最弱が世界を救う。

しにん。

努力。

エクスはベランダでレインと話していると、中の方から『アテナ』の人達に呼ばれて小走りで行ってみた。


「いきなりですまねぇが、俺らはあんたの強さがわかんねぇ。弱いヤツを入れるほど俺らは落ちぶれちゃいねぇ。そこでだ、模擬戦をしねぇか?」


大きな男がエクスに模擬戦をもちかけた。


「もちろん。勝てるかわからないけど……」


皆から最後の一言の事を笑われると少し照れて顔を赤く染めた。


次の日の朝、エクスやレイン、ゼノや『アテナ』の皆は広い草原に出た。
するとゼノはみんなに声をかける。


「この2人は強いぞ。油断して負けないよう。」


エクスは、ゼノを凄い指揮官と感じた。
彼が言った言葉はなぜか、心に強く響く。
きっと生まれ持った才能だろう、と心の中で頷く。


「手始めにチームアイギスの隊長、ゼルと戦ってもらう。」


ゼノが指示を出しゼルが前へ出る。
ゼルは欠伸をしてとてもやる気がないように見える。


「はじめ!!」と合図と同時に、エクスとレインは前へ出ようとしたが妙な違和感を感じ取り、後ろへ飛ぶ。
元いた場所にゼルが踵落としをし、草の絨毯だった場所から土が姿を現していた。
周りのみんなは、ゼルの攻撃を避けたことを凄く驚いていた。
影でゼルは一撃屋など呼ばれ、初見ではかわすことはほぼ不可能とまで噂されていた。


「さっきまでとまるで別人っ!!」
「どうやら俺らも油断はダメってことかな……」


するとゼルから殺意が消えた。
ゼルはすぐさま横になり寝てしまった。


「姉さん……あぁ、ごめん2人とも。姉さんはエネルギー効率が悪いのかあまり動かないんだ。今のように動くとすぐに眠くなるらしい。」


2人はゼルに目を向けると、なんだか気が抜けた気がした。
2人を他所にゼルは幸せそうな顔で寝ていた。




朝から草原にいたが、『アテナ』のみんなと手合わせをしていると時間を忘れ、太陽は真上にある。


「兄ちゃん。あんたらの強さは本物だ。頑張って修行するともしかしたらゼノを倒しちゃうんじゃねぇか?」


皆はがははと笑い、楽しい時間を過ごす。




「えーと……確かこうしてこう……」


その日の夕方、城へ帰るとすぐにエクスは自分の部屋へと戻る。
先日レヴィに教えてもらったこひとまず、ひとまず、とを復習し、自分なりに練習していた。
実戦にはまだ使えそうにないが、だいぶ慣れてきてコップ1杯程度は出るようになった。
練習をしていると、扉からノックの音が響く。
そこにはレインがいた。
レインはエクスの水魔法に興味を示した。


「なるほど、エクスくんは水属性だったのね。」
「初めてそんなことを言われてよくわかってないんだけどね。」


レインが言うには魔法を出す感覚は、どの属性も同じらしく、レヴィから教えてもらわない日などに、レインから教わることにした。


「ひとまず、毎日続けることに意味はある。努力こそ最大の近道。ってね」


花のような綺麗な笑顔でエクスに笑いかけた。

「最弱が世界を救う。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く