嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

働け

KAMOとの対戦も終わりかなり気持ちいい勝利を収めて気分よく眠ろうと思って風呂でもはいるかと思ったら拓に構いっぱなしの春が作文について思い出させてきたのだ。マジで本当に意味が分からない。おそらく先生もこれが狙いなんだろうなぁ。家でも学校でも忘れさせないという・・・。あわよくば何?北風原と八街と再会させて少しでも面白くしてやろうとか?まあ、そんなところだろう。根はしっかりとした先生だしそれを考えると真面目に俺のことを考えていたのかもしれないけれどどちらにしたってそんなのはおせっかいだし作文だって正直書きたくない。いや、分かるんだよ。俺は、確かにかなりの文章力だし大抵のやつよりかは優れている。でもさぁ。俺がめんどくさいって言ってるんだからやらせる必要ないと思う。なので完全スルー。昔はかなり可愛げがあって俺としてもシスコンになりそうだなぁ、とか思うレベルだったんだけど今は違う。ネットで人気のネットアイドルみたいになっちまったし拓に構いまくってるしわざわざ春の機嫌をとる必要性もないのだ。さっさと風呂にはいって寝よう寝よう。


その日。いろんなことを考えた。けれども寝ている間に何を考えていたのか忘れていてそれは俺の記憶力がないとかそういうことじゃなかった。きっと考えていてそれを記憶にとどめる必要は無いと思ったんだろう。だからまあ、気にしてはいない。いつものようにバッグを準備して朝飯をさっさと作る。春の分の昼飯は作ってやら無いといけないので多めに作って弁当につめる。そんな何てことも無い動きだが今日は一ついつもと違う点があった。いつもは、俺が起こさないと起きない春が今日は自主的に、しかも俺が朝飯や弁当を作っているような結構早めの時間帯に、である。そんなこと普段ならありえないし拓はまだ寝ているだったら早く起きる必要性は無いわけでもしも起きたとしても二度寝しているはずだ。けれども今日は二度寝さえしてはいない。
「おい、春。今日、何か用事でもあったのか?」
「え?別に無いけど?なにぃ?お兄ちゃん、遂にシスコン?」
「違うっつの。そうじゃなくて今日起きるの早いじゃんか。」
うざったい笑みを見せてくる春に強めのデコピンをくらわせながら言う。
「ああ、まあちょっと色々ね」
「宿題か?」
「そんなんじゃないよ。私を何だと思ってるの?」
「・・・・・・馬鹿?」
「疑問系なところが逆に辛いよ。そうじゃないって。そうじゃなくてお兄ちゃんの作文を読んでおきたいなぁって思ったの。お兄ちゃんが変なのかいてたら嫌だし」
「ああ・・・」
やばい。書いていない。妹に媚を売って機嫌をとるつもりは勿論無いがそれでもだめな兄という印象をつけてしまっては勉強を教える時に差支えがある。」
「何だ?あれまだ書いてない。じっくり考えて書こうと思って」
「ふーん。人生についてなんだって?今日中にもう一度提出するようにって先生が言ってたから後で書いといたほうがいいと思うよ。」
なるほど春、それが狙いか。先生の回し者なのね。いいんだよ。この世界に俺の味方はいないし肉親も敵だと思って過ごしても変わらないんだから。
「はいはい。ほら、出来たからさっさと食え」
「おー、お兄ちゃんありがとー」
朝飯が完成し俺達は手早く朝飯を食べてからしょうがないので作文をもう一度無難なものにして書き終え登校することにした。


そして、今職員室。もう何日目か分からないぐらいにきているわけでしかもその理由が全て作文。始めの出よかったと思うんだけどなぁ。先生が自分の我侭を通す為だけに書き直しの指示を出したりしなければよかったと思う。
「さてさて、何故こうなる?」
「いや、普通にやりました」
「君らしくないだろうが」
「俺らしさとか求められてません。先生の出した課題は『人生』についての作文です。それ以外は指定が無く1度目は教育上悪いかもしれない、2度目は提出するのを躊躇う、という理由でした。それらを考慮するとこういった内容の作文は間違いじゃないはずです。むしろこういった内容の作文を提出している人は多いでしょう?これを提出したくないなら俺以外の奴の作文を出せばいいでしょ。ほら、それこそこの間の北風原とかは頭もいいんでしょ?」
「ああ、彼女はな。少々文学的センスにかけるというか真面目真面目しすぎているのだよ。君よりかは無いがそれでも文章力には長けているんだがな。それを面白いほうにもっていけて無いというか真摯過ぎる文章なんだよ。」
だからって俺にやらせようとするのはおかしい。
「いや、でもあいつくらいなんじゃないですか?人生について語れるのなんて。面白い方向にもっていかなくても真摯な文章だって悪くないでしょ」
「つまらない。みているだけなら面白いんだがな。純文学とラノベ、パッとみるだけならば純文学も興味深いと感じるが一度ラノベを知ってしまうと純文学を読んでいて非常につまらないと感じるだろ?あれと一緒だよ」
先生の言わんとしていることは分かる。要するに北風原の文章は所々確実に人の気をひけるような技術が使われているのだ。けれども明らかに足りていない部分がある。全体が面白くない。いくら技術をしっかりと使っていようと読み手を巻き込んで笑わせることの出来るような文章ではない。


文章には人の心情が映るという。これはまあ、俺の持論という部分もあるがよく言う話しだし母さんだってよくそういっている。例えば真面目腐っている無難な文章。それを書いた奴はまだ、自分をしっかりとみれていないのか言葉を真面目に使っていないのかのどちらかだ。俺のようなラノベ調の作文を書く奴は絶対にひねくれているし影響を受けすぎている。北風原のような真摯過ぎる文章を使っている場合真面目でまっすぐすぎるのだ。面白さを知らない。文章の面白さと話の面白さが同義では無いと思っているのだ。けれど違う。文章で面白い話は話に出したって面白い。北風原について言えばかなり真面目ってことだろう。
「じゃあ他にいないんですか?そこそこの人数いるんだし一人ぐらいはそういうのを書く奴がいるんじゃないですか?」
「分かった。ならばこうしよう。今日も君には第二図書室に言ってもらう。そこに北風原がいる。だからそこで働け」
「は?働く?」
「ああ。私の直属の部隊だ。」
「意味が分からないです」
「生徒会ってあるだろ?あれに似たやつだ。」
「なら生徒会を直属の部隊にすれば」
「生徒会は内申点目当てなやつらばかりでな。それに生徒会の顧問は私じゃないんだ。私の頼む仕事をさせるのにも許可がいるだろ?」
「うわーー。それで?作文は?」
「書いてもらう。2週間後までにでいいから学べ」
「何を?」
「まあそれは自由だ」
「分かりました」
横暴な先生の決定でよく分からん仕事をやることになった。

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