喚んで、育てて、冒険しよう。
another 10
プライベート用のDGを被り、『Summoner&Tamer Online』の世界へと降り立ったリオカは辺りを見渡す。 降り立った場所はシンセの町の中央広場。今回に限り、開始場所を他の町や自身の拠点を設定しているプレイヤーも全て、イベントに参加しているのであればここに直接来るように細工が為されている。 また、イベント直前まで別の場所にいても、開始十秒前には強制的に広場へと転送される。 逆に、イベントに参加しない者はイベント開催中はこの広場へと来る事が出来なくなる。
その理由は別領域への移動の為だ。 前回のイベントや今回のイベントの開催地は広場ではないが、実際のフィールドで行われるものでもない。別領域に用意した同種のフィールドを用いる事で、イベント不参加のプレイヤーでもイベント参加プレイヤーの存在を気にせずに何時も通りプレイが出来る。 別領域への移動後は即座にVRアクセラレーターの使用が行われる。現在の技術ではそれらを同時に行う事は負荷の関係上出来ない。 それを抜きにしても、VRアクセラレーターと言う体感時間を引き延ばす装置をより安全に使う為には、なるべく狭い範囲での使用が求められる。また、有効範囲の指定も同一領域下では緻密な計算及び配慮が必要となる。 そう言った事情もあるので、別領域に移動させてからVRアクセラレーターを使用した方がコスト的にも技術者の負担的にも少なく済むのだ。
「ふむ」
シンセの町へと降り立ったリオカは改めて辺りを見渡す。ざっと見た感じでは前回よりも参加プレイヤーの数が気持ち大目に見える。 前回のイベントはソロまたはパーティーで異なる催しを行ったが、両方ともに参加して見たかったという声が上がっていあ。 なので、今回は一つだけ。運動会と言う見知らぬプレイヤーと競い合い、見知らぬプレイヤーと共に協力するある意味で懇親的なイベントだ。 とは言っても、いくら懇親イベントだといってもそりが合わない者達も当然いるだろう。そういったプレイヤー達をなるべく同じ組にしないように開発運営はぎりぎりまで頑張った。 正確には、参加者の今までのプレイデータと、アップデートによって追加された感情の変化を読み取る事が出来る機能等を駆使して、なるべく打ち解けやすい相手と同じ組になるように仕向けた。 また、それによって戦力差が一点集中しないようにと細心の注意を払い、四つの組の戦力バランスはほぼ均等になった。
その結果故に、リオカは弟とは別の組となった。まぁ、今回の組分けにリオカは手を出していないので、意図的に同じ組または別の組に配置する事は出来なかった訳だが。 リオカの属する紅組には知り合いが何人かおり、彼女が時間がある時にパーティーを組んでいるプレイヤーもいる。
「ギーファ、行くぞ」「ぎー」
取り敢えず、知り合いと合流でもしようかと、パートナーのギーファを伴って移動を開始する。
「あ、大盾のお姉さんっ!」
知り合いを探していると、大きな声を上げて手を振りリオカの方へと女の子走り寄ってくる。 女の子の後ろを女性プレイヤーが一人と男性プレイヤー四人がついて来る。 彼等は『Summoner&Tamer Online』でも屈指の実力者集団である機甲鎧魔法騎士団。そして、リオカへと走り寄ってくる女の子こそが機甲鎧魔法騎士団の団長であるモミジだ。
「大盾のお姉さん、ギーファ君、お久しぶりですっ!」「あぁ、久しぶりだな」「ぎーっ」
元気いっぱいに挨拶するモミジに、リオカとギーファは優しげに微笑みながら挨拶を返す。 リオカとモミジ――と言うよりも機甲鎧魔法騎士団は以前より何度か交流があった。その際にモミジはリオカに懐き、ギーファとは友達になっている。
「お久しぶりです」「久しぶりですね」
後から来た保護者ことローズや副団長のハイドラ以下他の団員も口々に挨拶を交わしていく。
「大盾のお姉さんもイベント参加するんだよね?」「あぁ、そうだよ」「私達は黒組なんだ! 大盾のお姉さんとギーファ君と一緒の組なら嬉しいんだけど、お姉さん達の組の色は?」「モミジちゃん達は黒か。残念だけど、私とギーファは紅なんだ」「あ、そうなんだ……」
モミジはリオカと一緒の組でない事にしゅんと気を落とす。後ろの方でわたわたと慌てつつ何故が御満悦のハイドラ以下男性プレイヤーを無視しつつ、リオカは目線を紅葉に合わせる。
「一緒の組じゃないのは私もギーファも残念だけど、このイベントは組み対抗戦でもあるし、一緒になって競えあえる事もあるだろ? その時は、全力でやりあおう。な?」「……そうだね! うん、もし大盾のお姉ちゃんと競う事になっても全力でやるからね!」「あぁ、その心意気だ」
『午前九時になりました。これより運営主催大規模イベントを開始いたします』
と、ここで時間となり、開発運営からアナウンスが流れる。
「では、またな」「ぎーっ」「うん、またね!」
リオカとギーファ、モミジ達機甲鎧魔法騎士団は別れを告げ、中央広場にいるプレイヤーは光に包まれてそれぞれの組の練習場所へと移動させられる。
その理由は別領域への移動の為だ。 前回のイベントや今回のイベントの開催地は広場ではないが、実際のフィールドで行われるものでもない。別領域に用意した同種のフィールドを用いる事で、イベント不参加のプレイヤーでもイベント参加プレイヤーの存在を気にせずに何時も通りプレイが出来る。 別領域への移動後は即座にVRアクセラレーターの使用が行われる。現在の技術ではそれらを同時に行う事は負荷の関係上出来ない。 それを抜きにしても、VRアクセラレーターと言う体感時間を引き延ばす装置をより安全に使う為には、なるべく狭い範囲での使用が求められる。また、有効範囲の指定も同一領域下では緻密な計算及び配慮が必要となる。 そう言った事情もあるので、別領域に移動させてからVRアクセラレーターを使用した方がコスト的にも技術者の負担的にも少なく済むのだ。
「ふむ」
シンセの町へと降り立ったリオカは改めて辺りを見渡す。ざっと見た感じでは前回よりも参加プレイヤーの数が気持ち大目に見える。 前回のイベントはソロまたはパーティーで異なる催しを行ったが、両方ともに参加して見たかったという声が上がっていあ。 なので、今回は一つだけ。運動会と言う見知らぬプレイヤーと競い合い、見知らぬプレイヤーと共に協力するある意味で懇親的なイベントだ。 とは言っても、いくら懇親イベントだといってもそりが合わない者達も当然いるだろう。そういったプレイヤー達をなるべく同じ組にしないように開発運営はぎりぎりまで頑張った。 正確には、参加者の今までのプレイデータと、アップデートによって追加された感情の変化を読み取る事が出来る機能等を駆使して、なるべく打ち解けやすい相手と同じ組になるように仕向けた。 また、それによって戦力差が一点集中しないようにと細心の注意を払い、四つの組の戦力バランスはほぼ均等になった。
その結果故に、リオカは弟とは別の組となった。まぁ、今回の組分けにリオカは手を出していないので、意図的に同じ組または別の組に配置する事は出来なかった訳だが。 リオカの属する紅組には知り合いが何人かおり、彼女が時間がある時にパーティーを組んでいるプレイヤーもいる。
「ギーファ、行くぞ」「ぎー」
取り敢えず、知り合いと合流でもしようかと、パートナーのギーファを伴って移動を開始する。
「あ、大盾のお姉さんっ!」
知り合いを探していると、大きな声を上げて手を振りリオカの方へと女の子走り寄ってくる。 女の子の後ろを女性プレイヤーが一人と男性プレイヤー四人がついて来る。 彼等は『Summoner&Tamer Online』でも屈指の実力者集団である機甲鎧魔法騎士団。そして、リオカへと走り寄ってくる女の子こそが機甲鎧魔法騎士団の団長であるモミジだ。
「大盾のお姉さん、ギーファ君、お久しぶりですっ!」「あぁ、久しぶりだな」「ぎーっ」
元気いっぱいに挨拶するモミジに、リオカとギーファは優しげに微笑みながら挨拶を返す。 リオカとモミジ――と言うよりも機甲鎧魔法騎士団は以前より何度か交流があった。その際にモミジはリオカに懐き、ギーファとは友達になっている。
「お久しぶりです」「久しぶりですね」
後から来た保護者ことローズや副団長のハイドラ以下他の団員も口々に挨拶を交わしていく。
「大盾のお姉さんもイベント参加するんだよね?」「あぁ、そうだよ」「私達は黒組なんだ! 大盾のお姉さんとギーファ君と一緒の組なら嬉しいんだけど、お姉さん達の組の色は?」「モミジちゃん達は黒か。残念だけど、私とギーファは紅なんだ」「あ、そうなんだ……」
モミジはリオカと一緒の組でない事にしゅんと気を落とす。後ろの方でわたわたと慌てつつ何故が御満悦のハイドラ以下男性プレイヤーを無視しつつ、リオカは目線を紅葉に合わせる。
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