最弱が世界を救う。
三回。
床には大きな魔法陣が展開される。
セレネの修行の成果は素晴らしいものだった。
昔は床に書いたり、詠唱をしたりしていたが、今はもう無詠唱で魔法を使える。
「それではエクスさん。魔石を額に」
指示通り額に魔石を当てると、エクスの意識は遠のく。
気がつくといつもの図書館にいた。
「それでは試練の部屋へどうぞ、マスター」
ムシュの案内の元、試練の部屋へと向かう。
試練の部屋までは無言のまま時間が過ぎ去る。
「では、中へどうぞ」
扉がゆっくりと開き、中には《強欲》の悪魔、マモンの姿をした者が立っていた。
「よくぞここまで来た。今回の試練はお前の心の中の戦いだ。どうなるかはわからない。お前の心次第だ」
《強欲》の悪魔が説明すると、エクスの心臓が光だす。
「これは───」
やがて光が収まると目の前には複数の人間が立っていた。
みるみるうちに影は増えていき、確認できるだけでも数百は超えていた。
目の前の光景に驚いていたが、更に驚く。
人間の姿は何度も何度も見たことがある姿だった。
「レイン……?」
「試練の内容が決まった」
《強欲》の悪魔が手を広げ、目を大きく開ける。
「試練の内容は、目の前の少女から本物を探せ。チャンスは三回のみ。三回間違えると試練は失敗だ」
宝探しのように軽く告げられ、悟る。
確率は1%以下、更に見分けが付かないためほぼ不可能と言っても過言ではない。
「一体何人いると思ってんだ……」
「お前は最近、この少女の事で悩んでいたらしい。お前自身が気づかなくとも心の奥では、いつもこの少女の事を考えていたのだろう」
「確かに、いきなり天使の長だとか言ったり、突然目の前に現れたりと不思議なやつだ。考えない方がおかしい」
「それでは選んでもらおう」
何も始まらないと思い、無作為に選ぶ。
すると部屋中にサイレンが鳴り始め、不正解を告げる。
「残念。それはハズレだ」
不正解のサイレンが終わると同時に、頭の中に電流が走る。
「ぐああああああああああああああ!!」
激しい頭痛によりエクスはのたうち回る。
「不正解、それは即ち罰ゲーム。罰は───この少女に関する記憶の一時的な消去」
《強欲》の悪魔が罰ゲームと言い記憶を消すと、レインの戦い方を忘れる。
徐々に記憶が改竄され、少しずつ忘れていく。
「あぁ……ああ、ああああああっ!!」
壮絶な痛みがエクスを襲う。
体力ではなく、精神を削られて行く。
「さぁ、次を選んでもらおう。残り回答権は二回」
エクスはこの試練を甘く見ていた。
ただ、探し当てるだけだと勘違いしていた。
「記憶の削除……なんて痛みだ。それにこの試練の突破方法が全くわからない」
再度、無作為に選ぼうとするが手を止める。
「何か違いがあるはずだ……もっと慎重に」
周りのレインを見渡すが、それぞれ表情が違い本物なんてわからない。
「これは運?いや、そんなわけが無いもっと考えろ」
目を閉じレインを思い出す。
これまで旅を共にしてきたレイン。
初めて目の前に現れたレイン。
感情豊かで、たまに拗ねるレイン。
「これだっ!!」
普段のレインを思い出し、一番似ていたレインの肩に手を置く。
すると、またもや不正解のサイレンが鳴り響く。
「残念、またハズレ」
《強欲》の悪魔が指を鳴らすと再び激痛が走る。
先程よりも痛みは酷く、立ち上がるのに時間を要した。
「また……記憶が」
徐々にレインの事を忘れていく。
覚えてる事も少なくなり、レインの存在すらも忘れかける。
「最後の回答権。さぁ、どれを選ぶ?」
《強欲》の悪魔は満面の笑みでエクスを見下ろす。
セレネの修行の成果は素晴らしいものだった。
昔は床に書いたり、詠唱をしたりしていたが、今はもう無詠唱で魔法を使える。
「それではエクスさん。魔石を額に」
指示通り額に魔石を当てると、エクスの意識は遠のく。
気がつくといつもの図書館にいた。
「それでは試練の部屋へどうぞ、マスター」
ムシュの案内の元、試練の部屋へと向かう。
試練の部屋までは無言のまま時間が過ぎ去る。
「では、中へどうぞ」
扉がゆっくりと開き、中には《強欲》の悪魔、マモンの姿をした者が立っていた。
「よくぞここまで来た。今回の試練はお前の心の中の戦いだ。どうなるかはわからない。お前の心次第だ」
《強欲》の悪魔が説明すると、エクスの心臓が光だす。
「これは───」
やがて光が収まると目の前には複数の人間が立っていた。
みるみるうちに影は増えていき、確認できるだけでも数百は超えていた。
目の前の光景に驚いていたが、更に驚く。
人間の姿は何度も何度も見たことがある姿だった。
「レイン……?」
「試練の内容が決まった」
《強欲》の悪魔が手を広げ、目を大きく開ける。
「試練の内容は、目の前の少女から本物を探せ。チャンスは三回のみ。三回間違えると試練は失敗だ」
宝探しのように軽く告げられ、悟る。
確率は1%以下、更に見分けが付かないためほぼ不可能と言っても過言ではない。
「一体何人いると思ってんだ……」
「お前は最近、この少女の事で悩んでいたらしい。お前自身が気づかなくとも心の奥では、いつもこの少女の事を考えていたのだろう」
「確かに、いきなり天使の長だとか言ったり、突然目の前に現れたりと不思議なやつだ。考えない方がおかしい」
「それでは選んでもらおう」
何も始まらないと思い、無作為に選ぶ。
すると部屋中にサイレンが鳴り始め、不正解を告げる。
「残念。それはハズレだ」
不正解のサイレンが終わると同時に、頭の中に電流が走る。
「ぐああああああああああああああ!!」
激しい頭痛によりエクスはのたうち回る。
「不正解、それは即ち罰ゲーム。罰は───この少女に関する記憶の一時的な消去」
《強欲》の悪魔が罰ゲームと言い記憶を消すと、レインの戦い方を忘れる。
徐々に記憶が改竄され、少しずつ忘れていく。
「あぁ……ああ、ああああああっ!!」
壮絶な痛みがエクスを襲う。
体力ではなく、精神を削られて行く。
「さぁ、次を選んでもらおう。残り回答権は二回」
エクスはこの試練を甘く見ていた。
ただ、探し当てるだけだと勘違いしていた。
「記憶の削除……なんて痛みだ。それにこの試練の突破方法が全くわからない」
再度、無作為に選ぼうとするが手を止める。
「何か違いがあるはずだ……もっと慎重に」
周りのレインを見渡すが、それぞれ表情が違い本物なんてわからない。
「これは運?いや、そんなわけが無いもっと考えろ」
目を閉じレインを思い出す。
これまで旅を共にしてきたレイン。
初めて目の前に現れたレイン。
感情豊かで、たまに拗ねるレイン。
「これだっ!!」
普段のレインを思い出し、一番似ていたレインの肩に手を置く。
すると、またもや不正解のサイレンが鳴り響く。
「残念、またハズレ」
《強欲》の悪魔が指を鳴らすと再び激痛が走る。
先程よりも痛みは酷く、立ち上がるのに時間を要した。
「また……記憶が」
徐々にレインの事を忘れていく。
覚えてる事も少なくなり、レインの存在すらも忘れかける。
「最後の回答権。さぁ、どれを選ぶ?」
《強欲》の悪魔は満面の笑みでエクスを見下ろす。
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