喚んで、育てて、冒険しよう。
159
『・召喚具【牛人の蹄】 ・召喚具【土精霊の指輪】 ・召喚具【岩人形の核】 ・土岩蛇竜の腕輪 ・土岩蛇竜の耳飾り 』
現れたウィンドウには召喚具と、そしてアイテム――恐らく装備品が羅列されている。今回もこの中から選ぶ事となる。 俺は上から順に選択して説明を読む事にする。
『召喚具【牛人の蹄】:召喚獣――ミノタウルスを喚ぶ事の出来る召喚具。優れた腕力を持って敵を薙ぎ払う。魔法は一切使えない。 これにしますか? はい いいえ 』
成程、牛人はミノタウルスの事を指していたのか。確か、以前一緒にフォレストワイアームを倒したアサギリがミノタウルスを召喚していたな。 つまり、アサギリはここのボスを倒して召喚具を手に入れていたと言う訳か。 あと、魔法が使えないという事で物理攻撃に耐性のある敵に対してはジリ貧になってしまうか。 しかし、物理攻撃に耐性がなければその凄まじい剛力を持ってかなりのダメージを与えられるだろう。
『召喚具【土精霊の指輪】:召喚獣――ノームを喚ぶ事の出来る召喚具。土魔法により攻防一体の戦闘を得意とする。ある程度なら魔法に頼らずとも戦える。 これにしますか? はい いいえ 』
土精霊はやはりノームか。ノームは四大精霊として数えられているからファンタジー作品ではだいたい出て来る。 で、ノームは魔法による戦闘を得意とするのか。一応魔法を使わずとも戦えるらしいが、説明文を見るに魔法を使わない戦闘はそこまで得意ではないようだ。
『召喚具【岩人形の核】:召喚獣――ゴーレムを喚ぶ事の出来る召喚具。魔法は使えないが召喚者の命令に完全に従う。故に、命令が無ければ動く事はない。 これにしますか? はい いいえ 』
成程、岩人形はゴーレムか。 このクルルの横穴でもゴーレムのようなモンスター――ミニゴーが出現するが、それとは完全に系統が違うのか? いや、まぁ。モンスターと召喚獣だから違うのは当たり前だが。 説明文を見ると、ゴーレムは指示のみに従って動く召喚獣のようだ。喚び出しただけでは全く動かず、ただ突っ立ているだけか。
まぁ、それだけでも防壁のような役割は果たせるが、それならば土魔法の【アースウォール】や木魔法の【カバーツリー】を使った方がいい。 ただ、魔力が枯渇していたり、詠唱する暇がなければその限りではないか。 緊急時の壁としても使える、と言う認識も持ちながら運用していった方がいいかもしれないな。 さて、召喚具についての説明は見終えたので、今度は特殊なアイテムとやらの説明を見るとしようか。 特殊、というくらいだ。市販のアイテムや現段階でプレイヤーが作成出来るアイテムとは異なる効果を有していると見た。 はてさて、一体どのような効果か。
『土岩蛇竜鱗の腕輪:グランドワイアームの力の籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の鱗護】 を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
「……は?」
何だ、これは? これらを身に着ける事によってパートナーモンスターしか使えない特殊技が使えるようになるのか? 特殊技は……駄目だ。特殊技の部分を触れてもそれ以上説明文が現れない。なので詳しい効果が分からない。 が、一応字面で【土岩蛇竜の鱗護】は防御系の特殊技で、【土岩蛇竜牙の牙撃】は攻撃系の特殊技だという事は窺える。 しかし、ここでふと気になる事がある。 このクルルの横穴をクリアしたプレイヤーは、召喚具の他にこのグランドワイアームの力の籠った装備品を選ぶ事が出来たよな?
確か、ツバキやローズはクリアしていると言っていた。ローズは知らないが、ツバキは召喚具を選んでいない筈だ。もし召喚具を選んでたら、俺達の拠点に遊びに来た時にその召喚獣も呼び出して一緒になって遊ぶだろう。 だが、該当する召喚獣をツバキは持っていない。つまりは、あいつはこの特殊なアイテムのどちらかを手に入れた事になる。 けどなぁ、ツバキがこれらの特殊技を使った所を見た事が無いんだよなぁ。一度も。
一緒に怪盗を追い駆けたり、怪盗の偽者と戦ったり、PvPした時なんかはもし特殊技を使っていればあいつに多少は有利な流れになった場面も散見された。 それでも使わなかったのは、使うには何かしらの条件が必要になってくるか、はたまた単純にツバキの趣味に合わなかっただけか。 こればかりは説明文からは読み取れない。
攻略ウィキには載っていたと思うけど、生憎と装備一覧には目を通していなかったからこれらの存在については知らなかった。 ボス攻略のページでも勝利時に獲得出来るアイテムの部分は見ないようにしているし。見てしまうと楽しみやわくわく感が削がれてしまうからな。お楽しみは最後に取っておきたいのだ。
「……さて」
全てのアイテムの説明を見て、どれを選ぶか考えよう。 召喚獣か特殊なアイテムか。……はてさて今回はどうするべきか。 ミノタウルスとゴーレムは単純に一撃単位の火力を上げる事が出来るので有用であるし、ノームもパーティー内で今の所誰も使えない土魔法を使えるので戦略の幅が広がるようになる。 特殊なアイテムは単純に意表を突けるようになるか。スキルアーツや魔法と違って察知されにくくなる、か? いや、でも装備しているのが分かれば特殊技が使えると知られてしまうな。逆にPvPではそうやって相手に変に意識させる事でペースを乱すのに一役買うか。
「因みに、サクラとアケビはどうしたんだ?」
参考として俺は近くにいる二人に問い掛ける。既に二人は選び終えており、ウィンドウが閉じられている。
「僕は【土精霊の指輪】を選びました。土魔法があれば防御手段が増えますので」「私は【岩人形の核】。ゴーレムパワーで火力補強」
成程、サクラはノームを、アケビはゴーレムを選んだ訳か。二人らしいと言えば二人らしい選択か。 さて、俺はどうするか。 暫し悩み、俺はどれにするか決めてウィンドウを操作する。
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
俺は【土岩蛇竜牙の耳飾り】を選択し、それを手に入れる。 意表がつける攻撃手段が欲しかったのと、あと単純にどのような攻撃方法なのかきになったのでこれを選んだ次第だ。
「「…………」」
で、何故かサクラとアケビの二人はやや口を開けて俺をじっと見てくる。表情としては、やや茫然と言った感じか?
「どうした?」「あ、いえ」「オウカ君はそれを選ぶんだと」「別にいいだろ」「うん。オウカさんが自分で選んだので僕達がどうこう言う資格はないんですけど……」「その特殊技が使えるようになるのはずっと先だよ?」「……何?」
俺はアケビの言葉を訊いて直ぐにメニューを開き、アイテム欄から先程入手した【土岩蛇竜牙の耳飾り】の説明を確認する。
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠められた装備。装備する事により特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使用する事が出来るようになる。(武器の装備不可) 耐久度――/―― ※レベル150以上で装備可能』
「…………」
おい、ちょっと待て。装備が可能になるレベルの桁が可笑しいんじゃないか、これ?
「これの事、知ってたのか?」「はい」「うん」 俺の問いに、二人は同時に頷く。 知っていたのか。だから、サクラとアケビは特殊なアイテムを選ばなかったのか。
現れたウィンドウには召喚具と、そしてアイテム――恐らく装備品が羅列されている。今回もこの中から選ぶ事となる。 俺は上から順に選択して説明を読む事にする。
『召喚具【牛人の蹄】:召喚獣――ミノタウルスを喚ぶ事の出来る召喚具。優れた腕力を持って敵を薙ぎ払う。魔法は一切使えない。 これにしますか? はい いいえ 』
成程、牛人はミノタウルスの事を指していたのか。確か、以前一緒にフォレストワイアームを倒したアサギリがミノタウルスを召喚していたな。 つまり、アサギリはここのボスを倒して召喚具を手に入れていたと言う訳か。 あと、魔法が使えないという事で物理攻撃に耐性のある敵に対してはジリ貧になってしまうか。 しかし、物理攻撃に耐性がなければその凄まじい剛力を持ってかなりのダメージを与えられるだろう。
『召喚具【土精霊の指輪】:召喚獣――ノームを喚ぶ事の出来る召喚具。土魔法により攻防一体の戦闘を得意とする。ある程度なら魔法に頼らずとも戦える。 これにしますか? はい いいえ 』
土精霊はやはりノームか。ノームは四大精霊として数えられているからファンタジー作品ではだいたい出て来る。 で、ノームは魔法による戦闘を得意とするのか。一応魔法を使わずとも戦えるらしいが、説明文を見るに魔法を使わない戦闘はそこまで得意ではないようだ。
『召喚具【岩人形の核】:召喚獣――ゴーレムを喚ぶ事の出来る召喚具。魔法は使えないが召喚者の命令に完全に従う。故に、命令が無ければ動く事はない。 これにしますか? はい いいえ 』
成程、岩人形はゴーレムか。 このクルルの横穴でもゴーレムのようなモンスター――ミニゴーが出現するが、それとは完全に系統が違うのか? いや、まぁ。モンスターと召喚獣だから違うのは当たり前だが。 説明文を見ると、ゴーレムは指示のみに従って動く召喚獣のようだ。喚び出しただけでは全く動かず、ただ突っ立ているだけか。
まぁ、それだけでも防壁のような役割は果たせるが、それならば土魔法の【アースウォール】や木魔法の【カバーツリー】を使った方がいい。 ただ、魔力が枯渇していたり、詠唱する暇がなければその限りではないか。 緊急時の壁としても使える、と言う認識も持ちながら運用していった方がいいかもしれないな。 さて、召喚具についての説明は見終えたので、今度は特殊なアイテムとやらの説明を見るとしようか。 特殊、というくらいだ。市販のアイテムや現段階でプレイヤーが作成出来るアイテムとは異なる効果を有していると見た。 はてさて、一体どのような効果か。
『土岩蛇竜鱗の腕輪:グランドワイアームの力の籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の鱗護】 を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
「……は?」
何だ、これは? これらを身に着ける事によってパートナーモンスターしか使えない特殊技が使えるようになるのか? 特殊技は……駄目だ。特殊技の部分を触れてもそれ以上説明文が現れない。なので詳しい効果が分からない。 が、一応字面で【土岩蛇竜の鱗護】は防御系の特殊技で、【土岩蛇竜牙の牙撃】は攻撃系の特殊技だという事は窺える。 しかし、ここでふと気になる事がある。 このクルルの横穴をクリアしたプレイヤーは、召喚具の他にこのグランドワイアームの力の籠った装備品を選ぶ事が出来たよな?
確か、ツバキやローズはクリアしていると言っていた。ローズは知らないが、ツバキは召喚具を選んでいない筈だ。もし召喚具を選んでたら、俺達の拠点に遊びに来た時にその召喚獣も呼び出して一緒になって遊ぶだろう。 だが、該当する召喚獣をツバキは持っていない。つまりは、あいつはこの特殊なアイテムのどちらかを手に入れた事になる。 けどなぁ、ツバキがこれらの特殊技を使った所を見た事が無いんだよなぁ。一度も。
一緒に怪盗を追い駆けたり、怪盗の偽者と戦ったり、PvPした時なんかはもし特殊技を使っていればあいつに多少は有利な流れになった場面も散見された。 それでも使わなかったのは、使うには何かしらの条件が必要になってくるか、はたまた単純にツバキの趣味に合わなかっただけか。 こればかりは説明文からは読み取れない。
攻略ウィキには載っていたと思うけど、生憎と装備一覧には目を通していなかったからこれらの存在については知らなかった。 ボス攻略のページでも勝利時に獲得出来るアイテムの部分は見ないようにしているし。見てしまうと楽しみやわくわく感が削がれてしまうからな。お楽しみは最後に取っておきたいのだ。
「……さて」
全てのアイテムの説明を見て、どれを選ぶか考えよう。 召喚獣か特殊なアイテムか。……はてさて今回はどうするべきか。 ミノタウルスとゴーレムは単純に一撃単位の火力を上げる事が出来るので有用であるし、ノームもパーティー内で今の所誰も使えない土魔法を使えるので戦略の幅が広がるようになる。 特殊なアイテムは単純に意表を突けるようになるか。スキルアーツや魔法と違って察知されにくくなる、か? いや、でも装備しているのが分かれば特殊技が使えると知られてしまうな。逆にPvPではそうやって相手に変に意識させる事でペースを乱すのに一役買うか。
「因みに、サクラとアケビはどうしたんだ?」
参考として俺は近くにいる二人に問い掛ける。既に二人は選び終えており、ウィンドウが閉じられている。
「僕は【土精霊の指輪】を選びました。土魔法があれば防御手段が増えますので」「私は【岩人形の核】。ゴーレムパワーで火力補強」
成程、サクラはノームを、アケビはゴーレムを選んだ訳か。二人らしいと言えば二人らしい選択か。 さて、俺はどうするか。 暫し悩み、俺はどれにするか決めてウィンドウを操作する。
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠った装備。身に着ける事によって特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使う事が出来るようになる。 これにしますか? はい いいえ 』
俺は【土岩蛇竜牙の耳飾り】を選択し、それを手に入れる。 意表がつける攻撃手段が欲しかったのと、あと単純にどのような攻撃方法なのかきになったのでこれを選んだ次第だ。
「「…………」」
で、何故かサクラとアケビの二人はやや口を開けて俺をじっと見てくる。表情としては、やや茫然と言った感じか?
「どうした?」「あ、いえ」「オウカ君はそれを選ぶんだと」「別にいいだろ」「うん。オウカさんが自分で選んだので僕達がどうこう言う資格はないんですけど……」「その特殊技が使えるようになるのはずっと先だよ?」「……何?」
俺はアケビの言葉を訊いて直ぐにメニューを開き、アイテム欄から先程入手した【土岩蛇竜牙の耳飾り】の説明を確認する。
『土岩蛇竜牙の耳飾り:グランドワイアームの力が籠められた装備。装備する事により特殊技【土岩蛇竜の牙撃】を使用する事が出来るようになる。(武器の装備不可) 耐久度――/―― ※レベル150以上で装備可能』
「…………」
おい、ちょっと待て。装備が可能になるレベルの桁が可笑しいんじゃないか、これ?
「これの事、知ってたのか?」「はい」「うん」 俺の問いに、二人は同時に頷く。 知っていたのか。だから、サクラとアケビは特殊なアイテムを選ばなかったのか。
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