家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

33話 悩み事は程々に


「はぁ......」

 瑠美が春鷹の部屋を出た後、春鷹はぎこちないため息をついた。

「とりあえず、風呂でも入るか」

 春鷹は風呂場へ移動した。







「ふぅ〜」

 設定温度40度の風呂に浸かり、旅の疲れを癒そうとしたが、春鷹の頭の中は全然リラックス出来なかった。
 考えている事は一つだけ。瑠美のことだ。
 あの答えは合っていたのだろうか。
 それは否だ。
 現に春鷹の心は傷ついている。瑠美に言った言葉が深く、深く、春鷹の心に傷を負わせた。未だそれは消えておらず、ずっと心に残っている。

「はぁ......」

 これで何度目のため息をついたのかも春鷹には分からなかった。いや、どうでもよかったのだ。

「暑い......」

 気がつけば20分も風呂に浸かっていた。流石にこれ以上入っていたらのぼせるので、春鷹は風呂出た。
 身体を拭き、髪を乾かし、パジャマのジャージを着て、風呂場を後にする。
 それでも、考えることは瑠美の事だった。







「......ちゃん!............兄ちゃん!!......お兄ちゃん!!」
「んっ......んん......?」
「おはよう、お兄ちゃん!」
「あぁ......真子、おはよう」

 気づけば朝になっていた。
 昨日の夜、風呂に入った後すぐに寝てしまったらしい。
 なんだか頭がクラクラする。

「朝ごはん冷めちゃうから、早く降りてきてね!」
「うん、すぐ行くよ」

 真子は春鷹の上から降り、春鷹の部屋を小走りで出た。
 真子の後ろ姿を見送ったが、春鷹の体は動く気がしなかった。
 頭が痛い、身体がだるい、関節が痛い。
 でも、今日は平日。
 高校生は学校に行かなくてはならない。
 無理やり体を起こし、リビングへ向かう。


「春ちゃん、おはよう!」
「うん、おはよう......」
「春ちゃん?」

 春鷹の足取りはふらついていた。まるで泥酔したおっさんのように、千鳥足になっていた。

「春ちゃん!!!」
「春くん!!!」

 春鷹は自分の体をコントロール出来ず、その場で倒れてしまった......。





「風邪ね」

 母さんは体温計を春鷹に見せる。
 そこには37.5°cとデジタル文字で書かれてあった。
 どうやら春鷹は風邪を引いたらしい。

「春ちゃん、今日は安静にね」
「う、うん......」
「学校にも連絡入れておくから」
「ありがとう母さん」
「春ちゃんは寝ててね」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」


 その後、春鷹の熱は3日経っても下がらなかった。







ーー諸事情による訂正

第9話  許嫁        

「俺が3歳ぐらいの時、」を「俺が5歳ぐらいの時、」に変更させて頂きました。
 すみません。ご確認の方よろしくお願いします。




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