人外と友達になる方法
第13話 七不思議其之一 〜雷王篇〜
悠火の調べた妖怪の中に、確かに雷獣という妖怪がいた気もするが詳しくは覚えていない。
妖怪のことは妖怪に聞くのが一番だと思い狐々愛に尋ねる。
「その雷獣ってのはどんな奴なんだ?」
「一言で言えば“危険”の一言に尽きる」
「狐々愛でも危険って結構ヤバイな」
河童がどのくらい強い妖怪なのかは知らないが、一方的に河童を倒したことや、狐々愛が語っていた相手の術を自分の力に変える能力を鑑みるに、狐々愛は相当強い妖怪のはずだ。
その狐々愛が危険だというのだから雷獣とはかなり危ない奴なのだろう。
「で、その雷獣がどうやって学校のパソコンを操るんだよ」
「雷獣は本来賢く、器用な妖怪じゃ。そして名の通り雷の能力を持つ。電子機器の扱い方を学習し、意のままに操るなど簡単なことじゃろうな」
「そっか……今はまだ人的被害がないからいいけど、早く対応しないとマズイかもな」
「じゃな。悠火たちは七不思議の謎解きに行くのか?」
「ああ、明日行くことになった」
明日は光秀の塾が無いため、急遽明日になったのだ。
「……なら妾も一緒に行こう」
「やっぱり危ないからか?」
「それもあるが、雷獣には個人的に聞きたいこともあるのでな」
それが何かを聞くような無粋なことはしない。
狐々愛との付き合いはまだ一ヶ月にも満たないが、狐々愛の過去に言いたく無い事があるのはよくわかっている。
「わかった。二人には俺から話をつけとく」
ほとんど習慣化してきた寝る前の狐々愛との談話を終え、悠火と狐々愛は就寝準備に入る。
歯磨きと着替え、明日の準備を終えて悠火は一足先に布団に入る。
「おやすみ、狐々愛」
狐々愛も寝るときはパジャマだ。
もともとは別の服装で寝ていたが、一度パジャマを試したら凄く眠りが良かったらしく、それ以来ずっとパジャマを着て寝ている。
それと尻尾が邪魔になるらしく、変幻の術で尻尾のない姿になっている。
「おやすみ、悠火」
明日は七不思議の解決に、小テストもある。
あ、勉強してねぇや。
まぁ、いいか。
明日の朝やればいい……狐々愛はやったのかな…………
 SHRで英語の小テストを終え、午前中の授業を終え無事昼休みを迎える。
まぁ、悠火が小テストの追試になったり、奏鳴が宿題を忘れて怒られたりはあったが。
「例の噂っていつ頃から流れてるんだ?」
いつも通りの三人に加え、今日は狐々愛も一緒に弁当を食べている。
四人は今日は風が強いため屋上ではなく教室で昼食を食べてることにした。
教室の方が賑やかで話を周りに聞かれにくいというのもある。
「確か……三週間くらい前かな?」
「結構最近なのにもう七不思議になってんのか?」
「ちなみに、その時追い出された七不思議が教頭の伸びない髪の毛だ」
「それはカツラでしょ」
光秀がバッサリと切り捨てる。
「そりゃそうだけどさ〜。光秀はもっとユーモアを持とうぜ」
と、ここで今まで黙って聞いていた狐々愛が口を開いた。
「その七不思議で怪我をした人とかはいないんだよね?」
「え、ああ。いないと思うよ。そんな話は聞いてないし」
「そっか、ならよかった……」
「あ、そういえば悠火から聞いたよ。狐々愛ちゃんも一緒に七不思議解決したいんでしょ?」
「うん。ダメかな?」
狐々愛は上目遣いで奏鳴に頼む。
これは悠火が昨日狐々愛に仕込んだ技だ。
これをやれば奏鳴は二つ返事で了承するはずだからと。
「大歓迎だよ! なっ! 光秀」
「何で僕に振るのさ。まぁ、僕は構わないけど」
予想通りの反応だった。
光秀と奏鳴の了承も得て、狐々愛も同行することになった。
そして、昼休みも半分が過ぎた頃、事件は起こった。
「大変だ!」
クラス委員の明智が血相を変えて教室に飛び込んで来た。
「どした?」
「パソコン室で爆発があったらしい! そんなに規模は大きくないけど、何人か怪我人も出たとか!」
明智の説明を聞くや否や、狐々愛はパソコン室へと走り始める。
それを悠火、奏鳴、光秀の三人が追いかける。
「どうして……どうしてじゃ……何故人間を傷つけるようなことを……」
狐々愛は誰にも聞こえないような声で呟いた。
パソコン室には、すでに何人もの生徒が集まっており、先生たちがその規制を行なっていた。
爆発があったというパソコン室は火災こそ発生していないものの、壁の至る所に焦げ跡が付いていた。
「爆発とかヤバくない?」
「警察沙汰だろ」
「え〜、マスコミとか嫌なんだけど」
「原因なんだろうね?」
「何か変な動物みたいなのがいたらしいよ」
生徒たちは口々に言う。
「その変な動物とはどんな感じじゃった!」
「え! 何か狸みたいな?」
狐々愛の剣幕に押され、生徒は少したじろぐ。
「それはどこに行ったのじゃ!」
「わからないけど、グラウンドの方じゃない?」
生徒はグラウンドの方を指差す。
すると狐々愛はグラウンドに向けて走り出した。
それを三人が慌てて追いかける。
グラウンドにたどり着くと、狐々愛は大きな声で叫んだ。
「おい! 雷王! どこじゃ!」
しかし返事はない。
その代わりに帰ってきなのは、低い唸るような声だった。
「雷王……」
狐々愛の見つめる先に、狸のような見た目をした、動物がいる。
「久しいな……天狐……」
狸のようなその生き物は狐々愛を見てそう言った。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
いつも通りの時間に間に合わず、申し訳ない!
さて、雷獣が出てきましたが、雷様と迷った挙句雷獣になりました。
だって雷様って妖怪じゃないような気がして。
それではまた次回!
2020/4/13一部改稿
妖怪のことは妖怪に聞くのが一番だと思い狐々愛に尋ねる。
「その雷獣ってのはどんな奴なんだ?」
「一言で言えば“危険”の一言に尽きる」
「狐々愛でも危険って結構ヤバイな」
河童がどのくらい強い妖怪なのかは知らないが、一方的に河童を倒したことや、狐々愛が語っていた相手の術を自分の力に変える能力を鑑みるに、狐々愛は相当強い妖怪のはずだ。
その狐々愛が危険だというのだから雷獣とはかなり危ない奴なのだろう。
「で、その雷獣がどうやって学校のパソコンを操るんだよ」
「雷獣は本来賢く、器用な妖怪じゃ。そして名の通り雷の能力を持つ。電子機器の扱い方を学習し、意のままに操るなど簡単なことじゃろうな」
「そっか……今はまだ人的被害がないからいいけど、早く対応しないとマズイかもな」
「じゃな。悠火たちは七不思議の謎解きに行くのか?」
「ああ、明日行くことになった」
明日は光秀の塾が無いため、急遽明日になったのだ。
「……なら妾も一緒に行こう」
「やっぱり危ないからか?」
「それもあるが、雷獣には個人的に聞きたいこともあるのでな」
それが何かを聞くような無粋なことはしない。
狐々愛との付き合いはまだ一ヶ月にも満たないが、狐々愛の過去に言いたく無い事があるのはよくわかっている。
「わかった。二人には俺から話をつけとく」
ほとんど習慣化してきた寝る前の狐々愛との談話を終え、悠火と狐々愛は就寝準備に入る。
歯磨きと着替え、明日の準備を終えて悠火は一足先に布団に入る。
「おやすみ、狐々愛」
狐々愛も寝るときはパジャマだ。
もともとは別の服装で寝ていたが、一度パジャマを試したら凄く眠りが良かったらしく、それ以来ずっとパジャマを着て寝ている。
それと尻尾が邪魔になるらしく、変幻の術で尻尾のない姿になっている。
「おやすみ、悠火」
明日は七不思議の解決に、小テストもある。
あ、勉強してねぇや。
まぁ、いいか。
明日の朝やればいい……狐々愛はやったのかな…………
 SHRで英語の小テストを終え、午前中の授業を終え無事昼休みを迎える。
まぁ、悠火が小テストの追試になったり、奏鳴が宿題を忘れて怒られたりはあったが。
「例の噂っていつ頃から流れてるんだ?」
いつも通りの三人に加え、今日は狐々愛も一緒に弁当を食べている。
四人は今日は風が強いため屋上ではなく教室で昼食を食べてることにした。
教室の方が賑やかで話を周りに聞かれにくいというのもある。
「確か……三週間くらい前かな?」
「結構最近なのにもう七不思議になってんのか?」
「ちなみに、その時追い出された七不思議が教頭の伸びない髪の毛だ」
「それはカツラでしょ」
光秀がバッサリと切り捨てる。
「そりゃそうだけどさ〜。光秀はもっとユーモアを持とうぜ」
と、ここで今まで黙って聞いていた狐々愛が口を開いた。
「その七不思議で怪我をした人とかはいないんだよね?」
「え、ああ。いないと思うよ。そんな話は聞いてないし」
「そっか、ならよかった……」
「あ、そういえば悠火から聞いたよ。狐々愛ちゃんも一緒に七不思議解決したいんでしょ?」
「うん。ダメかな?」
狐々愛は上目遣いで奏鳴に頼む。
これは悠火が昨日狐々愛に仕込んだ技だ。
これをやれば奏鳴は二つ返事で了承するはずだからと。
「大歓迎だよ! なっ! 光秀」
「何で僕に振るのさ。まぁ、僕は構わないけど」
予想通りの反応だった。
光秀と奏鳴の了承も得て、狐々愛も同行することになった。
そして、昼休みも半分が過ぎた頃、事件は起こった。
「大変だ!」
クラス委員の明智が血相を変えて教室に飛び込んで来た。
「どした?」
「パソコン室で爆発があったらしい! そんなに規模は大きくないけど、何人か怪我人も出たとか!」
明智の説明を聞くや否や、狐々愛はパソコン室へと走り始める。
それを悠火、奏鳴、光秀の三人が追いかける。
「どうして……どうしてじゃ……何故人間を傷つけるようなことを……」
狐々愛は誰にも聞こえないような声で呟いた。
パソコン室には、すでに何人もの生徒が集まっており、先生たちがその規制を行なっていた。
爆発があったというパソコン室は火災こそ発生していないものの、壁の至る所に焦げ跡が付いていた。
「爆発とかヤバくない?」
「警察沙汰だろ」
「え〜、マスコミとか嫌なんだけど」
「原因なんだろうね?」
「何か変な動物みたいなのがいたらしいよ」
生徒たちは口々に言う。
「その変な動物とはどんな感じじゃった!」
「え! 何か狸みたいな?」
狐々愛の剣幕に押され、生徒は少したじろぐ。
「それはどこに行ったのじゃ!」
「わからないけど、グラウンドの方じゃない?」
生徒はグラウンドの方を指差す。
すると狐々愛はグラウンドに向けて走り出した。
それを三人が慌てて追いかける。
グラウンドにたどり着くと、狐々愛は大きな声で叫んだ。
「おい! 雷王! どこじゃ!」
しかし返事はない。
その代わりに帰ってきなのは、低い唸るような声だった。
「雷王……」
狐々愛の見つめる先に、狸のような見た目をした、動物がいる。
「久しいな……天狐……」
狸のようなその生き物は狐々愛を見てそう言った。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
いつも通りの時間に間に合わず、申し訳ない!
さて、雷獣が出てきましたが、雷様と迷った挙句雷獣になりました。
だって雷様って妖怪じゃないような気がして。
それではまた次回!
2020/4/13一部改稿
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