競奏のリアニメイト~異世界の果てに何を得るのか~
プロローグ
それはとても幻想的な光景だった。
白昼のはずなのに宙は何処までも吸い込まれそうな闇色。
そんな闇色の中で光り輝く彩り豊かな煌々とした光の点。
時折、視界の端を尾を引く宝玉が通り過ぎる。
まるで宇宙の中に一人放り出されたような孤独感を感じる。
全てが夢か幻と疑ってしまうような広大な景色。
しかし、俺と彼女はそんな世界をほとんど知覚してないかった。
ただ、真っ直ぐ正面の人物に注目していたからだ。
それは、少年。
身の丈より二まわり以上大きなローブを纏った少年が一人、浮いていた。
「なんで……」
嘆息にも似た呻き声が霧散する。
その一言は一体、俺と彼女どっちの呻き声だろうか?
少年としてはやや長いであろう肩に絡みつく白銀色の髪。
髪と同じく白銀色の双眸。
やや幼さを残すその顔は悟りを拓いた僧侶のように無表情。その眼は真っ直ぐこちらを見つめ、唇は微動だにしない。
怒り
悲しみ
憎悪
疑問
全ての負の感情を一つにまとめた俺と彼女とは対称的な無感情。
「答えて!!」
ただ呆然と。
ほぼ無意識で叫びをあげていた。これが俺らの叫びだ。
だが、少年は何も言わない。
少年が、ゆっくりと目線を自分の手元にへ向ける。
空気が震える。
魔力が少年と共鳴し始める。
まるでそれが答えだと言わんばかりに。
「解った。それしか道がないのなら……」
俺は1本の長剣を鞘から抜き放つ。
彩り豊かな光点の影響だろうか、その刀身は七色に輝いているように錯覚した。
剣をゆっくりと上段に構える。この空間では彼女の力を借りる事は出来ない。
だから俺は自分の力を信じ、突き進むしかない。
正面にいる敵を止めるために。
合図などない。
二人の目線が交わった時が勝負の開始だ。
幻想的な空間に俺ら三人だけなのだから当たり前だ。
(思えばどうしてこんなことになってしまったのだろう)
心の中で自問する。
一瞬だけ出来た振り返りの時間。
生死を賭けた戦いを前に俺は走馬灯のようにこれまでの出来事を思い出していた。
白昼のはずなのに宙は何処までも吸い込まれそうな闇色。
そんな闇色の中で光り輝く彩り豊かな煌々とした光の点。
時折、視界の端を尾を引く宝玉が通り過ぎる。
まるで宇宙の中に一人放り出されたような孤独感を感じる。
全てが夢か幻と疑ってしまうような広大な景色。
しかし、俺と彼女はそんな世界をほとんど知覚してないかった。
ただ、真っ直ぐ正面の人物に注目していたからだ。
それは、少年。
身の丈より二まわり以上大きなローブを纏った少年が一人、浮いていた。
「なんで……」
嘆息にも似た呻き声が霧散する。
その一言は一体、俺と彼女どっちの呻き声だろうか?
少年としてはやや長いであろう肩に絡みつく白銀色の髪。
髪と同じく白銀色の双眸。
やや幼さを残すその顔は悟りを拓いた僧侶のように無表情。その眼は真っ直ぐこちらを見つめ、唇は微動だにしない。
怒り
悲しみ
憎悪
疑問
全ての負の感情を一つにまとめた俺と彼女とは対称的な無感情。
「答えて!!」
ただ呆然と。
ほぼ無意識で叫びをあげていた。これが俺らの叫びだ。
だが、少年は何も言わない。
少年が、ゆっくりと目線を自分の手元にへ向ける。
空気が震える。
魔力が少年と共鳴し始める。
まるでそれが答えだと言わんばかりに。
「解った。それしか道がないのなら……」
俺は1本の長剣を鞘から抜き放つ。
彩り豊かな光点の影響だろうか、その刀身は七色に輝いているように錯覚した。
剣をゆっくりと上段に構える。この空間では彼女の力を借りる事は出来ない。
だから俺は自分の力を信じ、突き進むしかない。
正面にいる敵を止めるために。
合図などない。
二人の目線が交わった時が勝負の開始だ。
幻想的な空間に俺ら三人だけなのだから当たり前だ。
(思えばどうしてこんなことになってしまったのだろう)
心の中で自問する。
一瞬だけ出来た振り返りの時間。
生死を賭けた戦いを前に俺は走馬灯のようにこれまでの出来事を思い出していた。
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