最弱が世界を救う。

しにん。

雷霆。

「どうした!!貴様らの強さはそんなもんか!!きししししし」


マーメイドは更に不気味な笑顔を浮かべ、エクス達3人を見下ろす。
レインの最大火力を持ってしても、マーメイドを倒せなかった。
3人には焦りが見えていた。


「あいつはほぼ無敵と言っても過言ではないな……何かいい策は……」
「ゼノの雷が効かないという仕組みがわからない……」


マーメイドには全ての攻撃が通じなかった。
剣で斬ってもすり抜け、弱点である雷の魔法も効かず、蒸発させようとしても無駄だった。


「仕組み……もしかして!!」


レインは一度空を見上げる。
仕切りなく雨が降り注ぎ、見える限り暗い雲で覆い尽くされていた。


「推測だけど、そこにいるマーメイドは恐らくダミー。偽者……本物はあそこだっ!!」


レインは空を指さす。
すると、マーメイドは驚いたかのように拍手をした。


「ご名答。今ここにいる私は偽者、本物は空、詳しくは雲だ。だが、それを知ったところで何か策はあるのか?きしししししっ」
「エクス……レイン……この場から離れてくれ。君達に危害を加える可能性がある。」


いきなりゼノは2人へ逃げるように指示する。
一体何がどうしたのかわからなかったが、ゼノの目を見て策があると察し、その場から立ち退く。


「お前一人で何が出来るっていうんですか!!」


マーメイドはせっかくの獲物を逃がし、怒りに身を任せゼノへと攻撃を仕掛ける。
光と同じ速度でゼノは攻撃を避け、空へ向かい高く飛ぶ。


「かかったな!!そのまま死ねっ!!きしししししっ」


ゼノの頭上に大きな水の塊が落ちてきた。
水の塊は一つの大きな槍先の様な形へ姿を変え、ゼノへと一直線に落ちていく。
この距離では到底避けることは不可能。
マーメイドは勝ちを確信した。


「ごめんなさい。師匠。あの技を使わせていただきます。」


ゼノは覚悟を決めたように、空中で手を空へ突き出す。
するとゼノの掌に雷が落ちてきた。
普通の人間であれば感電死をしているが、ゼノは雷の魔法で体を強化しているため、雷の力を我が力へと変えて見せた。


「神よ。全てに裁きの鉄槌を。これが全能の力!!これが最強の力!!雷霆ケラウノス!!」


ゼノの右手には雷の形をした剣が握られていた。
落ちてくる水の槍を一刀両断すると、空に広がっていた雲を全て消滅させた。
雨だった天気は晴れへと変わる。
遠くへ避難していたエクスとレインは、いきなり後ろから雷の凄まじい音が聞こえふと振り返る。
そこには天へと駆け登る龍の如しゼノがいた。


「なんだ……あの力……」
「ゼノの師匠は確かゼクス。ゼクスは雷の魔法を大得意としていた。つまりあれは恐らくゼクスの技……」
「お父さんの技……」


マーメイドは勝ちを確信していたため、目の前の光景が受け入れられなかった。




雲を全て消滅させると、そこにはマーメイドの本体がいた。


「見つけた……」


ゼノは人が変わったかのように冷たい目をし、マーメイドを切り裂いた。
マーメイドを倒した後、ゼノは地面へと凄まじい速度で落下する。


「ゼノっ!!」


2人はゼノが落下した場所へと急ぐ。

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