異世界スキルガチャラー
帰還 ヴァーリュオン 下
「……っていうことがあったの」
ルカはゼーテに昨日の騒動について話していた(マリーは現在寝ている)。
ゼーテは最初から最後まで黙って聞いていたが、ルカが話し終わった後にゆっくり口を開く。
「目の前で最愛の人達が殺される。辛いことなんでしょうね。……私も、両親を魔物に殺されたの」
突然の告白に、ルカは目を見開いた。
「あ、気にしないで。私は両親嫌いだったから。それでルカ、あなたはこれから何を目標に生きるつもりなの?」
「……分かんない、かな」
弱々しい笑みを浮かべて視線を逸らしたルカだったが、ゼーテに顔を掴まれて無理やり目を合わさせられる。
「にゃ、にゃにひゅるの!?」
「ルカ、よく聞いて。人を失った悲しみっていうのは日を追うごとに強くなるもの。でも、それを和らげてくれるのは「いつも隣にいる人」よ」
「あなたは、まだ全て失ったわけじゃない。今、一番あなたの心の拠り所になってるのは誰?」
その問いに、ルカはゼーテの手を振りほどいた後に力強い口調で、
「ケイト君で間違いないよ」
と答える。
「でしょうね。彼にとってもあなたは心の拠り所だと思う。異世界人だから、身内なんて1人もいないもの」
「こんなこと言うのはちょっと癪だけど、私もいつも隣にシーヴァがいたから悲しみを乗り越えられた」
絶対あいつには内緒よ、と顔をほんのり赤くしながら言うゼーテにルカはコクンと頷いた。
「あ、もちろん彼以外も頼ってくれて全然構わないけどね」
「私も、あの暗黒バカもいつでも力になるわ」
「わたしもー!」
いつの間にか起きていたマリーが後ろからルカに抱きつく。
「おにいちゃんがねー、ココロがいたくなったらぎゅーってするといいって言ってたよー」
背中に頬を擦りつけてくるマリーの頭を撫でながら、ルカはゼーテに笑いかけた。
「うん、私は絶対大丈夫。こんなに頼もしい人達がいるんだもんね!」
「そうね。じゃあ、3人でお茶でもしに行こうか? 今日も奢ってあげる」
「ホント!?やっった!!」
マリーを真ん中にして手を繋ぎ、3人は王城を後にした。
「なるほど。マギクニカに行って総合データベースを使用したい、ということだね?ケイト君」
「はい」
啓斗は、シーヴァの仲介で(何故かレイザック団長を超えて)ジェイド王にマギクニカへ向かう許可を得に行っていた。
「うーん、けっこう難しい相談だ。総合データベースは世界中の情報を詰め込んだものと言ってもいい。もしも民間人が使おうとすれば、5分の使用で1000万ルーンは取られるだろうね」
いきなり提示された巨額に、啓斗とシーヴァの両方が思わず息を呑んだ。
「まあ、そうだねぇ……一応交渉はさせるよう指示するが、あまり期待はしないでくれ」
するとそこで、執事がどこからともなく現れて王に耳打ちする。
「……なに? そうか、分かった」
「ああ、すまない。今ちょっと立て込んでるから、今日はこの辺りで失礼するよ。シーヴァ、ケイト君にパスポートを渡してやってくれ。出発は10日後だ」
「承知しました。ほら、ケイト受け取れ」
シーヴァから小型の冊子が渡される。
ヴァーリュオン公認の証の印がしっかりと押されているパスポートをポケットにしまった。
その間に、ジェイド王はいつもの瞬間移動で消えていた。
「さて、出発まで10日もある。どうだい?今日明日はゆっくり休んで、あとは鍛錬でもしないか?」
「旅をするなら色々必要だ。服とかカバンとかな。今から買いに行くぞ!」
言うやいなや啓斗に合図してシーヴァは走っていく。
「おい!シーヴァ!そのいつも後ろの人間置いていく癖をやめろ!」
大急ぎで【ダッシュアップ】を発動して啓斗はシーヴァを追った。
「いやぁ……まさか海のド真ん中にワープさせられるとはね」
「……私は街の辺境だったわ。危うく正体がバレるところよ」
孤島にて、2人の悪魔は会話を交わす。
「あっはは。やっぱ予想外の出来事って最高だよねー。ねぇ、そう思わない?」
「……私は全くそうは思わないわね。世界を奪いたい私にとって、想定外はあまり良い印象はないんだけど」
「もう……つまんないなぁ。世界征服なんて、魔王様に任せとけばいいんだよ」
「おや!中々面白い話をしているじゃないか!私も混ぜたまえ!」
いきなり空中から声が聞こえ、ベルフェゴールとマモンは上を見上げる。
「ルシファー……物理的に人の上に立つって、かなり失礼なことよ?」
「おや、失敬失敬。一応、対等の立場と認めた君らだからこそ謝ろう」
その男、ルシファーは2人の間に降り立つ。
彼は、服装で見ると「紳士」というのが合っているだろう。
そのスーツの色を勘定に含めなければ、の話だが。
彼は、黄金色に光るのスーツを上下に身につけてネクタイを締め、同じく金のシルクハットを被り、更に銀色に光るステッキを持っている。
髪も黄金色であり、暗闇の中でギラギラと光っている。
スーツの光のせいで顔はよく見えず、唯一見える瞳は紅く怪しげな光を放っている。
「相変わらず派手好きだねぇ、ルシファー。で、何の用? どうせ招集命令でしょ?」
「ふん、魔王様の命令だから仕方なく、こんな雑用を引き受けたんだ。さっさと城へ行くぞ。なんでも、今後の動きを決めるそうだ」
そのままルシファーは空中を魔王城の方へ歩いていった。
ベルフェゴールとマモンも、それに続いて魔王城へと向かっていった。
「あーあ、またレヴィちゃんに絡まれたらやだなー」
「あら?ハプニングが好きなんでしょ?」
「あの子だけはどうにも苦手なんだよねー」
ルカはゼーテに昨日の騒動について話していた(マリーは現在寝ている)。
ゼーテは最初から最後まで黙って聞いていたが、ルカが話し終わった後にゆっくり口を開く。
「目の前で最愛の人達が殺される。辛いことなんでしょうね。……私も、両親を魔物に殺されたの」
突然の告白に、ルカは目を見開いた。
「あ、気にしないで。私は両親嫌いだったから。それでルカ、あなたはこれから何を目標に生きるつもりなの?」
「……分かんない、かな」
弱々しい笑みを浮かべて視線を逸らしたルカだったが、ゼーテに顔を掴まれて無理やり目を合わさせられる。
「にゃ、にゃにひゅるの!?」
「ルカ、よく聞いて。人を失った悲しみっていうのは日を追うごとに強くなるもの。でも、それを和らげてくれるのは「いつも隣にいる人」よ」
「あなたは、まだ全て失ったわけじゃない。今、一番あなたの心の拠り所になってるのは誰?」
その問いに、ルカはゼーテの手を振りほどいた後に力強い口調で、
「ケイト君で間違いないよ」
と答える。
「でしょうね。彼にとってもあなたは心の拠り所だと思う。異世界人だから、身内なんて1人もいないもの」
「こんなこと言うのはちょっと癪だけど、私もいつも隣にシーヴァがいたから悲しみを乗り越えられた」
絶対あいつには内緒よ、と顔をほんのり赤くしながら言うゼーテにルカはコクンと頷いた。
「あ、もちろん彼以外も頼ってくれて全然構わないけどね」
「私も、あの暗黒バカもいつでも力になるわ」
「わたしもー!」
いつの間にか起きていたマリーが後ろからルカに抱きつく。
「おにいちゃんがねー、ココロがいたくなったらぎゅーってするといいって言ってたよー」
背中に頬を擦りつけてくるマリーの頭を撫でながら、ルカはゼーテに笑いかけた。
「うん、私は絶対大丈夫。こんなに頼もしい人達がいるんだもんね!」
「そうね。じゃあ、3人でお茶でもしに行こうか? 今日も奢ってあげる」
「ホント!?やっった!!」
マリーを真ん中にして手を繋ぎ、3人は王城を後にした。
「なるほど。マギクニカに行って総合データベースを使用したい、ということだね?ケイト君」
「はい」
啓斗は、シーヴァの仲介で(何故かレイザック団長を超えて)ジェイド王にマギクニカへ向かう許可を得に行っていた。
「うーん、けっこう難しい相談だ。総合データベースは世界中の情報を詰め込んだものと言ってもいい。もしも民間人が使おうとすれば、5分の使用で1000万ルーンは取られるだろうね」
いきなり提示された巨額に、啓斗とシーヴァの両方が思わず息を呑んだ。
「まあ、そうだねぇ……一応交渉はさせるよう指示するが、あまり期待はしないでくれ」
するとそこで、執事がどこからともなく現れて王に耳打ちする。
「……なに? そうか、分かった」
「ああ、すまない。今ちょっと立て込んでるから、今日はこの辺りで失礼するよ。シーヴァ、ケイト君にパスポートを渡してやってくれ。出発は10日後だ」
「承知しました。ほら、ケイト受け取れ」
シーヴァから小型の冊子が渡される。
ヴァーリュオン公認の証の印がしっかりと押されているパスポートをポケットにしまった。
その間に、ジェイド王はいつもの瞬間移動で消えていた。
「さて、出発まで10日もある。どうだい?今日明日はゆっくり休んで、あとは鍛錬でもしないか?」
「旅をするなら色々必要だ。服とかカバンとかな。今から買いに行くぞ!」
言うやいなや啓斗に合図してシーヴァは走っていく。
「おい!シーヴァ!そのいつも後ろの人間置いていく癖をやめろ!」
大急ぎで【ダッシュアップ】を発動して啓斗はシーヴァを追った。
「いやぁ……まさか海のド真ん中にワープさせられるとはね」
「……私は街の辺境だったわ。危うく正体がバレるところよ」
孤島にて、2人の悪魔は会話を交わす。
「あっはは。やっぱ予想外の出来事って最高だよねー。ねぇ、そう思わない?」
「……私は全くそうは思わないわね。世界を奪いたい私にとって、想定外はあまり良い印象はないんだけど」
「もう……つまんないなぁ。世界征服なんて、魔王様に任せとけばいいんだよ」
「おや!中々面白い話をしているじゃないか!私も混ぜたまえ!」
いきなり空中から声が聞こえ、ベルフェゴールとマモンは上を見上げる。
「ルシファー……物理的に人の上に立つって、かなり失礼なことよ?」
「おや、失敬失敬。一応、対等の立場と認めた君らだからこそ謝ろう」
その男、ルシファーは2人の間に降り立つ。
彼は、服装で見ると「紳士」というのが合っているだろう。
そのスーツの色を勘定に含めなければ、の話だが。
彼は、黄金色に光るのスーツを上下に身につけてネクタイを締め、同じく金のシルクハットを被り、更に銀色に光るステッキを持っている。
髪も黄金色であり、暗闇の中でギラギラと光っている。
スーツの光のせいで顔はよく見えず、唯一見える瞳は紅く怪しげな光を放っている。
「相変わらず派手好きだねぇ、ルシファー。で、何の用? どうせ招集命令でしょ?」
「ふん、魔王様の命令だから仕方なく、こんな雑用を引き受けたんだ。さっさと城へ行くぞ。なんでも、今後の動きを決めるそうだ」
そのままルシファーは空中を魔王城の方へ歩いていった。
ベルフェゴールとマモンも、それに続いて魔王城へと向かっていった。
「あーあ、またレヴィちゃんに絡まれたらやだなー」
「あら?ハプニングが好きなんでしょ?」
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