最弱が世界を救う。

しにん。

仲間。

「で、弟子なんて無理だよ。あ、でも時間が空いた時とかに教えるのはいいよ?」
「ありがとうございます……」


エクスはレインやセレネに憧れていた。
自分が使えない魔法を難なく使いこなし、戦力としてとても強い。
何度も魔法には救われている。
だが、エクスは薄々気づいていた。
自分が周りよりも劣っていて、荷物になりつつあると。


「俺はどうしても強くなりたい。是非、レヴィの水魔法を教えて欲しい。」
「うまく教えれる自信は無いけど頑張ってみるね!!」


レヴィは青い髪を踊らせて、頷いた。
その日から、徐々に魔法を学ぶことにした。
まずは基本の水を生成する魔法。


「手の中に水があると想像して。少しでも構わない。自分を信じて。」
「で、でた!!」


エクスの手のひらから少量の水が出てきた。
レヴィの仮説の共鳴は的を射ていた。


「やっぱりエクスくんは水属性だね。これから毎日この特訓をしてみて。そして、慣れてきたら量を増やすことをイメージするんだ。」
「これから少しお城へ帰ったらいろいろと用事があるから、用事が終わったらまた教えてくれ。」


エクスは初めて魔法を使えて満足の反面、早く使えるようにならないと、と焦った。


「あ、最後にアドバイスをするね。魔法は練度によって強化されるから、練習すればするほど使えるようになる。でも、急ぎ過ぎてはダメだよ?」
「わかった。肝に銘じておく。」


レヴィに感謝と別れの挨拶を済ませエクスは城へと足を動かす。


(魔法……か。早く使えるようにならないと……!!)


城へつくと、レインの様子が少しおかしかった。
いつもより顔は暗く、血の気がないように見えた。


「レイン?どうした?」
「エ、エクスくん……うぅん。何でもない。」
「困った時は頼ってもいいからね。」
「うん……」


レイン本人は何も無いというが、エクスは心配した。
念のため今日1日は傍にいてあげようと思った。




その日の夜。


「エクス、レイン、『アテナ』の仲間を紹介したい。皆も君たちを待っているよ。」


借りた部屋で少しくつろいでいると、扉が勢いよく開き、金髪の少年が現れた。ゼノだ。
ゼノは2人を無理やり引っ張り、『アテナ』のみんながいるという部屋へと案内する。


「みんな!!紹介するよ、エインガルドの英雄エクスとレインだ。《嫉妬》の悪魔討伐に参加してもらう。何か意見がある者はいるか?何も無い者は拍手で2人を迎え入れてくれ。」


ゼノが全員に呼びかけると、皆拍手で返事をする。
全員見る限りゼノと同じくらいの歳に見えた。
ゼノは何も言っていないがおよそ20歳と予想している。


「しょ、紹介に預かりました、エクス=フォルトです。よろしくお願いします!!」
「初めまして。レイン・シェインと申します。よろしくお願いしますね。」


エクスとレインは自己紹介をした。
皆は2人を明るく迎え入れ、その日の夜は軽いパーティーのように騒いでいた。



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