屋根裏見たら異世界降臨

ノベルバユーザー198902

34話 これは一つ目の物語

今度は一つ目の物語。


少しさかのぼる。


体に感覚が戻ってくる。


「おい待てよ。まだ終わらねぇ。」


「んっ?まだ生きてたか。」


立ち上がり剣を構え直す。


「こんなんじゃ終われない。」


仲間が戦ってるんだ。


「お前を救い出す。永遠に抜けない闇から。」


「それでどうなる?」


「俺は俺以外の闇をすべて飲み込む。闇は俺だけでいい。」


「昔の俺と同じ事を。」


「ヴァーギルもそう思ってたのか。」


「が、現実はそうは行かない。そんな簡単には、救えない。自分が身を持って実感できるはずだ。」


「そうなったとしても俺は考えを変えない。」


「きっと分かる」


「いや分からない」


一度味わいそうなった少年とまだそこにすら行ってない少年。どちらの方が説得力があるだろうか。


そしてドーピングもあと二分。必殺的になるであろうさらなるドーピングで決めなければならない。


「時を残しさらなる高みを。闇と時がかなさる時、それは誰にも止められない。」


頭に浮かぶ詠唱文。それを口に出す。


「【時空斬・幻影】」


気分が違う。吐き気がする。が、気分の方は悪くない。先程とは全く異なる。


ギィィィィン


再び甲高い音が鳴り始める。

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