ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

スフィア、島での1日

 私はスフィアというものです。一応ご主人様の島の最難関ダンジョンのボスをしています。

 また、そのためご主人様の護衛も任されています。

 なのに・・・なのに!!! 私は今回ご主人様とあの醜い糞ビッチによって引き離されてしまいました!!

 なんということでしょう! 私にはご主人様が居ないと生きていけないというのに! およよよよ・・・

 確かに私はご主人様の脱走に一役かいました。かいましたよ? でもですね? それはご主人様に頼まれたからしたにすぎないんですよ?

 それなのに私にこんな重い罰を与えるなんてっ!! あぁ、、、お会いとぉございます、ご主人様ぁ!

「スフィアさん、ごはんですよ?」

 あら、私が嘆いている所にアイネさんがやって来ました。アイネさんはご主人様が居ない時に私にご飯をくれます。
 茶色いエルフはエルフ族に忌み嫌われているそうですが、私もご主人様もそんなこと気にしません。
 それどころかアイネさんは私に食べ物を持ってきてくれるとってもいい人です。もしアイネさんがエルフに襲われたら私が撃退してやります!

 というよりもエルフ族を滅ぼしてしまいましょうか。エルフの肉は青臭そうですがアイネさんの敵は殲滅しなければなりません。

 きっと私のこの案を聞いたらご主人様も二つ返事で了解してくれるでしょう。その為にも早く交信のスキルを習得しなければなりません。

 私の後輩であるルプルに教えを乞うているのですがルプルはイマイチ教えるのが上手くないようです。

『チューンってしてねっ、ルー!なんだよぉ』

 そんな事言われても分かりません。なので今は最難関ダンジョンにいるコウモリ達から教えて貰っています。

 お陰で交信までは行かなくとも受信までは習得出来ました。これの進化スキルが交信らしいです。ご主人様と早くお話したいので寝る間を惜しんで頑張っています。
 
 あら、もうご飯がなくなってしまいました。最近いつもの量ではご飯が足りなくなってきているような気がします。なんででしょうか。

 流石のアイネさんも私の腹具合については分からないようです。私が食べ終わった皿を下げてしまいました。

 でも、ご主人様なら分かってくれるはずです! ご主人様はちゃんと私のことを見てくださってますからね!

「わーい! 狼さーん!」

「もふもふー!」

 あら、今日もちびっこ妖精たちが私の所に遊びに来ました。私は意外と妖精達に好かれているようです。

 ちびっこ妖精達は私の上でお昼寝するのが好きみたいなのでちびっこ妖精が来たら私は出来るだけ動かないようにしています。起こしたら可哀想ですしね。

 それにかこつけてリーフィアが私のあらゆる所を撫でているのを私は知っています。リーフィアはバレていないと思ってるのでしょうがバレバレです。まぁいいんですけどね。

 さて、私も少し寝ましょうか。交信の練習をし過ぎて少し寝不足です。
 
 ふわーぁ、おやすみなさい。

 

 はぁ、はぁ、はぁ! ご主人様ぁ! ご主人様ぁ! お会いしとぉございました!! ご主人様っ! そこはっ!そこはぁぁぁぁ!

 はっ! なんだ夢でしたか。
 あぁ、なんと素晴らしい夢だったのでしょうか。ご主人様がいきなり帰ってきて私とあんなことやそんなことをっ! はぁ、はぁ、はぁ。ご主人様ぁ。

 えっ? どんなこと想像してるんだ? ですって? そりゃあ勿論ご主人様に撫でられたり、ご主人様をぺろぺろしたりに決まってるじゃありませんか!

 ご主人様ぺろぺろ権はルプルにたいしてでも許可することは出来ない私だけの特権です! 
 したくない? そうですか。では〇んでください。 

「はーい、スフィアちゃーん! ご飯ですよー!」

 あぁ、今日の夜ご飯の係はリタさんだったのですね。リタさんはご主人様が拐ってきた女の人です。
 ご主人様は自分と同じ異世界人だと言っていました。きっと何か通ずるものがあったのでしょう。
 
 そしてこのリタさんは私を1発でメスだと見抜きました。きっと只者ではありません。どこかの狼マイスターかなんかだと思います。

「ねぇ、スフィアちゃん。私ハル様にここに住ませて貰えるかな?」

 リタさんは私のご飯係になるといつもこんな質問ばかりしてきます。

 正直リタさんはバカだと思います。ご主人様が拐ってきたのに追い出すわけがないじゃないですか。それにご主人様は手の届く範囲の困っている人は助ける人です。

 勿論この島に都合が悪いと確信していることには絶対手を出しませんが、アイネさんやドワーフさん達の話を聞くところ、ご主人様は相当懐は広い方なんだと思います。

「でも、ビックリしました。こんなに発展してて、それに日本にこんなに近づけようとしている島があるなんて。
 ハル様は私の住んでいた世界のことを知っていたみたいですし。何者なんですかねぇ?」

 ご主人様はご主人様です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 そもそも人というのは考えすぎなのです。この世界がなんであっても、ご主人様が何者であっても自分のやりたいことが変わらないのならどうだっていいではありませんか。

 私は変わりません。ご主人様に仕え、ご主人様を御守りするだけです。たとえご主人様がこの世界を破壊する悪でも私はそれに着いていくのです。

 ・・・まぁ今は泣く泣く別れているんですが。

 あら、夕ご飯も食べ切ってしまいました。やっぱり足りませんね。

「あっ、スフィアさん物足りないみたいですね。お代わり取ってきますね」

 ・・・やっぱりリタさんは只者ではないみたいですね。

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