最弱が世界を救う。

しにん。

呪い。

いよいよ今回の依頼の本題だ。リリーの怠惰の呪い解除。するとセレネがエクスに近づく。
「この儀式の事で少しお話があります。」
「ん?話?」
「恐らくこの儀式が成功するとリリーさんの記憶は、消えます。そうですね、だいたい呪いがかけられた後の記憶が消えるでしょう。」
 セレネはいつも通りの無表情で淡々と告げる。
「だからと言って呪いをそのままにすると命の危険があるかもだから、この儀式お願いするよ。」
「わかりました。」
 まずセレネはリリーの額に聖水を塗った。これで少し呪いが弱まるらしい。
 次に呪文を唱え額にキスをする。すると、リリーの体から大量の邪気が溢れ出る。恐らくはベルフェゴールの瘴気だろう。
「なんだこれは……近くにいるだけでも倒れそうだ。」
 エクスの言った通り立っているだけでも意識が朦朧としてしまう。突然、リリーが倒れ込む。
「儀式は成功しました。リリーさんは1時間もすれば目を覚ますでしょう。それともう一つだけ話があります。エクスさん、貴方に呪いと思われるものがかけられています。ここで祓えるのであればしますが、どうしますか?」
 エクスは困惑する。呪いなんてかけられた覚えがないからである。
「ま、待って。呪い?そんなもの一体いつ……」
 エクスは思い出そうと必死に頑張るがそんな記憶は無かった。レインはふと暗い顔をする。
「レイン?どうかした?」
「ん、ううん。何でもない。多分さっきの瘴気で立ちくらみしちゃったのかな……」
「それじゃレインは外で美味しい空気を吸って休んでなよ。俺はとりあえず呪いについてセレネと話をする。」
「わかった。気遣いありがと。エクスくん。」
 レインはリリーを連れて外へ出る。
「それで、どんな呪いなのかわかる?」
「正直言うとどんな呪いなのかわからない。私が1度も見たことがない物だと思うわ。」
 セレネでも見たことがないと言う。本当に呪いがかけられているのか、疑心暗鬼になるエクスを他所にセレネは準備を始める。
「とりあえずは私が出来る最大の力を以て貴方の呪いについて調べてみるわ。ちょっと苦しいかもしれないけど我慢してください。」
 突然我慢しろと言われて"何を?"と考えようとした瞬間唇と唇が触れ合う。エクスはいきなりの事で頭が真っ白になる。
「ぷはっ!いきなりなにを!?」
「貴方の中に私の魔力を注ぎました。ですが呪いの事について詳しくはわかりませんでしたが、ほんの少しだけわかりました。恐らくですが貴方の呪いは何かを縛られています。」
「縛られている?それは何か封印されてるのか?」
「はい。ですが、何を封印されているのかはわかりません。お力になれず申し訳ございません。」
「い……いや、そんなに落ち込まなくて大丈夫だよ?レインも呪いについて気づいてなかったし、セレネの力は凄いと思う。」
「それでは外で待っている2人のところへ行きますか。」




────レインは外に出ると険しい顔をする。
「エクスくんに呪い……だって?恐らくそれはゼクスの戒禁の呪いだ……。とりあえずはこの事は黙っておこう。それに戒禁の呪いで封印されたのは────」

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