最弱が世界を救う。
全力。
「分が悪いってレベルじゃない……こっちは遠距離専門ってのに相手は接近戦型。だからと言って勝ちは譲らないけどね」
「喋りながら戦うとは、余裕ですね。これは命と命の奪い合いです」
近接戦闘があまり得意ではないセレネにとって、ミルティは脅威の一言で片付く。
獣人族ははるか昔から、狩りで食糧を確保していたと言われている。
ミルティがここまで強くなったのは、アブノーマルという理由もあるが、大きな部分は狩人の血が流れているからだ。
「早めに決めさせてもらいます」
懇親の一撃はセレネの黄金の鎧を貫く。
大量に吐血するセレネは自分へ回復魔法を試みるが、ミルティは隙を与えなかった。
「がはっ……私の負け……と、思うでしょ?」
「これは───ッ!!」
野生の勘で、大きく後ろへ飛び逃げようとするが間に合わなかった。
地面に浮き出てきた魔法陣は眩く輝き始め、光はミルティを包み込んだ。
「血の監獄、最後に必要だった血を出させてくれてありがとう。私が使える最高の固有結界、そこから出れるとは思わないでくださいね」
ミルティを縛り付ける血の鎖は体の自由を奪う。
それだけでなく、魔法や能力の使用さえ禁止させる固有結界。
短い修行の間で習得した血の監獄は未完成ながらも、その力は絶大だった。
「ごめんなさい……ご主人様……私……私……」
「そう悔やまなくていいと思います。今回は私が強かった、それだけです。今後の人生で力を磨くといいでしょう」
「せめて、これだけでも」
すぅっ、と大きく息を吸うミルティを見て、セレネは逃げきれないと察し、自身の目の前に光の壁を出現させる。
「無駄な足掻きです、大人しく負けを認め、悔い改めなさい!!」
「メテオ・バズーカ!!」
口の中で圧縮された、空気の爆弾を吐き出しセレネ目掛けて一直線で飛んでいく。
「「はあああああああああああああああ!!」」
爆発した瞬間、時間が止まったように思えた。
実際には時は止まっていない。
が、爆音が鳴り響いたにも関わらず、辺り一帯の地形は何も変わっていなかった。
「やっぱり、最後の一撃を用意していましたか。残念ですが、私の方が上手です」
「何故───今の一撃は私の全てをかけた技……それを止めれるはずが」
力の消耗が激しく、ミルティの喉は限界を迎えていた。
口からは大量の血が溢れ出てミルティは気を失う。
「さて、力の温存は……出来てない。まぁ、相手が相手だったし仕方ないです。あとはお二人に任せるとしましょう」
セレネは無言で、レイン達の方を見て戦いの行方を見守る事にした。
「よく二対一でここまで持ったもんだよ、もう頑張った、じゅうぶん頑張ったから負けを認めなよ」
「慈悲はいらん。私は私の夢を果たす、それまで死ぬ訳には行かない!!」
レインとリリーの二人がかりだったため、戦いは既に決着がついていた。
ソロモンは全身傷だらけで、これ以上血を流すと大量出血を免れない。
それでもなお、ソロモンはレインたちへ刃向かっていた。
「それならもうトドメいっちゃうよ」
星砕きを手に、ソロモンの首へ近づける。
勢いよく振り下ろされると、星砕きは地面とぶつかる。
「無駄な足掻きはかっこよくないよ?素直に負けを認める方がよっぽどかっこいい死に方だと思う」
「貴様が私を殺せないことは分かっている。私が死ねば、エクスとやらも死ぬ。違うか?」
レインは無言のままソロモンを睨む。
実際のところ、ソロモンが言っていたことは図星だった。
特殊な方法で、ソロモンの魂を斬らない限り完全勝利は成り立たない。
肉体へダメージが行くと、もちろんその持ち主はエクスのため、そのままダメージはエクスのものとなる。
その事を理解しているため、レイン自らソロモンを殺すことは不可能。
「仮に殺せないとして、それがどうかした?」
「私を殺すのは恐らくその隣にいるヤツだろ?」
「よく私が貴方を殺すことが出来るとわかりましたね」
「お前は闇魔法が使えるようだな、闇魔法の禁術で魂だけを斬ることが出来る剣が作れると聞いたことがある。だが、その剣使えるのか?」
「さぁ、どうだろうね」
「くくくっ……面白くなってきた。本気を出すとするか」
「負け犬の遠吠えとはこの事か。今の君に何が出来るって言うの?」
「やって見なくてはわからんぞ?」
ニヤリと笑うソロモンへ、レインは狂気を感じ取る。
本当に何か策があるのか、と考え、再度力を集中させ全神経を研ぎ澄ませる。
「グリモワール・ゴエティア全展開、召喚────」
本がパラパラと勢いよくめくれ始め、次々と悪魔が飛び出てくる。
「封印できていないアスモデウスと、殺されたブネ以外の七十体の悪魔だ、全軍敵を打ち滅ぼせ!!」
ソロモンの奥の手、全ての悪魔を召喚させ人を捨てた────。
「喋りながら戦うとは、余裕ですね。これは命と命の奪い合いです」
近接戦闘があまり得意ではないセレネにとって、ミルティは脅威の一言で片付く。
獣人族ははるか昔から、狩りで食糧を確保していたと言われている。
ミルティがここまで強くなったのは、アブノーマルという理由もあるが、大きな部分は狩人の血が流れているからだ。
「早めに決めさせてもらいます」
懇親の一撃はセレネの黄金の鎧を貫く。
大量に吐血するセレネは自分へ回復魔法を試みるが、ミルティは隙を与えなかった。
「がはっ……私の負け……と、思うでしょ?」
「これは───ッ!!」
野生の勘で、大きく後ろへ飛び逃げようとするが間に合わなかった。
地面に浮き出てきた魔法陣は眩く輝き始め、光はミルティを包み込んだ。
「血の監獄、最後に必要だった血を出させてくれてありがとう。私が使える最高の固有結界、そこから出れるとは思わないでくださいね」
ミルティを縛り付ける血の鎖は体の自由を奪う。
それだけでなく、魔法や能力の使用さえ禁止させる固有結界。
短い修行の間で習得した血の監獄は未完成ながらも、その力は絶大だった。
「ごめんなさい……ご主人様……私……私……」
「そう悔やまなくていいと思います。今回は私が強かった、それだけです。今後の人生で力を磨くといいでしょう」
「せめて、これだけでも」
すぅっ、と大きく息を吸うミルティを見て、セレネは逃げきれないと察し、自身の目の前に光の壁を出現させる。
「無駄な足掻きです、大人しく負けを認め、悔い改めなさい!!」
「メテオ・バズーカ!!」
口の中で圧縮された、空気の爆弾を吐き出しセレネ目掛けて一直線で飛んでいく。
「「はあああああああああああああああ!!」」
爆発した瞬間、時間が止まったように思えた。
実際には時は止まっていない。
が、爆音が鳴り響いたにも関わらず、辺り一帯の地形は何も変わっていなかった。
「やっぱり、最後の一撃を用意していましたか。残念ですが、私の方が上手です」
「何故───今の一撃は私の全てをかけた技……それを止めれるはずが」
力の消耗が激しく、ミルティの喉は限界を迎えていた。
口からは大量の血が溢れ出てミルティは気を失う。
「さて、力の温存は……出来てない。まぁ、相手が相手だったし仕方ないです。あとはお二人に任せるとしましょう」
セレネは無言で、レイン達の方を見て戦いの行方を見守る事にした。
「よく二対一でここまで持ったもんだよ、もう頑張った、じゅうぶん頑張ったから負けを認めなよ」
「慈悲はいらん。私は私の夢を果たす、それまで死ぬ訳には行かない!!」
レインとリリーの二人がかりだったため、戦いは既に決着がついていた。
ソロモンは全身傷だらけで、これ以上血を流すと大量出血を免れない。
それでもなお、ソロモンはレインたちへ刃向かっていた。
「それならもうトドメいっちゃうよ」
星砕きを手に、ソロモンの首へ近づける。
勢いよく振り下ろされると、星砕きは地面とぶつかる。
「無駄な足掻きはかっこよくないよ?素直に負けを認める方がよっぽどかっこいい死に方だと思う」
「貴様が私を殺せないことは分かっている。私が死ねば、エクスとやらも死ぬ。違うか?」
レインは無言のままソロモンを睨む。
実際のところ、ソロモンが言っていたことは図星だった。
特殊な方法で、ソロモンの魂を斬らない限り完全勝利は成り立たない。
肉体へダメージが行くと、もちろんその持ち主はエクスのため、そのままダメージはエクスのものとなる。
その事を理解しているため、レイン自らソロモンを殺すことは不可能。
「仮に殺せないとして、それがどうかした?」
「私を殺すのは恐らくその隣にいるヤツだろ?」
「よく私が貴方を殺すことが出来るとわかりましたね」
「お前は闇魔法が使えるようだな、闇魔法の禁術で魂だけを斬ることが出来る剣が作れると聞いたことがある。だが、その剣使えるのか?」
「さぁ、どうだろうね」
「くくくっ……面白くなってきた。本気を出すとするか」
「負け犬の遠吠えとはこの事か。今の君に何が出来るって言うの?」
「やって見なくてはわからんぞ?」
ニヤリと笑うソロモンへ、レインは狂気を感じ取る。
本当に何か策があるのか、と考え、再度力を集中させ全神経を研ぎ澄ませる。
「グリモワール・ゴエティア全展開、召喚────」
本がパラパラと勢いよくめくれ始め、次々と悪魔が飛び出てくる。
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