最弱が世界を救う。

しにん。

《嫉妬》3

数多の槍の雨により、『アテナ』はゼノら3人を除き全滅。
うち、レインは未だに眠り続けている。


「何人か息はある……どうする、エクス。」
「これは控えめに言ってピンチですね……でも、まだ助けられる命は助けましょう。」


二人が話をしているすきをつき、レヴィアタンは槍の雨のターゲットを二人へ変える。


「今は《嫉妬》の悪魔が優先だ。死ぬなよエクスっ!!」
「そっちこそ!!」


降り注ぐ全ての槍を剣で薙ぎ払い、二人はダメージを受けずにその場を凌いだ。


「ちょこまかちょこまかとおおお!!」


レヴィアタンは仮面を手で覆い、怒りに震えていた。


「ゼノ、一つ質問だが。俺らが『アテナ』に入る前に《嫉妬》の悪魔と戦ったんだよな?その時はどうやって追い詰めたんだ?」
「俺が前衛で押して、姉さん……ゼルが援護射撃。あの時は雷霆で無理矢理って所だ。それに、前回戦った時よりも強くなっている。」
「前よりも……」


レヴィアタンは次第に大きな声で愚痴をこぼし始めた。


「いいよなぁ!!強い奴って人生楽しうだよなぁ!!だから──私が奪っちゃおう。ふふふっ。」


レヴィアタンが一瞬のスキを突き、再度レインの中へ入ろうとした。
その瞬間、レヴィアタンの頭が弾け飛ぶ。


「こちらチームアイギス。無事目的の場所へ着いたっす。援護は任せてください。」


レインの様子がおかしくなった時、既にゼルは次の一手を打っていた。
遠く離れた場所からの射撃。
周りを見渡すが人影すらもわからなかった。


「こちらチームニケ。只今を持って、ゼノ、ゼル、エクスの三人で《嫉妬》の悪魔、レヴィアタンを討伐する。」
「了解。やっぱり、俺よりゼノがリーダーが安心する。」
「では、攻撃開始!!」


ゼノの合図と共に、エクスはレヴィアタンへ一気に近づく。
一歩遅れてゼノが攻撃に参加する。
二人の連撃を全て避けずに受け続ける。
流石の威圧に、レヴィアタンは後ろへ大きく飛びその場を逃れる。


「ぜぇ……はぁ……はぁ……貴様らやるな……あぁ、羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい。」


レヴィアタンは自らの髪をグシャグシャにし、暴れだす。
すると、レヴィアタンは暴れるのをやめ、槍を生成しこちらへと突進してきた。
二人は避けようとするが、動けなかった。
地面を見ると、空から落ちてきた槍が足と地面をくっつけ、その場から離すまいとしていた。
避ける事を考えていると、レヴィアタンはもう目の前だった。


「避けれない……迎え撃つしかないか……」


すると、レヴィアタンの頭上を一発の銃弾が通り過ぎる。


「ふふっ、そんな攻撃で私を倒せると思うなよ!!」


レヴィアタンが笑っていると、背後から銃弾が飛んでくる。


「な、なに!?」


これには流石に驚き、その場を離れる。
しかし、ゼルはその事まで読んでおり、逃げた先には既に新たな銃弾が空を舞っていた。


「なんだこの銃弾は……まるで追いかけてくる……それよりも、一体どこから狙ってやがる……」


レヴィアタンが周りを見渡すが、人の気配が感じ取れなかった。
360°様々な方向から銃弾が飛んでくる。




レヴィアタンがゼルのことを探そうと、二人は「今だっ」と叫び再び攻撃を仕掛ける。
一瞬の油断から、レヴィアタンは劣勢へと持っていかれた。
相変わらず攻撃は効かず、切る度に水へと変化する。
そこで、エクスは一つ違和感に気づく。


「再生の速度が遅くなってる……?魔力が底をつき始めたってことか?」
「恐らくそうだろう。あと一息だ、まだまだ行くぞっ!!」


その後も二人はレヴィアタンの攻撃を避けつつも、連撃を叩き込み、追い込む。
エクスの読み通り、レヴィアタンは魔力が底をつきはじめ、徐々に肩で息を始めた。

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