嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

レッドフード

『そこの本棚の陰に隠れてる。さっき言葉をさえぎられていらっとしたから俺がそぅっと行って捕まえる。お前らは怯えてるふりをしてくれ』
そのメールをみた2人はどこか子供の悪戯をみるような感じで笑ってから頷いて話し始めた。


俺は、印象の操作が得意である、といったが印象操作以外にも操作することはできる。その中には存在感の操作、というものも含まれていて足音を完全にかき消して存在感を消して近づくぐらい容易い。流石にステルス能力とか人並みはずれた力を持ち合わせてはいないがそれでも忍者並には隠密スキルがある。2人が明らかに怯えているような演技をしている間に俺は近づいていって目が見えていればその姿を確認できるようになった。それから一歩一歩と進みさっと後ろから捕縛。とりあえず気絶させる。
「な、天界の回しも・・・ぐ」
「ふぅ。ちょろいな。」
俺は、気絶させたそいつを背負って2人のいる中心部に戻る。だが、俺の姿をみるなり北風原の色が怯えて呆れの色に変わった。
「なんだよ」
「あなた、性犯罪者にしか見えないのだけど。そのなれた手つきは明らかに前科があるとしか思えないわ。そんな技術どこで磨いたの?」
「ああ、これは昔、体を鍛えた時に暇な時間に練習した。ちょうど暗殺ものにはまってたんだよ。それで気絶させる技術を学んだ」
「・・・・・・・誰かに試した?」
「こいつが初だ」
「死んだらどうするの?」
「俺の言葉をさえぎった罰だし甘んじてうけいれ」
「る訳がないでしょ。あなたってそういう所が雑なのね」
「・・・すまん」
ちょっと悪戯したつもりがやりすぎたようだ。まあ、気絶させる技術ぐらい健全な高校生なら磨くよな、普通に考えて。悪い事をするかどうかは別としたって影響を受けてやりたくなるのは普通のことだ。
「でもしょうがないだろ。変に暴れられたほうが迷惑だろ?」
「まあ、それもそうね。それにしてもこの子、どこから入っていたのかしら」
俺は、とりあえず背負っていたそいつをおろして椅子に座らせる。そして一度やってみたかったので手を縄できつく縛ってハンカチで視界を奪う。因みに縄は、何故か気絶してる奴がもっていた。なのでそれを使っておいた。
「師匠?これはやりすぎじゃ?」
「俺の言葉をさえぎった挙句俺たちを馬鹿にしたんだ。愚民とか言ってたしな。何よりこいつは明らかに中2病。めんどくさい事この上ない。息は出来るようにしてるんだし犯罪じゃないだろ。」
「十分犯罪よ。さっさと自首しなさい」
「そういうなって。ほら、こいつの服装みてみろよ。真っ赤なパーカー着てフードまで被って明らかに校則違反だ。北風原が気付かなかったってことは北風原より早くここに来たってことだろ?どう考えても真面目なやつだとは考えにくいし暴れられてこっちが暴力を振るわないといけない展開になったら面倒だろ?」
俺は、しっかりと考えて行動しているのだ。別に考えてないわけじゃない。犯罪かって言われてしまうと犯罪の可能性もあるがしょうがない。通報だけはさせないようにしないと。
「洞察力は、やっぱりかなりあるのね。確かにあなたの言い分は理にかなっているわけだしいいのだけれどだからといって縛る必要性はないのではない?あなただけならまだしもここにはハチちゃんと私がいるの。ハチちゃんはクラスに馴染むのがさらに難しくなるし私だって損失を被るのは確実。」
「その論理は、分からなくもないな。・・・しょうがない。解くか」
いわれてみると2人に迷惑をかけるのは明らかなので解くことにして縄を解く為に近寄る。だが、タイミングが悪い。そいつの意識が戻ってしまった。
「んんん・・・・・・こ、これは。っく・・視界が奪われているだと・・・。手足も縛られている。敵も中々やるっっ。」
「やべ・・」
「・・・・・・」
「師匠。如何いたしますか?」
正直、思いやり部のおの字も感じさせないような状態だった。だが、そんなことを気にしている場合でもない。さっさと考えなくてはマジでやばい。いや、ホントにやばい。
「くっくっく。敵も愚かよ。闇の魔神、吸血鬼である我を敵にするなど」
「どうするか・・・・」
「葬りますか?」
「何故そうなる??」
「両親が言っていました。主人公を捕らえた犯人はすぐに主人公を葬らないから捕まるんだって」
「それは、刑事ドラマだ。全く、お前の親御さんも大概だな。まあ、とりあえず話を聞くか?」
「そうね。懸命な判断よ」
思いやり部の意見としては葬る1票話を聞く2票によって話を聞くことに決定した。なにそれ、無茶苦茶物騒じゃん。
「んん」
「ひぃ・・・・・紅き吸血鬼レッドフードである我に恐怖を感じさせようなど無駄無駄ぁぁ・・・。うぅぅさ、さっさと立ち去れぇぇ」
「なぁ、一人で盛り上がってること悪いが何しに来たんだ?」
「今更和解しようなど愚か。我が極炎魔法で跡形も無くしてやる」
「っち」
「ひぃぃぃ・・・。こ、怖くなど・・」
明らかにやばい奴だった。というか話がかみ合ってなくてちょっとうざいので殴ろうかと悩んだ。ただ、血液の流れなどからみるに俺たちと同年代であることは分かった。
「はぁ。い・い・か・ら何をしに来たのか言え。そろそろキレるぞ」
「ぅぅぅ。わ、我は常にここに巣食っておる。」
「は?」
「こ、ここは我の住処。」
「あ?」
「師匠。犯罪者にしか見えないのですが・・」
「いや、だって意味分からんことを口にするからイライラして」
「ここに巣食う・・・住処・・。この部屋の主は自分だ、とでも言いたいのかしら」
「そ、そのとおり。我は、ここの王によりこの部屋を与えられたのだ」
「・・・王?理事長のことか?」
「多分そうでしょうね。」
「彼は、我が魔力を認めこの部屋を与えたのだ。しかし我が部屋と思ってきてみればおぬし達がいるではないか。」
「魔力?ちょっと待て。お前名前なんていうんだ?」
「くっくっく。いまどきの若者は礼儀も知らぬか」
「っち。お前今の状況分かってるのか?」
俺の予想通りならこいつはかなりすごい奴なのだがあまりにもぐちぐちと五月蝿いので脅して聞くしかない。マジで普通に。キレている。
「ぐぅ・・・・。我が名は闇の魔神、吸血鬼の中でも亜種である紅き吸血鬼レッドフード。人間界ではその身分を隠すため求名蜜ぐみょうみつと名乗っておる」
「やっぱり」
やはり俺の予想通り。こいつ天才だ。

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