勇者の孫、パーティーを追放される~杖を握れば最強なのに勇者やらされてました~
第十六話 『地下ダンジョン』
「ほいっとー。楽勝ー」
ミカの気の抜けた声が響く。
彼女の短剣による攻撃がゴブリンの心臓を貫いたのだ。
今日は合宿五日目。
爺ちゃんが「そろそろ実践訓練じゃな」と言って連れてきたのは地下ダンジョン。
二層からなる小さなダンジョンだが、適度にモンスターがいるため訓練には丁度良い場所だ。
「ミカちゃん! 油断してはいけませんよ」
エリザはミカの後ろで見守っている。
「エリザっちこそ後ろ見て、後ろ!」
エリザが振り向いたときにはもう遅い。
隠れていたもう一匹のゴブリンの棍棒がエリザの頭に直撃する。
「うぐぅ~」
いつも通りエリザは戦闘不能なるかと思いきや、
「――負けません!」
ゴブリンをステッキで殴りつけた。
ゴブリンは予想外の反撃に怯んだ様子を見せる。
「やあぁぁー!」
その隙にミカが飛び込み、ゴブリンの喉笛を真一文字に切り裂いた。
「いえーぃ! 二匹目も楽勝~」
エリザとミカはハイタッチを交わす。
「ふむ、二人とも順調に成長しているようじゃの」
爺ちゃんは顎髭をさすりながら満足そうに呟く。
「今エリザ攻撃に一回耐えたよな? 防御魔法を張っていた様子もなかったんだけど、どういうことだ?」
「エリザにはこの五日間、防御力を上げることを中心に鍛えさせたのじゃ。ちょっとやそっとの攻撃ならもう効くまいよ」
なるほど、HPを上げられないなら防御力を上げてしまえばよいということか。
耐えられる攻撃に限界はあるだろうけど、今までより安心して冒険に連れていくことが出来るな。
「ところでの、アルフよ」
「ん?」
「あの二人のどちらを嫁に迎えるつもりなのじゃ?」
「ぶっ!? 突然何言いだすんだよ」
「ムチムチのエリザの胸も良いし、プリプリのミカのお尻も良い。お前さんが羨ましいぞ。夜の生活も楽しいじゃろうに」
このジジイ……、二人を色目で見やがって。
「俺達はそんな関係じゃないって」
と否定してみたものの、視線は自然と彼女らのバストとヒップに向かってしまう。
たゆんたゆんに揺れるエリザの胸。
ぷるるんと突き出すミカのお尻。
あー、ダメだ! こんなこと考えてる場合じゃないだろ俺!
「アルフとお爺さん何お話してるのー? うちの名前が聞こえたような気がするけどー?」
ミカがにゅっと顔を乗り出して聞いてくる。
「な、なんでもないぞ! ミカは戦闘に集中しろって!」
「えー、気になって全然集中できないしー」
「どうしたんですかミカさん? 内緒の相談はダメですよ。わたしも入れてください」
エリザまで来てしまった。
「ふむ、お主ら二人のどちらがアルフのよ――」
「わー!! わーわー!!」
大声を上げて爺ちゃんの声を打ち消す。
「ごまかすなんてますます怪しいしー。もしかしてー、エッチな話でもしてたのー?」
腰のベルトを後ろに引っ張り挑発的なポーズを取るミカ。
こいつ、話を全部聞いてたのか!?
「不潔ですアルフさん! エッチな目でみるならせめてわたしだけにしてください!」
泣きそうな目でこちらを見るエリザ。
エリザだけならエッチな目で見てもいいのか……って違うだろ!
「馬鹿なこと言ってないで早く次の階層に行くぞ!」
「ぶーぶー! そうやって逃げるのはー、良くないと思うしー」
「そうですよアルフさん! あとでしっかりと話してもらいますからね!」
結局その日は訓練を終えてからも追及は止まず、ただの付き添いのはずの俺が訓練生の二人よりもよっぽどくたくたになってしまったのだった。
ミカの気の抜けた声が響く。
彼女の短剣による攻撃がゴブリンの心臓を貫いたのだ。
今日は合宿五日目。
爺ちゃんが「そろそろ実践訓練じゃな」と言って連れてきたのは地下ダンジョン。
二層からなる小さなダンジョンだが、適度にモンスターがいるため訓練には丁度良い場所だ。
「ミカちゃん! 油断してはいけませんよ」
エリザはミカの後ろで見守っている。
「エリザっちこそ後ろ見て、後ろ!」
エリザが振り向いたときにはもう遅い。
隠れていたもう一匹のゴブリンの棍棒がエリザの頭に直撃する。
「うぐぅ~」
いつも通りエリザは戦闘不能なるかと思いきや、
「――負けません!」
ゴブリンをステッキで殴りつけた。
ゴブリンは予想外の反撃に怯んだ様子を見せる。
「やあぁぁー!」
その隙にミカが飛び込み、ゴブリンの喉笛を真一文字に切り裂いた。
「いえーぃ! 二匹目も楽勝~」
エリザとミカはハイタッチを交わす。
「ふむ、二人とも順調に成長しているようじゃの」
爺ちゃんは顎髭をさすりながら満足そうに呟く。
「今エリザ攻撃に一回耐えたよな? 防御魔法を張っていた様子もなかったんだけど、どういうことだ?」
「エリザにはこの五日間、防御力を上げることを中心に鍛えさせたのじゃ。ちょっとやそっとの攻撃ならもう効くまいよ」
なるほど、HPを上げられないなら防御力を上げてしまえばよいということか。
耐えられる攻撃に限界はあるだろうけど、今までより安心して冒険に連れていくことが出来るな。
「ところでの、アルフよ」
「ん?」
「あの二人のどちらを嫁に迎えるつもりなのじゃ?」
「ぶっ!? 突然何言いだすんだよ」
「ムチムチのエリザの胸も良いし、プリプリのミカのお尻も良い。お前さんが羨ましいぞ。夜の生活も楽しいじゃろうに」
このジジイ……、二人を色目で見やがって。
「俺達はそんな関係じゃないって」
と否定してみたものの、視線は自然と彼女らのバストとヒップに向かってしまう。
たゆんたゆんに揺れるエリザの胸。
ぷるるんと突き出すミカのお尻。
あー、ダメだ! こんなこと考えてる場合じゃないだろ俺!
「アルフとお爺さん何お話してるのー? うちの名前が聞こえたような気がするけどー?」
ミカがにゅっと顔を乗り出して聞いてくる。
「な、なんでもないぞ! ミカは戦闘に集中しろって!」
「えー、気になって全然集中できないしー」
「どうしたんですかミカさん? 内緒の相談はダメですよ。わたしも入れてください」
エリザまで来てしまった。
「ふむ、お主ら二人のどちらがアルフのよ――」
「わー!! わーわー!!」
大声を上げて爺ちゃんの声を打ち消す。
「ごまかすなんてますます怪しいしー。もしかしてー、エッチな話でもしてたのー?」
腰のベルトを後ろに引っ張り挑発的なポーズを取るミカ。
こいつ、話を全部聞いてたのか!?
「不潔ですアルフさん! エッチな目でみるならせめてわたしだけにしてください!」
泣きそうな目でこちらを見るエリザ。
エリザだけならエッチな目で見てもいいのか……って違うだろ!
「馬鹿なこと言ってないで早く次の階層に行くぞ!」
「ぶーぶー! そうやって逃げるのはー、良くないと思うしー」
「そうですよアルフさん! あとでしっかりと話してもらいますからね!」
結局その日は訓練を終えてからも追及は止まず、ただの付き添いのはずの俺が訓練生の二人よりもよっぽどくたくたになってしまったのだった。
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