裏切られた俺と魔紋の奴隷の異世界冒険譚
73話
宿に着き、セリナが借りた部屋を宿主に確認し、部屋に入った。
部屋ではイーラとセリナとカレンが楽しそうに話していたのだが、俺が入ると会話が止まった。
「「「おかえりなさい。」」」
「おう、ただいま。」
俺に声をかけるために話が止まったわけではないみたいだな。なんせ会話が再開されないし。
まぁ俺以外の仲間同士が仲良いのなら俺を嫌っていようがかまわないけどな。
「あれ?マリニャちゃんは〜?」
「あいつは使えないから売ってきた。」
イーラはふ〜んって顔をしているが、セリナとカレンが驚愕の表情を見せた。
「え!?もう!?まだ数日しか経ってにゃいのに!?」
「あいつは最初から売るつもりだったからな。まぁ最初はこんな直ぐの予定ではなかったが、運がいいことに条件が揃ったからな。」
「そういうことか〜。やっぱりリキ様は悪魔だにゃ〜。」
今の説明でセリナは笑っているが、カレンは顔が引きつっている。
まぁそれが普通の反応か?早く俺に慣れてもらわねぇとな。
「…セリナさん。リキ様に失礼です。」
「アリア。冗談だってことくらい通じてる。だから戦闘訓練で予定以上に可愛がってやるから気にしなくていい。」
「ニャッ!?」
「…それはきっとセリナさんも喜ぶでしょう。」
アリアがクスクスと笑っている。
アリアもだいぶ笑うようになってきたな。いい傾向だ。
「それじゃあ今日の反省会をするからテーブルにつけ。」
アリアたちに指示を出して俺が丸テーブルにつくと、左から時計回りにアリア、セリナ、カレン、イーラと座った。
「まずは今日のクエストをやってみてどうだった?まずはアリア。」
「…力不足を感じました。強い敵になると私の支援魔法があまり効果がないうえに、私では物理攻撃でも魔法攻撃でも役に立てず、いざという時の回復しか出来ない足手まといでした。ごめんなさい。」
「そんなことはない。アリアの回復魔法があるから多少の無茶ができてる場面もある。確かに支援魔法はもうちょい強化されるとありがたいが、レベルが上がれば良くなるだろう。」
「…頑張ります。」
「次はイーラ。」
「イーラの武器で真っ二つに出来ない敵がいっぱいだった!殴ってもビクともしないとか凄かった!魔法も覚えたし、もっとイーラは頑張れるよ!」
「そうだな。期待してる。セリナは?」
「途中から私の攻撃力じゃ全然ダメージを与えられにゃかった〜。避けれてはいたけど、80階からは今じゃまだ無理だったと思う…。クランさんの戦いは凄く参考ににゃったから、早く試したいにゃ〜。」
「それなら明日あたりに時間があったら約束の戦闘訓練をするか。」
「ニャッ!?」
「次はカレンか。」
「みんな強すぎて早すぎてわからなかった。本当にただの足手まといでお荷物だった…。でも、クランさんの刀のおかげでちょっとイメージがわかった気がする。もっと強くなる。なりたい。みんなと戦えるようになりたい。」
「そうか。向上心があるやつは好きだぞ。最初が弱いのは当たり前だ。弱いのを経験しとけば、新しく入ってきたやつが弱かったら教えてやることが出来るって利点があるんだ。急がなくていいから早く強くなれ。」
「リキ様、矛盾してる〜。」
話に水を差したイーラの額を裏拳で殴るが、またペチッと可愛らしい音がなった。
「また殴った!?イーラ間違ってないよ!?」
「俺に無意味な指摘をすることがそもそも間違いだ。気をつけろ。」
「ぶ〜。」
「あとはアオイから見てどうだった?」
「リキ殿がFランクと申すから、たいしたことはないと思っておったが、皆なかなかやるではないか。妾と戦ったときより格段に強くなっとる。周りが強いからと自分を卑下する必要はない。刃物使いの男は異常じゃ。妾でも手も足も出んじゃろう。じゃが、これからも鍛錬に励めば他のSランクの奴らくらいにはすぐになれるじゃろう。」
「思ったより高評価だな。」
「妾からいわせればリキ殿たちの成長具合も異常じゃよ?一緒に行動しとるから、どの程度経験値を得ているかはなんとなくわかるが、それに合わない強さを得ているように感じたぞ。もしかして、打撃に抵抗や耐性を持つ魔物を殴って倒すのが修行かなにかなのか?」
「は?打撃に耐性のある魔物?」
「先のクエストでリキ殿が相手した魔物に何種類かおったではないか。」
いや、知らねぇし気付かねぇよ。
気付かなかったのは俺だけかと思ってアリアを見るが首を横に振られた。ちょっと安心した。
「アオイは見ただけでわかるのか?」
「妾も全てわかるわけではないのぅ。リキ殿の攻撃のダメージ具合を見てわかっただけじゃ。ただ、ダンジョンの深いところにいる魔物はほぼ打撃に強いと思って良いと思うがの。」
じゃあやっぱり俺も本格的に違う武器の練習をしなきゃならねぇじゃねぇか。
「とりあえず皆の意見はわかった。俺も力不足を感じたから、もっと実戦訓練を積むべきだろう。あと、セリナにはそろそろ新しい武器を買うべきだろう。」
「やった!」
「そしたら今日は疲れてるだろうからもう寝ておけ。」
「「「「「はい。」」」」」
それじゃあ俺はステータスチェックでもするかね。
冒険者LV100、奴隷使いLV80、魔術師LV85、魔導師LV50、調合師LV60、魔物使いLV80、戦闘狂LV32、調教師LV60。
冒険者と魔物使いもカンストしたな。
新しく覚えてるスキルは一つだけあるが、たぶんジョブによるスキルだろう。
使い魔解放…契約している使い魔を解放できるスキル。
他はいつも通りなにもない。
やっぱり幸運の加護は得てねえか。
アリアは冒険者LV93、巫女LV61、付与師LV70、魔法使いLV46、魔術師LV31、魔導師LV20だ。
アリアはやっぱりというべきか、新しいスキルを覚えてる。
護る者…護る者がいればいるほどステータスが上がるスキル。
マジパス…指定した相手の魔法攻撃力を少し上昇させる魔法。
既存付与…既に付与したことのある加護を付与することのできるスキル。
イーラはスルーで、次はセリナか。
獣人族LV72、冒険者LV68、暗殺者LV12。
新しいスキルは3つか。
影収納…影の中に物を収納することができるスキル。
幻影…立体化させた影を自分の姿に見せることのできるスキル。
暗視…暗闇の中でも普段と変わらず見えるようになるスキル。
なんかセリナは特殊だけど便利そうなスキルを覚えてるな。
カレンは鬼人族LV47、冒険者LV52だ。
特に覚えてるスキルはないな。
アオイはレベルもスキルも変わらない。
そもそもパーティーに入れてなかったしな。そういやパーティーを編成し直してなかったわ。
まぁ急ぐことでもなかったが、マリナをパーティーから外して、アオイを入れた。
全員に新しく得たジョブがないかと聞くのを忘れたなと思い周りを見るが、さすがに今日は疲れたのか全員寝てる。
俺ももう眠いからどうでもよくなってきた。
いいや、寝よう。
一番窓際のベッドが空いているようだから、そこにダイブする。
明日は町に行って…ダメだ…明日考えよう…。
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