最弱が世界を救う。
力と代償。
「人を捨ててこそ────手に入れられる力だッ!!」
ソロモンの背中から大きな黒い翼が生え、額には二本の角が現れる。
「あの姿はまた暴走?」
「いや、暴走にしては穏やか過ぎる。嫌な予感がする……」
ソロモンの見た目は魔王そのもの。
きっと誰もが言うだろう────奴は悪者だ、敵だと。
「やはり、こんな世界救う価値すらない!!」
「世界を───救う?君は一体何を」
「もうよい、こんな世界壊してしまおう」
ソロモンの合図とともに、世界全てが震え始める。
後ろで膝をついていた悪魔達は一斉に立ち上がり、空へ浮かぶ。
「やれ」
それぞれで武器を出現させ、レインたちへと進軍する。
数で圧倒的に不利な二人は、静かに目を閉じる。
「世界を壊す?そんなことさせるか!!私達は世界を救うために戦う、全ての悪を断ち切る!!」
「笑わせるな!!何が悪を切るだ!!」
目の前の悪魔達の数を見て、リリーは全ての力を使い屍を呼び起こす。
「とっておきの一発行きますねっ!!」
今までの屍とは違い、装備をつけていた。
盾と剣を持つ者、弓を持つ者。
「これが私の全力、やっちゃえ死者たち!!」
後方から弓の射撃が始まり、前方の盾と剣達は一斉に突っ込んで行く。
悪魔達も負けじと、炎を吐き出したりして、対抗する。
「私達はひとまず悪魔の駆除、その後に親玉を取ろう」
「了解、最後の戦いにしましょうレインさん!!」
二人は笑顔で顔を見合わせ、悪魔の方へ走っていく。
「あの二人は悪魔を優先させるか……予定通りだ。私は力を蓄えるとするか」
ソロモンは卵のようなものを作り、中へと入っていく。
レインはその事を見逃さず悪魔の方へと急いだ。
「リリー、数では五分だけど戦力的にはどんな感じ?」
「こちらはやや劣勢ってところです。一体一体の力が強力で、戦い方が異なるので対処が難しいです」
先制攻撃を決めたリリーの軍隊は、呆気なく押されていた。
数はほぼ同じだが、行動パターンがほぼ同じの者のため、バラバラの力を持つ悪魔達には弱い。
「これは私達が倒すしかないってことかな」
「はい、私の軍隊では到底太刀打ちは不可能かと、時間を稼ぐだけでも精一杯です」
「わかった、だったら私も本気を出す」
少し黒い星砕きを握りしめ、心の中で叫ぶ。
迷いはもう捨てた!!私はエクスくんを助けて結婚する!!だから、だから力を貸して、星砕き!!
「なにこれ……」
星砕きが光り始め、ポロポロと黒い部分が落ちていく。
やがて、全ての黒い部分が剥がれ落ち今までとは違う星砕きが姿を現す。
「この剣は……」
大地を照らす太陽のような輝きを放つ剣を見て、セレネは呟く。
「あれは……明けの明星ですか……?」
優しい光に包まれて、レインはそっと目を閉じ自分の心へ問う。
私は何を守り何のために戦うの?教えて私……
いや、そんなこと聞かなくてもわかっている───全てを守り、守るものを守るために戦う!!
負けるもんか────ッ!!
「まさか、この剣が私に力を……?」
握っていた右腕から力がみなぎるのを感じ取る。
まだ戦える、もっと強くなれる、そう言われているようにレインは思えた。
「だったら、この期待答えなくちゃダメだよね!!大天使なんて称号要らない、私は熾天使だッ!!」
熾天使、と、叫ぶとレインの背中から生えていた翼の数が、六枚から十二枚へと増える。
最強の天使へと送られる称号、熾天使の名を得た天使は十二枚の翼を許される。
「レインさん、その姿は?」
「大天使形態の完全上位互換、熾天使形態です。先ほどまでと数倍は愚か、数千倍もの力を出せます」
「それがレインさんの奥の手、というやつですね」
ニコリと笑うと、レインは静かに一歩を踏み出す。
眩い光りは悪魔達の視界を殺す。
「えっ────」
リリーは一つ思い違いをしていた。
目の前の光景は想像していたものと違い、全てが無になっていた。
近くにあった岩でさえ、消し去っていた。
「ちょっと、聞いていた話と少しどころか全然違うんですが……?」
「全盛期とほぼ同等の力ってところかな。もっと力を出せそうだけど、生き物の領域を超えてしまう」
ポキポキと骨を鳴らし、レインは準備運動を始めていた。
「これ程の力という訳は、その代償は……?」
「勿論あるよ。代償は身体能力の低下。この形態になるだけでものすごく低下して、三回使うと一生動けない体になる」
「三回……残り二回ですか。その力を使う時が来ないことを願うばかりですね」
リリーは少しばかり冗談を言い、目の前に広がる光景を眺める。
七十体の悪魔は全滅。
灰すら残さず消えた。
恐らくはレイン一人で倒したのだろう────
ソロモンの背中から大きな黒い翼が生え、額には二本の角が現れる。
「あの姿はまた暴走?」
「いや、暴走にしては穏やか過ぎる。嫌な予感がする……」
ソロモンの見た目は魔王そのもの。
きっと誰もが言うだろう────奴は悪者だ、敵だと。
「やはり、こんな世界救う価値すらない!!」
「世界を───救う?君は一体何を」
「もうよい、こんな世界壊してしまおう」
ソロモンの合図とともに、世界全てが震え始める。
後ろで膝をついていた悪魔達は一斉に立ち上がり、空へ浮かぶ。
「やれ」
それぞれで武器を出現させ、レインたちへと進軍する。
数で圧倒的に不利な二人は、静かに目を閉じる。
「世界を壊す?そんなことさせるか!!私達は世界を救うために戦う、全ての悪を断ち切る!!」
「笑わせるな!!何が悪を切るだ!!」
目の前の悪魔達の数を見て、リリーは全ての力を使い屍を呼び起こす。
「とっておきの一発行きますねっ!!」
今までの屍とは違い、装備をつけていた。
盾と剣を持つ者、弓を持つ者。
「これが私の全力、やっちゃえ死者たち!!」
後方から弓の射撃が始まり、前方の盾と剣達は一斉に突っ込んで行く。
悪魔達も負けじと、炎を吐き出したりして、対抗する。
「私達はひとまず悪魔の駆除、その後に親玉を取ろう」
「了解、最後の戦いにしましょうレインさん!!」
二人は笑顔で顔を見合わせ、悪魔の方へ走っていく。
「あの二人は悪魔を優先させるか……予定通りだ。私は力を蓄えるとするか」
ソロモンは卵のようなものを作り、中へと入っていく。
レインはその事を見逃さず悪魔の方へと急いだ。
「リリー、数では五分だけど戦力的にはどんな感じ?」
「こちらはやや劣勢ってところです。一体一体の力が強力で、戦い方が異なるので対処が難しいです」
先制攻撃を決めたリリーの軍隊は、呆気なく押されていた。
数はほぼ同じだが、行動パターンがほぼ同じの者のため、バラバラの力を持つ悪魔達には弱い。
「これは私達が倒すしかないってことかな」
「はい、私の軍隊では到底太刀打ちは不可能かと、時間を稼ぐだけでも精一杯です」
「わかった、だったら私も本気を出す」
少し黒い星砕きを握りしめ、心の中で叫ぶ。
迷いはもう捨てた!!私はエクスくんを助けて結婚する!!だから、だから力を貸して、星砕き!!
「なにこれ……」
星砕きが光り始め、ポロポロと黒い部分が落ちていく。
やがて、全ての黒い部分が剥がれ落ち今までとは違う星砕きが姿を現す。
「この剣は……」
大地を照らす太陽のような輝きを放つ剣を見て、セレネは呟く。
「あれは……明けの明星ですか……?」
優しい光に包まれて、レインはそっと目を閉じ自分の心へ問う。
私は何を守り何のために戦うの?教えて私……
いや、そんなこと聞かなくてもわかっている───全てを守り、守るものを守るために戦う!!
負けるもんか────ッ!!
「まさか、この剣が私に力を……?」
握っていた右腕から力がみなぎるのを感じ取る。
まだ戦える、もっと強くなれる、そう言われているようにレインは思えた。
「だったら、この期待答えなくちゃダメだよね!!大天使なんて称号要らない、私は熾天使だッ!!」
熾天使、と、叫ぶとレインの背中から生えていた翼の数が、六枚から十二枚へと増える。
最強の天使へと送られる称号、熾天使の名を得た天使は十二枚の翼を許される。
「レインさん、その姿は?」
「大天使形態の完全上位互換、熾天使形態です。先ほどまでと数倍は愚か、数千倍もの力を出せます」
「それがレインさんの奥の手、というやつですね」
ニコリと笑うと、レインは静かに一歩を踏み出す。
眩い光りは悪魔達の視界を殺す。
「えっ────」
リリーは一つ思い違いをしていた。
目の前の光景は想像していたものと違い、全てが無になっていた。
近くにあった岩でさえ、消し去っていた。
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ポキポキと骨を鳴らし、レインは準備運動を始めていた。
「これ程の力という訳は、その代償は……?」
「勿論あるよ。代償は身体能力の低下。この形態になるだけでものすごく低下して、三回使うと一生動けない体になる」
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