ナイツオブソードオンライン

双葉エレン

第79話空中遺跡Ⅴ

その光る紐を登り終えて、再び中層部へと移動した。


『そういや、セナ...お前よくこの場所を探せたな』


索敵スキルが高ければ高いほど、人物の位置が把握できる。
たが、初期では中々難しいスキルである...それをいとも簡単に探して割り出せた。初期段階でもあるので不可思議ーーーっと思える。


セナは、光線銃を肩に乗せてこう答えた


『ARのデータをVRにデータに移送させたら、特典にこの服とARの基本ステをデータ化したのを反映させたのよ』


引き継ぎデータ...異なるゲーム世界で異なるゲームデータを持って来ると、引き継ぎ特典が発生する。
この世界の結ぶサーバーはすべて同じところから作られた物だ、だから、引き継ぎデータ見たく、その様な特典は受け取れる...。


おれのデータは、全て壊れたからな...
ギアだけあっても、メモリー端末が焼け焦げていればすべて初期状態。


あの事件依頼ーーーか。


思い返す、自分のアバターが暴走したあの時ーー謎の男に充てられた大量のウイルスが蓄積され制御不能に陥った
《分離》されて、俺の今がある...。
止めるには、自分しかいなかったし、宿敵や仲間が繋いだチャンスを無駄に出来なかった。
結局、NSOで使っていたギアは使い物にならなくなっていた、電源すら入らない...眠った証拠だろう。
引き継ぎは、事実上行ってないから、特典は無しのビキナーから始めた


でも、不可思議だとすれば...人種。つまりNSO時代のアバターに切り替えられる点が引っかかるが今は気にしてない。


『しかしまぁ、ARアバターをよく数値化出来たもんだな。技術が進んだのか...』
『ほんとそれよね。普通できないだろうけど...NSOの開発職員が居るから別格の領域になってるわ』
『それもそうだが、初期武器だけで...空中遺跡まで来たんだろ?しんどくなかったのか...?』
平然な顔つきでセナは
『全然』っとさらっとそう答える


ここら一帯の敵レベルは50クラス
並大抵の実力がなきゃ来れない領域だ
それをいども簡単に、初期武器だけで敵を狩ったとすれば、俗にいう『ゴリ押し』で容赦ないスキルブッパだ。
だが、それをすれば...スキル硬直とMP回復迄に時間が必要不可欠。
効率の悪さが目に浮かぶーーー。


レクトはセナを眺めながら話す


『さらっと答えられるとさ、各プレイヤー様が舐めてんのか?っと思うからなるべくさらっと答えないでくれないか...』
『じゃ、どう答えるのよ?』
『うーん『初期武器で蹴散らしたけどなんか文句あるの?』的な感じでツンとした表情で言えば最高である』
『あんたは...私に何を求めてんのよ...?』
『ツンデレキャラを求めてる』
『いや、私はそうじゃないと思うわよ?『変態』っと言った時、確かにああなるわよ女子なら。でも、それが逆だったらあんたはどうするつもりよ?』
『ザ・変態女子、略して変女子っと命名するよ』
『喜ぶんじゃないの?馬鹿な男子な発想だとね』
『それは、あくまでも思春期男子で抑制制御不可能な奴なら感激するだろうな。俺は違うけどな...』
『へぇー、彼女さんとイチャついてるから?』
『そうそう、あんな怖いこと言うけど、中身は中々寂しがりやなーーハッ!?』


セナは、レクトの額に光線銃を向けて意味ありげな口調で言う
『リア充に狙撃を...ね?』
あせあせになりながら、レクトはこう反論する
『待て待て!?一つ前の俺なら、セナと同じ事言ってた。セナだって居るだろ?そんな子!』


するとセナはレクト額から光線銃を降ろす。そして、視線を逸らし、後ろを向く。


『先行くわよ』


スタスタと先に歩くセナの後ろ姿を見てレクトは首を傾げた。


ーーー中層部から、最深部...詰まり下に通じる階段通路がごく普通に現れていた。中層部に向かう時は、何らかのトラップで解除だったのだが、どうやら最深部は異様なぐらいに普通だ。


その階段を降り、最深部っと画面に表示される。一見なんもない通路で、壁に付けられている銀鉄製に加工されたたいまつに灯火が点灯していた。
最深部だけあり、中層部と上層部とは違いジメジメとかび臭い匂いや湿度の高さはさほどなく無我無臭で汗ばむ様な湿度は無い。


そんな通路をセナとレクトは、歩くこと数分後。目の前に碧絵と、黒い石が生えるように置かれていた。


これが最後の碧絵か...ただーーー


解読役のダークネスとシャルネットの姿が見当たらない。
先に進んでいたのかと思っていたが、どうやらそうでもない。


セナは、レクトの真横に並ぶ様に立ち
ながら話す。


『でっかい絵ね...これが対戦のヒントかしら?』
『そうだけど...解読する奴がこの場所に来てないんだよ』
『え?それって...まずくない?』
『まずいっと言っちゃまずい。自分が瀕死状態なぐらいのまずさだ』
『どうするのよ?』
『どうもこうも無いさ、待つしかーー』


キィンーーー


耳を触るような高鉄音が最深部フィールドに鳴り響くーーー


セナとレクトは、後ろを振り向く
そして、誰かがこちらに向かってくる足音と共に重低音を踏み鳴らす音が同時に最深部フィールドに馳せる。


レクトは右手を肩にある剣の柄に手を伸ばし構える。


しばらくして、前方から慌ただしい顔をして走るシャルネットと必死に逃げるダークネスの姿が目に映る。


ホッとしたのもつかの間で、逃げる二人の背後に赤く光を放つ二つの点が現れ、その姿全貌を見せる。


全身鉄鎧に覆われ、巨大な剣を握りしめたモンスター。歩く音は重々しくズンッと重低音を鳴らし最深部フィールドを上下に揺らす。


オイオイ...床抜けてしまうだろ...
こんな馬鹿でかいモンスターは、初めてだな...対処法わかんねぇな。


二人は、レクトたちの元まで走りきり息の根を上げて座りこけてしまう。


巨人兵っと堂々と日本オリジナルに仕上げた名前が浮かび上がる。
HPバーは脅威の5本線が重なる様に現れた。


レクトは肩にある剣の柄を手に取り抜き放つ。セナに視線を送り頷き、レクトは巨人兵に向かってダッシュ。


たが、巨人兵の薙ぎ払いを放たれ、反射的にバックステップ。
再び、違う方角から走りながら近づき
レクトの握る剣に青白いフェクトを光らせながら巨人兵の背面...ではなく巨大な足に目掛けて回転切りを放つ。


火花が散り、レクトが重心をしたに下げた。そっからセナの光線銃の狙撃が巨人兵の足に直撃する。


無数の火花は虚空を飛び散るが、与えた総合ダメージは数百程度で収まる。
適正レベルは50っと設定されている空中遺跡、レクトのレベルは65で与えるダメージは少なくても数千クラスだろう。それが数百しか与えられないとなれば...対属性か、ボス自体の守備能力がずば抜けて高いーーーっとしか考えられない。


苦い表情を浮かべるレクト。
握りしめる右手の剣、足を開き構える
軽く薙ぎ払い、後ろに真っ直ぐに引っ張る剣。


今出来るなら、デバフ効果を付けた属性攻撃。それ以外はーーーない!!


床を思いっきり蹴飛ばす、鉄巨人の攻撃をステップを踏み躱す。
そして、大きく出来た隙をーーー狙うように右手に持つ剣を大きく振り目の前までピタッと止める。


このタイミングは失敗は許されない


右手に赤い粒子がかき集まるように、レクトが握る剣の刀身に色付ける
そして、巨人兵の巨大な剣がレクトに目掛けて垂直に打ち落とされる。


レクトは頭上に剣を置きガードする
赤いフェクトを切らさず、巨人兵の一撃を受け止める。


『ーーーッッ!!』


余りの重さに、歯を軋ませるレクト。
足腰、肩腕の力を全開で耐える。
ズンッと言う音声がなり、レクトの足場に亀裂が走る。
一つも気が抜けない状態、自分の重力が何十倍も加算されたような重さだ。


なんだ...この力はーーー?!
本当にMobのモンスターかよーーー?


今までに例がないフロアモンスター
ボスだとしても、こんな力がある敵はーー無い。
イレギュラーか或いは、複製された別世界のモンスターのコピーなのか。
システムで決まっている数値をはるかに超えている不正モンスターっと言えるだろう。


不正、不正ってーー運営は不正しか概念ねぇのかよ!


レクトは、巨人兵の剣を力強く押し返すーーー。


ゆっくりと反れる巨人兵と睨むようにギラっと目を光らせ言うレクト。


『オイ不正Mob、今から放つ連帯スキルはーーーハンパねぇぞ』


反撃のターンの始まりを告げたレクトだった

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