嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

遭遇

俺は自意識過剰かもしれないが記憶力はかなりのものだ。それをときにぼっちになるために、時にリア充になるために使った。つまり記憶とは、かなり極端なものであるといえよう。で、だ。北風原、数年前、というキーワードで思い浮かぶのはほんとに少ない。北風原といったら千葉、千葉といったらマッカンでマッカンといったら美味しい、田園調布駅近くにマッカンが売ってるね、やった。みたいに連想されてしまう。マジでこれ、病気かなんかなの?いや、まあ、実際のどまで出掛かっているんですよ。ただなぁ。この人が俺の知っている北風原さんと同一人物だとは思えない。
「えーっと、じゃあ、一つヒントを下さい北風原さん」
「あまり名前を呼ばないでくれるかしら。不快だわ」
「不快なのはこっちだ。何で上から目線なんだよお前」
「だからお前という言い方はやめなさいといっているでしょ。馬鹿なの?」
「いいや、俺は学習能力に自身がある。むしろ俺ほど一度した失敗をしない人間はいないほどだ。というかさっきから何一つ俺の質問に答えてないだろうが」
ほんとにこの人、何でこんなに上から目線な訳?いや、それ以外にも聞きたい事は山ほどあるし実際口にしてるんだけどおかしいだろ。こいつ。
「あなたが最高だというのならこの世界の人間は随分と程度の低いということになるわね。全くものすごい低レベルな世界だわ」
「ああ、ほんとだよな。誰一人何一つ俺に勝てないんだもんな。そのくせ努力もしないんだぜ。全く、馬鹿だし愚かだし程度が低いよなぁ。」
「あなたがそういうことを言うほどの人間では無いと思うのだけれど。」
「うっせぇ。って言うか何言わせてるんだよ。で、何でお前は上から目線な訳?」
「お前という言い方は・・」
「貴女様、何故上から目線なのでございましょうか」
面倒なので雑な敬語を使ってみる。しかもトーンを操作して。ここまでやられたら絶対殴りたくなるだろうなぁ。まあ、無理だろうけど。
「・・・まあいいわ。というか逆に聞きたいのだけれど何故私があなたの上じゃないと思っているのかしら。それが甚だ疑問でしょうがないのだけれど」
「どんだけ自信過剰なんだよ。ちょっと俺も引くぞ。」
「え?だってあなたは私より劣っているでしょ?」
「どこが?」
「すべてに於いてよ。あなた、さっきこの世界の人間は誰一人何一つ自分に勝てないだなんて言っていたけれどそれは本当に人生をきわめた人間のみが言うべき言葉だわ。」
「何を言ってるんだ。俺は」
「コホン。お前達の話は私がいなくなってからにしろ。私もちょっと胸が痛かった。それで、まず今日からここが片付くまで毎日放課後は、君達二人にここを掃除してもらう。拒否権は無い。何、明日からは鍵もあけておくし私に案内されなくてもいいだろうからホームルームが終わったらすぐに来たまえ」
俺たちの会話がヒートアップしているように見えたのか先生が心苦しそうにこちらをみながら話す。あ、やべえ、ちょっとだけ先生に聞かれたな。まあ良いか。
「承りました。その代わり」
「ああ分かっている。約束は守る」
「それでお願いします。では」
そういうと先生は第二図書室から立ち去った。普通にマジでかっこよかったのでびびったんだけどそれよりも俺は、北風原にイライラしていた。
「それで?何でお前が上からなのか、だったな」
「だから、言っているでしょ?あなたは、私に何一つ勝てていないのだから私が上から目線で話すのは当然でしょ?それが強者の権利」
「だ・か・ら。そこが間違ってるんだって。俺はお前に何一つ勝ってないわけ無いだろ?どこからそんな自信が湧いてくるんだよ」
全く、こいつの自信過剰っぷりは軽くひくレベルだ。だが、ここでひくわけにも行かない。あ、別にかけても無いぞ。
「根拠をあげましょうか?例えばそうね・・。私は中学校3年生のころ全ての陸上競技で女子種目日本第1位をとっているのよ。男のあなたとは言えどうせ引きこもりであろうあなたぐらいになら身体能力でも勝っているでしょうし勉強でも学年1位だったわ。勿論主席だったし。順位を公開されていないから信じられないかもしれないけれど根拠を見せてあげましょうか?」
「いやいい。なるほどなぁ。そういうことか。」
こいつの自身の根源は何となく分かってはいる。でも、でもな。こいつは人生をまだ極められていない。なぜなら俺に負けているからだ。俺はこいつが俺みたいに演じていることを気付いた。こいつは気付いていないみたいだしな。それにこいつが根拠に上げたポイントも俺には無意味だ。
「ま、もうめんどくさいしいいわ。勉強とかアホ臭い」
「そういう人間に限って愚かなのよ。だからあなたも程度が低いのよ。まあいいわ。それで話を戻しましょう。思い出したの?私のこと」
「理解したし思い出した。だがまあ、まだ信じられないな。お前がここまで頑張るとは思ってもみなかった。けどまあ、頑張ったじゃん」
「馬鹿にしているの?なにかしらその上から目線」
「うんや。すみませんね。俺の中学の時の同級生だったんだろ?お前もこっちのほうに出てきたんだな。」
「・・・・・・・まあいいわ。でも、あなたには撤回してもらうわ。そうしないと気がすまないもの。」
こいつが何を撤回しろといっているのか、俺には分からなくない。俺だってそうだ。俺だってもしも生半可なリア充が「この世界は腐ってるだろ」とか言い出したらその言葉を撤回させるし俺みたいな努力をせずに一点において少し人より上回っているからって自慢している人間がいれば絶対にその心を打ち砕いてぼろぼろにして撤回させるだろう。
「そうだなぁ。気持ちは分からなくも無い。でもなぁ、俺はそれに関しては撤回するわけにも行かないしなぁ。実際この世界の奴らの程度の低さは半端ないし」
俺がその一言を発した瞬間北風原は、怒りの色に染まった。
「あなたに何が分かるの?」
「全て分かるぞ。お前の気持ちも分かるしなぁ。俺を舐めるな。」
俺にはわかる。こいつも俺と同じように世界が腐っていることを証明したかったのだろう。でもな。こいつはまだ人生を極めきっていない。サブ要素を何一つ攻略しきっていないしこいつは、縛りプレイもしていない。そういったことの果てにある完クリをこいつは成し遂げてないのだ。それからは無言でお互い作業をした。まず壁紙を張り替えるとのことで業者を明日にでも呼ぶためにお願いの電話を入れてそれぞれ話し合うことも無く壁紙を張り替えやすいように掃除をした。


その日の帰り際、意外なことに北風原は口を開いた。
「ねぇ、あなたって誰かと付き合ったことがあるの?」
「あ?あるわけ無いだろ。めんどくさいし程度が低い奴に好意をもてない。」
「そう。ならばあなたがもし世界を極めきっていたとしてもまだ世界が程度が低いと認定できないようね。まあ、まだ極めきっているほどあなたがすごい人だとも思わないけど」
その一言の意味が分からない。
「は?」
「恋って言うのは奥深すぎるミニゲームなのよ。だから」
そういい残して北風原は帰った。


ほんとに意味が分からん。上から目線でうざいやつ。

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