家族に愛されすぎて困ってます!
26話 親父の不屈の心
「おー!結構広いね」
 俺達近衛家は、銭湯で行われていた湯もみ体験や豊かな自然に囲まれた景観を眺めた後、今夜泊まる旅館に来ていた。
「6人部屋だから結構広いんだね」
 この旅館には「家族プラン」というものがあり、5人以上の家族のお客には広い部屋に晩御飯、朝食付き、さらに格安の値段で泊まれる。
 ネットでも有名な旅館だ。
 そんなところに泊まらせてくれる親父に感謝だな。
「わーい!お部屋広ーい!ゴロゴローゴロゴロー」
「こら真子。暴れるな」
 部屋の広さに真子も感激しているようだ。
「晩御飯は......7時ね。まだ、時間もあるみたいだから、お土産でも見に行かない?春ちゃん」
 荷物を置き、腕時計で時間を確認した母さんがそんな提案をした。
「そうだね、今は5時半。まだ余裕もあるし見に行こうか」
「春くんが行くなら、行くー!」
「私も行くわ」
「お姉ちゃんもたーくんと行く!」
「真子も!」
 俺の他に賛成が4人。よしっ、見に行くか。
「待ぁぁぁあてぇぇえぇ!!!」
「うわぁ!」
 母さん達と部屋を出ようと玄関へ向かう途中、親父が前にスライディングして割り込んできた。
「お、親父?」
「お前ら、何しにここまで来たんだ?」
「何しにって......観光?」
「違ぁぁぁあぁあぁう!!」
「あの、うるさいんで、永遠に黙ってもらっていいですか?」
「ここは温泉街!温泉に入るために来たんだ!」
「ま、まぁ、そうとも言えるか」
「ならば、温泉に入ろうじゃないか!」
「まぁでも、晩御飯食べた後でもいいんじゃないか?」
「お前に意見など求めてない!!!」
「何で!?」
「どうだ、母さん......俺の背中を流してくれないか?」
「汚い」
「ぐはぁ!」
 親父......簡単な話だ。清潔に生活を送れば済む話だ......。
「瑠美、瑠奈......お前達なら、やってくれるよな......?」
「何の話ですか?」
「ていうか、あなた誰だっけ」
「うわぁぁぁあぁあぁぁ!!」
 やめたげて!泣いちゃうから!......親父、泣いちゃうから!
 「さ、里美......お前ならーー」
「警察呼びますよ?」
「またかぁぁぁぁあぁあぁ!!」
 なんか、前にも警察呼ぼうとしてなかったっけ......?
「真............子......助けて......」
「真子はね。お兄ちゃんのお背中流したい」
「もうやめたげて!親父の背中は俺が流すから!」
 親父はいつまでも、諦めない。
ーー作者から
  主人公のお父さんはいつも酷い目にあっていますね。自分で書いておいてなんですが、最近可哀想に思えてきました。なので、いつかお父さんが活躍するような話をつくろうと思ったりします。
  乞うご期待をーー
p.s.  アイコン変えました。
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コメント
西東 北南(さいとう ぼくなん)
面白かったです!
ペンギン
面白いです!父親はまぁ、こんな感じでもいいかなぁ...なんて思ってますw
これからも、頑張ってください!応援しています!
月夜雷都
初めまして!いつも、毎回のように繰り返し読んでしまうほど、楽しかったり笑えたりします!父親もまたかみたいな感じで面白くて次の話しも楽しみでたまらないです!この主人公を好きになるクラスメイトの女の子とかも出てきたらどうなるんだれろうとか思ってしまいます!良かったらそういう展開も読んでみたいです!楽しみにしています!頑張って下さい