最弱が世界を救う。

しにん。

海王。

「穿て!!地を割り海を割て、星をも貫け!!海王ポセイドン『トリアイナ』!!」


レヴィが勢いよく詠唱を叫ぶと、試練の部屋全体が揺れ、大きな地震を引き起こした。
突然の揺れに驚くが、レヴィの様子を見て更に驚く。


「全身から血が出てる、大丈夫!?」
「ぐはっ!!はぁ、はぁやっぱり私では無理なようだ。」


レヴィはただ詠唱を唱え、武器を顕現しようとしていただけだが、全身からは血が流れ出て魔力を全て吸い尽くされていた。


「今のは、ポセイドンと言う神が使っていた武器『トリアイナ』。海と地震を司る神と言われている。まぁ、失敗したんだけどね。」
「それでさっきは地震が起きていたのか。」
「さっきのは暴走に近い。『トリアイナ』を使いこなせば、操作可能だ。だが、さっきも見た通り強大な力を持っている。」


強大な力を代償に、死ぬ恐れがある技は知っていた。
詳しく言うなれば、この目で見た。
エクスはゼノの事を思い出し、自分にあれ程までの力を使いこなせるのか、その事だけが心に残る。


「そんな力俺に使えるのかな。こんな弱い俺には無理だと思うけど。」
「無理だと言うのならそこで終わりだよ。でも、私は知っている。エクスくんが諦めるような人間じゃないってことを。」


弱音を全て吹き飛ばした。
この時再度レヴィの言葉の重みを感じる。
これが、大人なのだと。


「俺……やってみる。例え不可能と言われてもやり遂げてみせる。」
「意気込み100点。それでは、ネックレスを出して。そのネックレスは『トリアイナ』を封印している。」
「ん?封印?」
「前に試しに顕現してみると、あまりの強大さゆえ私一人ではどうすることも出来なかった。そして、何とか封印することに成功した。それが、ネックレスの正体さ。」


ネックレスに目をやるとほんの僅かだが、波紋の様なものが揺れていた。


「エクスくんの魔力は底知れぬ物だと、私は見込んでいる。だけど、今から行う修行は軽く命をも脅かす。油断はしなように。」


レヴィは注意に注意を重ねてエクスに言い聞かせる。
大体の説明が終わると、エクスはネックレスを握る。
すると、周りの地面からは水の柱が生まれ、ドラゴンへと姿を変える。

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