屋根裏見たら異世界降臨

ノベルバユーザー198902

21話 再来と蛇に睨まれたカエル

「うっ戻ってきた」


なんか変な感じがする。


「・・・うぇぺっぺっうぇぇ」


起きた瞬間口の中に異物感があり思わず吐き出してしまう。


「砂?」


「おはようハルキ!起きて早々どうしたの?」


「いや、口の中に砂が入ってたみたいなんだ」


吐き出しても吐き出しても取れない、異物感。


「それよりも」


思わず、砂漠を遠目で見てしまう。あそこに大蛇がいる。


1度、恐怖。殺気。その威圧感に屈してしまった敵。


「思い出すとやっぱり体の震えが止まらねぇや。」


倒す。そう決めても体が、脳が、魂が全身全霊で怖がる敵。


それが


大蛇というモンスター


この世界の大モンスターの1体


「ハルキ大丈夫?体が震えてるよ?」


「えっ?」


メネルには何気ないかもしれないがハルキからしたらいちど目の前で死んでる人が、生きているんだ。不思議でしょうがないだろう。


「ふぅ。大丈夫だ。」


「う、ん?」


「ナツ起こしといてもらえるか?」


「分かった!」


その間に身支度をすませ心を落ち着かせ、メネル達のところへ戻る。


「ナツ起きたか!おはよう」


「おっおはよう!」


どうやらナツも、口の中かに何か、いや、砂が入ってたようだ。


「さて、出発するぞ!」


メネルやナツも「おー!」と応える。


・・・・・・・・・・・


出発してどのくらい経ったのだろうか。砂の大地に一歩。そしてまた一歩とゆっくりと足跡がついて行く。


「あっちぃ~」


ジリジリと照らすような暑さ。一歩一歩踏みしめるたびに砂からも暑さが伝わってくる。


だが油断はできない。


大蛇がいつ来るか分からないから。


俺は、そいつを目の前にして立ってられるのか。逃げないでいられるのか。走ってそいつに、向かっていけるのか。


それが知りたいから。


それを自分に問いたいから。


「メネル、ナツ大丈夫か?」


ちょっと遅れて追いかけて、歩いてくるメネルとナツ


「うー、ハルキ休憩しよう?」


「そうだな!俺も疲れたし、ちょうどあそこに岩陰があるし、休憩しようか!」


そう言うと岩陰へ向かう。


「ふぅ」


そう言うとハルキ、メネル、ナツという順番で岩に座る。


「涼しいー♪ハル!ずっと、ここにいたい」


「おいおいおい、これから強敵と戦うんだぞ!のんきなことは言ってられない。」


「強敵?その、ネクロマンサーと、ヴァーギルの事?」


ナツが言いにくそうにつぶやく


「いや、また違う強敵だ。」


「名前は?」


今度はメネルが聞いてくる。


「それはっ」


急にピタリと風が止む。それと同時に気配がする。


「なにか来る。剣を抜けっ」


その瞬間、目の前の砂漠から何かが出てくる。


「えっ?」


その姿がわかる前にジリジリと、いやビリビリという表現の方が正しいであろうか。


「気配が、威圧感が、殺気が体にビリビリと照りつけてくる。なんなのハルキ?」


「ハル?」


「はぁはぁはぁはぁはぁ」


次第に呼吸が荒くなる。段々と鼓動も早くなってくるのが感じられる。


「ハルキ?」


それが完全に姿を現し、なにか分かった頃には息を吸うという概念を忘れていた。


「っ!」


「まさかハルキが村にいる時に言ってた・・・!?」


「えっ?あの、大モンスターの?」


そいつを目の前にしたか
ら。


「大蛇ぁ!」


吠えても、口は動いても体が動かない。息を吸うという概念が戻ってきて息を吸うが、それでも呼吸が荒い。


「ハルキ!なんとかしなくちゃ!!」


久しぶりに、いや、ちょっと前に思い出したばっかりだった。


『蛇に睨まれたカエル』


この事を。

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