異世界スキルガチャラー
1700連目 平和な日常 2
「……はぁぁぁぁぁ!?」
その怒号は昼過ぎ、城の一角に響き渡った。
発生源は(いつも通り)ゼーテ・ナイトブライト、要因を作ったのは(こちらもいつも通り)藤崎 啓斗である。
「アンタねぇ、ホントいい加減にしないと殴り飛ばすわよ!?」
「いや、お前の怪我が治った後の話だ!そんなに俺たちが信用できないなら着いてくればいいだろうが!」
「そういう話をしてるわけじゃない! なんでまた「100層ダンジョン」になんて行こうとしてんのよ!? あそこには敵しかいないのに!!」
「だから、説明しただろ。あのダンジョンの最下層にだな……」
「信じられないわね。あんな危険なダンジョンに行くのに、目的は用途の分からない「鍵」ですって? しかもそれを言ったのがアンタの腕時計から出てきてる得体の知れない少女なんでしょ?」
懐疑的な目と、警戒心むき出しのオーラを醸し出しながらゼーテは言葉を続ける。
「シーヴァは他人をすぐに信用するから騙せたのかもしれないけど、私はそうはいかないわ。あの女、どう見ても裏がありそうだもの」
「そんなことは分かってる。だが、俺にとって得のない情報を言ったことがほとんど無いことも事実だ。実際、何度かアイツに窮地を救われたこともある」
「だとしても信用ならないわ。というか、ホログラム……だっけ? それ越しだとしてもあの女もアンタと一緒にあのダンジョンに潜ったんでしょ? それならあそこの難易度を思い知ったはず。それなのに行くように言うなんて、正気とは思えない。それとも、そこまでしてでも手に入れる価値があるものが存在するとでも言うの?」
「だろ? だから、数日は大人しくしてるからどこかでもう一度あのダンジョンに行かせてくれ。頼む」
「……考えておいてはあげる」
それだけ言うと、ゼーテは後ろを向いて歩き出してしまう。
「おい、どこに行く気だ」
「城の書庫よ。ベッドから出られないからって、私に勉強用の魔導書持ってくるように言ってきたのよね。私だって利き手じゃない右手しか使えないっていうのに……」
ぶっきらぼうに「じゃーね」とだけ言うと、ゼーテはさっさと廊下を歩いて向こうへ行ってしまった。
置き去りにされてしまった啓斗とルカ。外は快晴で、雲一つ無い青空が広がっている。
その下では、ヴァーリュオン騎士団・軍がほとんど総出で街の復旧作業を行っている(のだと啓斗はゼーテから聞いた)。
「さて……説得は難航しそうだな。よし、ダンジョンのことは一旦忘れよう。たまにはのんびりするか」
「うん、そうしよそうしよ! でもなぁ、少なくとも今日はお城から出ちゃ駄目だって言うし……何しよう」
「じゃあ、部屋戻って本当に「何もしない」でみるか。最近何日も何日も戦ってばかりだったから、1日びっちり休んだって良いだろ」
「それもそっか。じゃあ、今日は訓練もなしでお部屋戻ろーっ!」
元気にそう叫ぶと、ルカは自室のある方向へ向かって走って行ってしまった。
後を追いかけるために走り出そうとした啓斗だったが、すぐに思い直してゆっくり歩いていくことを選択した。
歩きつつ今日の分のガチャを引いておこうと考えたためである。
「ガチャシステムを呼び出して……っと」
見慣れたガチャ画面を眺めていると、機械的な音声が突然流れ始める。
その声はナビゲーターのものとよく似ていたが、機械的で感情が一切こもっていないため、別人のような印象を受ける。
『啓斗様、初めまして。私はこのリストウォッチ型デバイスに標準搭載されている音声アシスタント「ジュスティツィア」と申します。どうぞ、ご自由にお呼びくださいませ』
「お前が、例の音声アシスタントとかいう奴か。お前に容姿のホログラムとかは無いのか?」
『ございません。啓斗様、本日はメッセージを預かっております』
「ナビゲーターからか?」
『はい。先日ランドグリーズを捕食したことにより、「スキルロベリーガチャ」に特定のスキルがピックアップされております。本日は必ずロベリーガチャをお引きになるようにと』
「そうか、分かった」
『では、ガチャ画面を呼び出します』
ジュスティツィアがそう言うと同時にガチャ画面の表記が変わり、「ロベリーPICK UP!!」と輝く文字が表示されるようになった。
『思う存分お引きください。貴方様の確実なパワーアップをお約束いたします』
そして啓斗は、ガチャ画面をタップした。
無数の光球の中に、虹色の光球2つが確認できた。
URスキル【シールドブレイカー】
このスキルを発動した次の攻撃は、どんな装甲や防御スキルを貫通してダメージを与えることが出来るようになる。
ただし、攻撃を「無効化」する技を貫くことは出来ない。
URスキル【コキュートス・フィールド】
半径30メートル以内を、絶対零度の世界に変貌させる。
発動した瞬間、範囲内にいる生物は一瞬で氷像となり、機械は凍り付いて機能が全て停止する。
URスキルを確認した啓斗だったが、ルカにああ言ったのにすっぽかして訓練場に向かうのはマズいと考え、詳しい能力の実践は今度にすることにした。
『では啓斗様、良い一日を』
ジュスティツィアが最後にそう言うと、ガチャ画面が強制的に閉じてしまった。
頭を掻きながら、啓斗は少し早歩きでルカを追いかけていった。
ヴァーリュオン出発まで:あと7日。
その怒号は昼過ぎ、城の一角に響き渡った。
発生源は(いつも通り)ゼーテ・ナイトブライト、要因を作ったのは(こちらもいつも通り)藤崎 啓斗である。
「アンタねぇ、ホントいい加減にしないと殴り飛ばすわよ!?」
「いや、お前の怪我が治った後の話だ!そんなに俺たちが信用できないなら着いてくればいいだろうが!」
「そういう話をしてるわけじゃない! なんでまた「100層ダンジョン」になんて行こうとしてんのよ!? あそこには敵しかいないのに!!」
「だから、説明しただろ。あのダンジョンの最下層にだな……」
「信じられないわね。あんな危険なダンジョンに行くのに、目的は用途の分からない「鍵」ですって? しかもそれを言ったのがアンタの腕時計から出てきてる得体の知れない少女なんでしょ?」
懐疑的な目と、警戒心むき出しのオーラを醸し出しながらゼーテは言葉を続ける。
「シーヴァは他人をすぐに信用するから騙せたのかもしれないけど、私はそうはいかないわ。あの女、どう見ても裏がありそうだもの」
「そんなことは分かってる。だが、俺にとって得のない情報を言ったことがほとんど無いことも事実だ。実際、何度かアイツに窮地を救われたこともある」
「だとしても信用ならないわ。というか、ホログラム……だっけ? それ越しだとしてもあの女もアンタと一緒にあのダンジョンに潜ったんでしょ? それならあそこの難易度を思い知ったはず。それなのに行くように言うなんて、正気とは思えない。それとも、そこまでしてでも手に入れる価値があるものが存在するとでも言うの?」
「だろ? だから、数日は大人しくしてるからどこかでもう一度あのダンジョンに行かせてくれ。頼む」
「……考えておいてはあげる」
それだけ言うと、ゼーテは後ろを向いて歩き出してしまう。
「おい、どこに行く気だ」
「城の書庫よ。ベッドから出られないからって、私に勉強用の魔導書持ってくるように言ってきたのよね。私だって利き手じゃない右手しか使えないっていうのに……」
ぶっきらぼうに「じゃーね」とだけ言うと、ゼーテはさっさと廊下を歩いて向こうへ行ってしまった。
置き去りにされてしまった啓斗とルカ。外は快晴で、雲一つ無い青空が広がっている。
その下では、ヴァーリュオン騎士団・軍がほとんど総出で街の復旧作業を行っている(のだと啓斗はゼーテから聞いた)。
「さて……説得は難航しそうだな。よし、ダンジョンのことは一旦忘れよう。たまにはのんびりするか」
「うん、そうしよそうしよ! でもなぁ、少なくとも今日はお城から出ちゃ駄目だって言うし……何しよう」
「じゃあ、部屋戻って本当に「何もしない」でみるか。最近何日も何日も戦ってばかりだったから、1日びっちり休んだって良いだろ」
「それもそっか。じゃあ、今日は訓練もなしでお部屋戻ろーっ!」
元気にそう叫ぶと、ルカは自室のある方向へ向かって走って行ってしまった。
後を追いかけるために走り出そうとした啓斗だったが、すぐに思い直してゆっくり歩いていくことを選択した。
歩きつつ今日の分のガチャを引いておこうと考えたためである。
「ガチャシステムを呼び出して……っと」
見慣れたガチャ画面を眺めていると、機械的な音声が突然流れ始める。
その声はナビゲーターのものとよく似ていたが、機械的で感情が一切こもっていないため、別人のような印象を受ける。
『啓斗様、初めまして。私はこのリストウォッチ型デバイスに標準搭載されている音声アシスタント「ジュスティツィア」と申します。どうぞ、ご自由にお呼びくださいませ』
「お前が、例の音声アシスタントとかいう奴か。お前に容姿のホログラムとかは無いのか?」
『ございません。啓斗様、本日はメッセージを預かっております』
「ナビゲーターからか?」
『はい。先日ランドグリーズを捕食したことにより、「スキルロベリーガチャ」に特定のスキルがピックアップされております。本日は必ずロベリーガチャをお引きになるようにと』
「そうか、分かった」
『では、ガチャ画面を呼び出します』
ジュスティツィアがそう言うと同時にガチャ画面の表記が変わり、「ロベリーPICK UP!!」と輝く文字が表示されるようになった。
『思う存分お引きください。貴方様の確実なパワーアップをお約束いたします』
そして啓斗は、ガチャ画面をタップした。
無数の光球の中に、虹色の光球2つが確認できた。
URスキル【シールドブレイカー】
このスキルを発動した次の攻撃は、どんな装甲や防御スキルを貫通してダメージを与えることが出来るようになる。
ただし、攻撃を「無効化」する技を貫くことは出来ない。
URスキル【コキュートス・フィールド】
半径30メートル以内を、絶対零度の世界に変貌させる。
発動した瞬間、範囲内にいる生物は一瞬で氷像となり、機械は凍り付いて機能が全て停止する。
URスキルを確認した啓斗だったが、ルカにああ言ったのにすっぽかして訓練場に向かうのはマズいと考え、詳しい能力の実践は今度にすることにした。
『では啓斗様、良い一日を』
ジュスティツィアが最後にそう言うと、ガチャ画面が強制的に閉じてしまった。
頭を掻きながら、啓斗は少し早歩きでルカを追いかけていった。
ヴァーリュオン出発まで:あと7日。
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