クラス転移で仲間外れ?僕だけ◯◯◯!

TNKt_k

175話 閑話 門番の非日常

俺の名前はギムル。
ダレン王国の海の貿易拠点ガレンディアで城壁の門番をしている。
門番と聞けば忙しい仕事だと思うだろうし、基本的にはそれに間違いはない。
だが、俺はこの街の東門担当。
こっちにあるのは高ランクの魔物と人間に敵意むき出しの獣人族が蔓延る大樹海。
西門と南門は商人や観光客で列が出来るが、こっちの門を使うのは木こりやそこそこ腕の立つ冒険者等の森に用事のある市民だけだ。
故に顔馴染みだし、全員街の人間なので通行料も無し、本当に楽な仕事だ。
そうであった筈なんだが………。

彼等は森から現れた。
四人組の男女、男は少し地味だが優しそうな青年で怪しいところは特になかった。
だが、他の3人がおかしい!
緑色髪の少女とピンクの髪の少女の立ち振舞いは少なくとも市民のそれではない。
そして白髪ののメイド……。
その3人があり得ない程の美貌の持ち主。
そんな人間が地元民しか使わない森方面に向いた門に、しかも明かに高貴な血筋の人間が馬車を使わず歩きで………だと!?
とてもじゃないが隣街から歩いてくるなんてあり得ないし、もし、あり得てもこっちの東門は使わねぇ。
取り敢えずは話を聞こう。

「ようこそ!海と貿易の街ガレンディアへ。通行料は40シルバー、ここの市民なら市民証を見せてくれ。」

すると彼等は金がない、魔物の素材あるからこれで金を工面したい。と言った。

森で暮らしていただと!
森と言えば大樹海!高ランクの魔物と獣人族を恐れてBランク冒険者でも日帰りでしか挑めない魔境。
そこに暮らしていた!この四人が!?あり得るか!?
適当に相づちを打ちながら特にこの場に合っていない二人を観察していると、緑色の髪の少女が一瞬殺気をだした。

「そんな視線さらされるの嫌なんだけど!そんなに気になるなら実力見せてあげようか!?」

コイツヤバイ!
俺も元Bランク冒険者。一流と呼ばれる領域の実力者。
Aランク冒険者にも会ったことあるし、Sランク冒険者とも一度だけ会った。
だが、コイツの殺気はそいつらより強い。
実力は分からんが、俺より強いのは確実だろう。
ここで判断を誤れば俺は殺される!?

「いやいや、流石にお嬢さんに手は出せないよ。………まぁいいか。案内するから着いてきてよ。…………ちょいこの人達を案内するから一人で門番頼めるか?」

どうせこんな奴やらが暴れたら門番がどうにかできる訳がない。
そもそもコイツらは怪しいだけで中に入るのは拒めない。
今は怒らせないようにして一緒行動し、街の中でも様子を観るしかねえ。
こっちは内心心臓バクバクなんだよ!

適度な雑談を挟みながらギルドに到着だ。
ここまでよく冷静に話せてたな俺!
ここのギルドマスターは元Sランク冒険者この街最高戦力の1人、英雄と呼ばれる強さの持ち主。
隙を見て相談するしかねぇ!

するとどうやらコイツらはまだ冒険者登録していないらしい!
しめた!冒険者登録は個室に入ってする筈!その間に相談だ。
そう言えば、コイツらは素材は持ってないが?

「あぁー、[ボックス]を持っててそれに入れてるんだよ。」

[ボックス]かあ。良いなぁ。
俺も持ってたら冒険者生活が楽だったんだろうなぁ。

ギルドに入ると受付嬢のサリーちゃんがいる。
サリーちゃんはわりと新入りだから不安が残るが………。
サリーちゃんにギルドマスターを呼んでもらおうとするが、どうやらギルドマスターがいないらしい。
使えねぇ!なんでこんなときにいないんだよ。
サリーちゃんは特に気負いせず、四人を連れて個室に入る。
………………なにもないとは思うが………何かあれば俺が飛び込むしかねぇ。

数分後、なにも起こらず無事に出てくる。安心したぜ。
その後買取カウンターへ案内する。
そこでワイバーンの素材を出したからビックリしたが、どうやら師匠が仲間と倒したものらしい。
ワイバーンはAランク級の魔物だし、空中戦ではSランク冒険者でも手こずる奴だ。
そう簡単には倒せない。
俺もかつて50人で挑んでなんとか辛勝を勝ち取った相手だ。

つつがなく買取も終わり名前を聞いて別れる。
取り敢えず、何か暴れるつもりはないようだし、そこそこ良い奴っぽかった。
何か悪事を起こすことはないと信じたい。
これ以上の干渉は止めとくか。

そう言えばサリーちゃんは強さを感じていなかったようだが買取のおっさんはどうだろう。

「あいつらどう思いますか?」

「あいつらは、ワイバーンの中でも一際良いところの素材を持ってきていた。」

それがなんか意味があるのか?

「牙は一番鋭い2本、爪は6本全て、鱗は背中の一番固いところ、全てが一番良いところだ。奴等は師匠が仲間と倒したと言ったが、ワイバーンとの命懸けの戦いをして分け前に良い素材全部1人にくれてやる奴なんて居ねぇ。」

確かに!
かつて俺らが倒したときは分け前は鱗10枚だけ、それもそこそこ柔らかい横腹付近のもの、それで1枚100シルバーで諸経費差し引いたらたいして金が残らなかった記憶がある。

「それに奴等は昔師匠が倒したと言ったが、この鱗………少し血の匂いがする。仮に匂いは他の素材から付いたものだとしても、この鱗の内側にある血管。」

よく見ると鱗の内側にうっすら血管がある。

「ワイバーンやドラゴンは鱗に血管が通っているんだが、倒してから一週間は血が抜けず赤いままなんだ。そして時間経過で色が抜ける。品質には影響はないから普段気にするものではないが、少なくとも、一週間以内に倒したもの…………そして嘘をわざわざついたと言うことは倒したのは恐らく奴等…………。それも恐らく四人で。取り敢えず俺からギルド長に連絡しておく。」

四人でワイバーン討伐…………。
最低でもAランク冒険者、もしかしたらサリーちゃんが言ってた通り、Sランク冒険者になるかもな。


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コメント

  • TNKt_k

    挿し絵のコードが残ってて吸いませんでした。
    消しました。ありがとうございます。

    沢山の感想ありがとうございます。
    本当にいつも感謝してます。ありがとうございます

    3
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