ほら、さっさと渡しな」
「、、、だめですよ!僕の為にそんな良い剣、、」
ベルルはいちいち勇気を振り絞って発言しているよだった。
つくづく前世の自分を見ているようで無性に肩入れしたくなる雰囲気だ。
「、、そうだな。ただ渡すってだけだと芸がないし、、、わかった!うおりゃっ!」
ガキン!
僕は地面に突き立てた剣を、そのまま思いっきり突き刺した。
グィスカたちは僕の行動にいちいちたじろぐ。
「これが抜けたら持って行って構わない!あと、ベルルは一生受験を受けない!」
「、、ちょ、、ちょっと何言ってるんですか!」
僕はベルルを目で制した。
「ただし、もし抜けなかったら、金輪際ベルルをいじめる事は許さない!もちろん剣も渡さないし、ベルルは普通に受験する!どう?」
グィスカは突き刺さった剣を見てニヤリと笑う。見ただけだと剣先が少し刺さっているだけで、抜く事は容易いようにしか思えなかったからだ。
「いいぜ。約束守れよ!」
「君もね。ふぁーあ、、」
「もう人生終わりましたぁ、、、」
僕が大欠伸をする横で、ベルルは両手を地面に着き絶望している。
「安心しなよ。僕たちの勝ちだ」
「そんなわけないじゃないですか!あんなの僕だって抜けますよ!、、、、え!」
ベルルはユタロウに向けていた目線をグィスカに変えると、剣を抜く事に力の限りを尽くす彼が目に映った。
終いには手下も含め、3人がかりで抜こうとしているが、もちろん[聖剣エクスカリバー]はビクともしない。
「ま、魔法だな!魔法で動かなくしてるんだろ!」
「いえ!この人は魔法なんて使ってません。魔法師見習いの僕が保証します!」
ベルルは興奮しているのか、怯まずに発言する。
「さあ、約束は守ってもらいますよ!」
僕もいじめっ子に一泡吹かせたと言う快感からの、だんだんと調子に乗ってきた。
「さあ、さあ、さぁーあ!」
ゴン!
「、、イテェ!!」
「何やってるのよバカ!!聖剣はオモチャじゃ無いのよ!」
「ユタロウ殿!急に居なくなって心配しましたぞ!」
突如として現れた王国の王女様と、王国軍指揮官にベルルを含めた4人がさらに泡を吹いて驚いた。
「あんたこの私を何分待たせる気!?さっさと『聖剣』抜いて行くわよ!」
「はーい、、ごめんなさい、、」
そう言うとユタロウは地面に突き刺さったエクスカリバーを軽々と抜いて見せ。背中の背負い直した。
「、、あの!お名前は!」
ユタロウたちが歩き出して数歩の所でベルルが呼び止めるように、声を出した。
「ユタロウです!それじゃまた!」
「ユタロウさんか、、」
再び歩き出したユタロウたちが人混みに飲まれて行く姿を見送ると、ベルル走って列の最後尾に並びに行く。
「・・・帰るか」
「「・・・ですね」」
そんな希望と期待に満ち溢れたベルルとは対照的に今年最初の不合格者が生まれるのであった。
こんにちは!
大変お待たせいたしました!
本日、第十話更新です。
書き始めてから1ヶ月程経ちまして、不定期ながらも11話目を迎える事が出来ました!
新しいキャラも続々と登場してきました!
(さすが王都エスターテール!人が多い!笑)
前回登場のユイや、今回登場のベルルなんかは息が長いキャラになりそうな雰囲気です!
引き続き楽しい作品になるように頑張ります!
ローランド王国の国民であり、尚且つ、その才気が認められた18歳までの若者に入学資格が与えられる。
学園施設は第一から第四までが存在し第一アカデミーが王都エスターテールにある以外はそれぞれ東西南北に分かれて点在している。
一般的に第一から順に優秀な生徒が集まるとされているが、これは単なる噂である。
実際は各アカデミーの学園長が受験の結果を考慮した上で話し合い、それぞれの学園への入学者を独断と偏見で決めている。
卒業後は無条件に『騎士』の称号が与えられ、富と名誉が約束されるばかりではなく、希望とあらば王国直下の騎士団や研究機関などへの配属も可能である。
その為、年に一度、数日間かけて行われる入学試験には国中から多くの若者が集まり、その期間エスターテールは祝祭のような盛り上がりを見せるのだ。
因みに昨年の受験者数は2000人を超えたが、合格者は53人、卒業生に至ってはわずか14人であった。
ー中央区・大神殿(第一試験場)付近ー
(あそこ見ろよ!フランシス・ゴトー様だ!!)
(本当だ!!”軍神”だ!)
(この前の魔人も一人で倒しちまったらしいぜ!)
(((すげー!!)))
「いやはや!今年の試験も盛り上がっておりますなー!歩けませんぞ!ハッハ!」
「そうですかー」
(いやこれ、ゴトーさんが居るからでしょ!)
明らかにゴトーの周りだけ人だかりが出来ているが、彼は試験場付近全体で盛り上がっていると思っているらしい。
「ゴトーさんこっちこっち!」
僕はゴトーを人気の少ない裏路地へ逃がし、体制の整えを図る。
「どうしたのです?年に一度の試験期間ですぞ!若いのだからもっと楽しまなければ!ハッハ!」
「あなたが目立ち過ぎて楽しめません!!」
僕は嘆くようにゴトーに訴えたが、彼は「何のことだかさっぱり」という表情をし、この状況を豪快に笑い飛ばす。
しかし、事実として『約束の時間』が迫っている為、僕たちは出店の立ち並ぶメインストリートを避け、ひと気の少ない裏路地を進む事にした。
「それにしても今年の受験者数は昨年の2倍らしいですぞ!必然的に優秀な者が集まるはず。ユタロウ殿、頑張るのですぞ!」
「はー、、」
自分自身、未だにこの状況を受け止めきれずにいた。
僕がこの世界で目指していたのは前世で言う「どう◯つの森」や「マ◯ノギ」のような「ほのぼ系ロールプレイング」である。
しかし聖剣を抜いてしまったがゆえに「バトルもの」のオプションが追加され、このまま順調に行けば今度は「学園物のラノベ」のような世界観に突入してしまう。
「もしこれが自分を主人公にしたライトノベルなら作者のセンスを疑いますね!」
次の瞬間、ユタロウは寝ていた野良犬の尻尾を気付かぬうちに踏みつけていた。
野良犬は飛び起きると、ユタロウの臀部に『ありったけの力で』噛み付き、満足すると「へっ」と一言だけ残して去って行った。
「何をしておるのじゃ?」
「すびませんでした、、」
(なんだろ!見えざる力を感じたんですが!)
そうこうしている間に裏路地を抜け、受験生の受け付けも兼ねている大神殿の正門前に出た。
やはり混雑はしているが、先ほどの屋台が立ち並ぶエリアとは違い、祭りのような雰囲気は薄く、少し空気がピリついている。
(あそこ見ろよ!フランシス・ゴトーだ!)
(うそ!、、本当だ!すげー)
やはりここでもゴトーの登場にざわめくが、先ほどのような混乱は起きない。
場の緊張感がそうさせないのだった。
受験生が受け付けを済まそうと長蛇の列を作っているのを尻目に、僕たちは受け付け横の関係者入り口を目指していた。
(ゴトー様と一緒に歩いてるの誰だ?)
(まさか弟子とか?)
(あんな奴が弟子になれたら、俺だってなってるよ。迷子かなんかだろ?)
ああ、この感じは懐かしい。
他人から蔑まれるように注目され、聞こえるかどうか、ギリギリのボリューム感で悪口を言われる。
前世の僕なら、腹がキリキリと痛くなってその場にしゃがみ込むか、逃げ出してしまいそうな場面だが、今は違う。
ゴトーさんが居て、今日は一緒じゃないがリーンもいる。一度話しただけのグレゴール所長やユイだって強い味方だと思っている。
なんだか虎の威を借る狐のような感じで、格好はつかないかもしれないが、平穏が崩された中でも、ちゃんと幸福を感じ取れているのだから不思議だった。
「ん?なんだ、、」
受け付け列とは少し離れた所で若者同士が揉めているのが目に入った。
よく見ると対等な争いではなく、3対1の構図で一人が一方的に壁際に追いやられていた。
俗に言う「いじめ」という卑劣な行為は、どの世界でも起こりうる事象なのだ。
「グィスカ!、、それ返して、、、」
「なんだベル?お前は来るなって言ったよな?お前みたいな奴が同郷だと思われたら、受かるもんも受からねえだろ!」
「そんな、、ひどいよ、、」
一際体の大きい、リーダー格であろう少年は「ベル」と呼ぶ少年を突き飛ばすと、手下の一人が「先に俺らが査定してやる」と彼のステートログを開こうとした。
「ん、、なんだ?」
「早くしろよ!コルザ!」
「ふんー!ハァ。このステートログ全然開かないっすよ!」
「貸せ!、、ん!、、おんどりゃー!うおー!、、だめだ。ベルと一緒でステートログまで不良品だぜ」
そう言うと彼は、『重みのある』ベルのステートログを地面に叩きつけた。
パリンという音と共に、擬態魔法「モデル:ロック]の効果が失われる。しかし、このいじめっ子たちは魔法が使用された事にさえ気付いていないようだ。
重みが消え、ふわふわと軽やかに足元へ転がってきたステートログを手に取り開くと、僕はそのステータスに目を通した。
「ふむふむ、、へー!なんだ強いじゃん、ベルル!」
名前:ベルル・コンティニュー
年齢:14歳
職業:魔法師見習い
『ステータス』
心力:D
技力:B
体力:D
筋力:D
脚力:C
魔力:A
知力:B
『スキル』
中級魔法:C・付与師:B・魔法耐性:C
(固有)稀代の献身家:B
(魔力Aって強いよな?リーンと一緒だし)
「、、てめぇナニモンだよ?関係ねぇ奴が出しゃばってる来るんじゃ、、!」
ユタロウは背負っていた聖剣の柄に手をかける。それを見るやグィスカは一瞬たじろいだ。
なぜかベルルも慌てふためいている。
「な、なんだよ!こんなとこでやり合う気かよ!」
「いや?そんな事しないよ。この剣あげるから、ベルルの事許してやってよ」
「はぁ?」
グィスカは目の前に差し出された剣を見る。
少し古いが、きめ細かい職人技とも言える彫刻や細工が施されており、素人目に見ても「業物」の一級品だと分かったらしい。
次第に目が輝いて、元の威勢の良さが戻ってきた。
「ふん、、しょうがねえな!許してやるよ。ほら、さっさと渡しな」
「、、、だめですよ!僕の為にそんな良い剣、、」
ベルルはいちいち勇気を振り絞って発言しているよだった。
つくづく前世の自分を見ているようで無性に肩入れしたくなる雰囲気だ。
「、、そうだな。ただ渡すってだけだと芸がないし、、、わかった!うおりゃっ!」
ガキン!
僕は地面に突き立てた剣を、そのまま思いっきり突き刺した。
グィスカたちは僕の行動にいちいちたじろぐ。
「これが抜けたら持って行って構わない!あと、ベルルは一生受験を受けない!」
「、、ちょ、、ちょっと何言ってるんですか!」
僕はベルルを目で制した。
「ただし、もし抜けなかったら、金輪際ベルルをいじめる事は許さない!もちろん剣も渡さないし、ベルルは普通に受験する!どう?」
グィスカは突き刺さった剣を見てニヤリと笑う。見ただけだと剣先が少し刺さっているだけで、抜く事は容易いようにしか思えなかったからだ。
「いいぜ。約束守れよ!」
「君もね。ふぁーあ、、」
「もう人生終わりましたぁ、、、」
僕が大欠伸をする横で、ベルルは両手を地面に着き絶望している。
「安心しなよ。僕たちの勝ちだ」
「そんなわけないじゃないですか!あんなの僕だって抜けますよ!、、、、え!」
ベルルはユタロウに向けていた目線をグィスカに変えると、剣を抜く事に力の限りを尽くす彼が目に映った。
終いには手下も含め、3人がかりで抜こうとしているが、もちろん[聖剣エクスカリバー]はビクともしない。
「ま、魔法だな!魔法で動かなくしてるんだろ!」
「いえ!この人は魔法なんて使ってません。魔法師見習いの僕が保証します!」
ベルルは興奮しているのか、怯まずに発言する。
「さあ、約束は守ってもらいますよ!」
僕もいじめっ子に一泡吹かせたと言う快感からの、だんだんと調子に乗ってきた。
「さあ、さあ、さぁーあ!」
ゴン!
「、、イテェ!!」
「何やってるのよバカ!!聖剣はオモチャじゃ無いのよ!」
「ユタロウ殿!急に居なくなって心配しましたぞ!」
突如として現れた王国の王女様と、王国軍指揮官にベルルを含めた4人がさらに泡を吹いて驚いた。
「あんたこの私を何分待たせる気!?さっさと『聖剣』抜いて行くわよ!」
「はーい、、ごめんなさい、、」
そう言うとユタロウは地面に突き刺さったエクスカリバーを軽々と抜いて見せ。背中の背負い直した。
「、、あの!お名前は!」
ユタロウたちが歩き出して数歩の所でベルルが呼び止めるように、声を出した。
「ユタロウです!それじゃまた!」
「ユタロウさんか、、」
再び歩き出したユタロウたちが人混みに飲まれて行く姿を見送ると、ベルル走って列の最後尾に並びに行く。
「・・・帰るか」
「「・・・ですね」」
そんな希望と期待に満ち溢れたベルルとは対照的に今年最初の不合格者が生まれるのであった。
こんにちは!
大変お待たせいたしました!
本日、第十話更新です。
書き始めてから1ヶ月程経ちまして、不定期ながらも11話目を迎える事が出来ました!
新しいキャラも続々と登場してきました!
(さすが王都エスターテール!人が多い!笑)
前回登場のユイや、今回登場のベルルなんかは息が長いキャラになりそうな雰囲気です!
引き続き楽しい作品になるように頑張ります!
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