家族に愛されすぎて困ってます!

甘草 秋

42話 初日から修羅場!?


「ではお嬢様」
「はい。下がっていいですよ」
「失礼します」

 黒いスーツに身を包んだ中年男性。おそらく奈々の執事とかではないだろう。その人を奈々は玄関で見送っていた。執事らしき人は、白のリムジンの運転席に座り走り去って行った。

「さて、これからよろしくお願いしますね!お兄様♡」

 奈々の部屋は俺の部屋の隣ということになった。家族会議での激しい討論の末、血縁関係を武器にした奈々は圧倒的優勢だった。その結果、部屋は俺の隣になったのだ。
 その後、俺は晩御飯を食べ、お風呂も済ました。
 俺が入浴してる途中、奈々が入ってこようとしたので、「後で何でもしてあげるから!」と言ったら、スキップしながら出てってくれた。まぁ、何でもしてあげるっていっても本当に何でもしてあげるわけじゃないから大丈夫だよね......?


「はぁー。なんか今日は色々あったなぁ」

 今日のことを振り返りながらベッドに仰向けになる。疲れが一気にきたのか、数秒で眠りについてしまった。


6月24日土曜日  朝8時30分

「ん......んん......な、なんか、右腕が......痛い」

 右腕が痺れ、上手く起き上がれない。

「いててて......なんだ?............って、えぇ!?」

 そこには女性がいた。
 艶のある黒髪に真っ白な肌、目鼻立ちは整っていて、腰のくびれもキュッとしまっている。
 いや、そんなことより、もっと大事なことがある。
 こいつは服を着ていない......!!!
 下着すら付けていないのだ......!!

「なん......だと。まさか......俺は寝ている間に大人の階段を登ってしまったのか......?どうしよう、まったく覚えがない......」

 俺は昨日の夜の事を思い出そうと頭をひねっている間も、隣の子はスースーと可愛い寝息を立てながら気持ちよさそうに寝ていた。

「くそっ、俺の右腕を腕枕にしたな。いててて、お陰で痺れていたいな」
「スー......スー......」
「おーい、そこの君、ていうか奈々。起きろー」
「スー......スー......」
「お願いです!起きてください!」
「んん......?......あ、おはようございます。お兄様♡」
「おはようございますじゃないだろ、何で奈々が俺のベッドにいるんだ?」
「いいじゃないですか、兄弟なんですし♪」
「全然よくねぇよ!いいか、俺は兄だとしても男なんだぞ!いつお前の事を襲うか分からない狼なんだぞ!」
「私は別にお兄様なら構いません♪むしろ大歓迎です♡それに、お兄様昨日言いましたよね?」
「何を?」
「何でもしてあげるって」

 あー確かに言いましたね。

「それが、これ?」
「はい。私と一緒に一晩過ごす、です♪」
「まぁ、それは百万歩譲っていいとしても......」
「譲りすぎじゃないですか!?」
「裸はだめだろ!!」
「何でですか?」
「何でって......こんなとこ見られたら、絶対に誤解され......」

 その時、ガチャリとドアが開いた。

「春くん、もう朝だよ?土曜日だからって、そんなに寝てちゃ生活リズムが......」
「あっ......」

 瑠美姉が入ってきた。きっと俺を起こしに来てくれたのだろう。それはとてもありがたいんだけど......。

「......春くん......」
「は、はいっ!」

 俺はすぐさま奈々をどかし、ベッドから飛び起き、瑠美姉の前に正座した。

「......春くん、おはよう」
「......目が、笑ってないです......」

 奈々がはいってからの新生活初日は、波乱で幕を開けた。





 なんと......PVが1万を超えました!!ほんっとうにありがとうございます!!!!
 僕の作品を沢山の人が見てくれて、光栄な限りです!!
 投稿頻度はあまり芳しくありませんが、暖かい目で見守ってくれると嬉しいです!!
 これからもよろしくお願いします!!


ではまた!
 

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