この美少女達俺の妻らしいけど記憶に無いんだが⋯⋯
プロローグ
少年は死んだ。何者かに胸を撃ち抜かれて。
だがその数分後には何も無かったかのように生きている。
周りに流れ血溜まりと化していた血は大方無くなり、胸を貫いた銃痕も綺麗にふさがっていた。
そして少年は目を覚ました。
眼前には曇天の空が広がっていて、まるで何か不吉を告げるかの様に雷鳴が鳴り響く。
少年は突然の光景に混乱するが、すぐに自分が抱かれている事に気付き、痛む首を動かす。
眼に映った少女に少年は時を忘れ、魅入ってしまっていた。
その少女は攻撃的な程に美しく可憐だった。
まるで世界が彼女を中心に回っているような、そう思わせるほどに。
その少女は人形の様に整った顔から涙を流し、激情に浸っている様に見える。大事な人が亡くなってしまったかのように⋯⋯そう、自分を抱き抱えて──。
普通なら、天の気まぐれか再び目覚めた少年に、気づいた少女は喜び歓喜するはずだった。
だが少年は、少女に向かって無表情に呟いたのだ。
「君は誰」と⋯⋯。
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