ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第26話 最終決戦①

 「あっ、また来たァ。それもまたおっきくなってるし船の数数え切れねぇぞ」


 俺がそう呟くといつの間にやら集まってきていたドワーフ達がガックリとした様子で俺をみる。
 

 いやいやいや! 俺じゃないでしょ!? 絶対俺悪くないよ? あっ嘘。フラグ立てたからちょっと悪いかもしれん。


 「面倒臭いのぉ。ワシが追い払ってきてやろうか?」


 海竜が年甲斐もなく腕をグルングルンと回し首をコキコキ鳴らしている。


 「あー、そうして貰えるとありがたい。もう島の存在はバレてるんだしな」


 そう、この島の存在はもうバレているのだ。ならば隠滅で隠れる必要も無い。さらにブリクストと多少コネのある海竜が話をつけたほうがのうのだ。


 「じゃあごめん。頼むわ海竜」


 「おお! 任せておれ! 必ずしも勝利を掴み取って見せようぞ!」


 はぁ? 


 何言ってんだこの爺さん。えっ!? まさか、、、もしかして? こいつ戦うつもりか?


 「なぁ、勝利ってどんな?」
  

 「全滅じゃろうが」


 「はい、アウトーー」


 真っ黒でした。完全にファイティングするつもりでした。なんなの? なんでジジイなのにそんな好戦的なの? 俺のじいちゃんなんか機関車に顔がついたキャラのアニメを毎朝見てるほど戦いとは程遠い存在だったぞ! なのにこのジジイはどうして!


 「分かった。」


 「おっ! 全滅の指令かの?」


 「違うわ! 話し合いだよ! 話し合い! それに俺も着いていく。俺の存在はバレてるんだし問題ないだろ」


 「・・・ 意気地無しめ」


 はぁ!? 意気地とかそういう問題じゃないだろ? どんだけ闘いたいんだよ! もともと仲間だったんじゃねぇのかよ!


 「それはそれ、これはこれじゃ。」


 あっ、心読まれた。


 「海竜よ、ここはこいつの言う通り話し合いが無難じゃろ。ワシらは向こうをいつでも撃退できる。となれば話を聞いてからでも遅くはないと思うがの」


 「むむっ、確かにそうかもしれんな。小娘と全力で暴れてから歯止めが効かんようになってのぉ」


 「ガハハ! 全く、困ったもんじゃい!」


 こいつらほんと仲良いな。まぁいい事なんだけどさ。


 「ご主人様! 行くなら私も連れてってください!」


 ルージュが話に首を突っ込んできた。


 「却下」


 「なんでですか!」


 「邪魔になりそう」


 「ひどい!!」 


 俺の辛辣な言葉を受けたルージュは少し離れたところで砂いじりを始めた。
 ちょっと罪悪感があるけど無視しよう。うん、それがいい。ディース程ではないがろくな結果にはならん。


 「ディアンヌ! ちょっと行ってくるから、その間島のことよろしくな」


 「はい、マスター。お任せ下さい」


 ディアンヌが頭を下げる。ん?妙に礼儀がいいなこいつ。なんなんだ?
 あっ、精霊たちが真似してる。体はおっきくなったけど精神はあんまり変わってないんだな。可愛い。


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 「な、なんだ! あの女は!」


 そう叫んだのはブリクストの第三皇子である、ステュワード・ブリテンだった。


 「う、美しすぎる。あの綺麗な桃色の髪、短いのにも関わらず艶やかなのがここから見てもわかる! 
 それに忌々しき獣人にも思えるその耳としっぽだが、それもまた男の庇護欲を誘ってくる。
 そして、透き通るような白い肌。なによりも胸にこしらえたものが立派だ! ここまでのものは色々な女を抱いてきた余でも見たことがない!」


 そこまで一息で言い切ると王子は肩で息をして休憩し、またその少女のことを千里眼で眺める。
 すると、その少女のもとにメガネを掛けた黒髪ロングの女がやって来た。こちらも胸はないものの絶世の美女といっても過言でないだろう。


 「よし! 決めた! あの女は余が側室として貰い受ける! そうと決まれば急げ! あの島に早く向かうのだ!!」


 そうだ。そうすればあの桃髪少女も黒髪少女も自分が手に入れることが出来る。


 ぐふふ。


 ステュワードの顔から黒い笑みがこぼれる。


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 「ということをルージュが言っていました。だからあの対応です」


 「それ運命通りになったらアカンやつやん…………」


 するとディアンヌは「あっ!!」と気づく。こいつ、叡智神とか言う割には馬鹿だよね。
HA・HA・HA!!


 「ドワーフのみなさーん! ここ写真が」


 「すんませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」


 俺が即座にディアンヌにダイビング土下座をしたので何とか隠し通すことが出来た。ふぅー、危ない危ない!


 皇子side


 「なんだ? あの桃髪の少女がジャンプしてからうずくまったぞ? まぁ、眼福ではあったから良しとするが国に連れ帰ってから教育をしないといけないな。側室があの様では困る」



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