人外と友達になる方法
第16話 狐々愛は大人気 〜雷王篇〜
雷王による爆発事件では怪我人は数名出たものの、幸い死者は出なかった。
そして、事件から三日が過ぎた。
「えー、普通科のお前らには関係ないが、パソコン室は暫く使用不可だ。爆発の原因は電気の漏電によるものらしい。もし校内で漏電しそうなところがあったら先生に報告するように」
「起立、気を付け、礼」
SHRが終わり、みんな一時限目の準備を始める。
悠火も教科書とノートの準備をしていると、奏鳴が駆け寄って来た。
「なぁ悠火。事件の原因が電気の漏電になってるのって……」
「ああ、狐々愛の能力で関係者の記憶を上書きしたんだ」
「狐々愛ちゃん可愛い見た目で、やることエグくね?」
奏鳴が小声で囁く。
「奏鳴君、呼んだ?」
シャーペンのノックをカチカチと押しながら狐々愛が笑っている。
狐々愛の席は悠火の隣だ、きっと聞こえた上で聞いているのだろう。
狐々愛は耳が良いし。
そして不動の笑顔が怖い。
「いやっ、その……狐々愛ちゃんはいつも可愛いなって」
「そ、ありがと」
狐々愛は愛らしい笑顔で答える。
しかし、いつも可愛いって言われると照れるくせに、照れてないのは何でだろうか。
「三人とも、次は移動教室だよ」
巫山戯合っている三人に光秀が声をかける。
「あ、そうだった。化学室だよな?」
「そう」
光秀を含めた四人で化学室へと向かう。
ちなみに余談だが、狐々愛は理科の中では生物が得意で化学が苦手なようだ。
一時間目の授業の担当の谷崎は見た目が完全にヤの人だ。
坊主に吊り目、鍛え抜かれた肉体、そして極め付けに超低ボときた。
新入生の女子に流れるのが悩みだと言う。
「今日は炎色反応の実験を行う。火の取り扱いには十分気をつけるように。わからないことは先生に聞いてからするように」
「「「はーい」」」
炎色反応実験など、教科書を見れば良いではないと思うが、まあ座学よりは幾らかマシだ。
そんな科学は割と得意な悠火の横で、頭を抱えている者がいた。
「うぅ、何故燃やす物が違うと色が変わるのじゃ? まったく、色が違うから何なのじゃ……。そもそも妾の狐火ならばそんなこと考えずに色を自在に変えれるのに……」
ぶつぶつと文句を言っている。
狐々愛は悠火たちに対してはいつも通りの口調で話すようになった。
悠火は内心、いつかボロが出てしまわないかとヒヤヒヤしている。
「狐々愛さん……是非その狐火とやらを研究させてくれ!」
光秀は妖怪の存在を化学的に解明すると明言してからと言うもの、狐々愛について人一倍知ろうとしている。
側からみると光秀が狐々愛に熱血アプローチをしているようにしか見えない。
「お、おお構わんが……」
狐々愛はその熱気にいつも押されている。
「おい! 光秀! 狐々愛ちゃんが困ってるだろ!」
奏鳴は正体を知ってからも狐々愛のことを妖怪ではなく、一人の女の子として扱ってくれている。
周りに怪しまれないためのカモフラージュなどではないことは悠火もよく分かっている。
普通の学園生活を送りたい狐々愛にとって、奏鳴の思いやりは本当にありがたいだろう。
「狐々愛さん迷惑かな?」
光秀は残念そうにシュンとした表情を浮かべる。
あまり言いたくはないが光秀はイケメンだ。
クッキリとした二重に高い鼻、色白の肌に、180cmの高身長と言う完璧なスペックを誇っている。
そんなイケメンのシュンとした表情で靡かない女子などいないだろう。
「ん? 別に構わんぞ?」
いや、いた。
ここにいた。
悠火は狐々愛のことについて本人を除いた中で一番知っていると自負している。
伊達に同居していない。
しかし、狐々愛の異性のタイプについては全く情報がない。
唯一わかってることと言えば、悠火が“可愛い”と言われると赤くなることくらいだ。
「じゃ、じゃあ俺も聞いていい!?」
「な、何じゃ?」
奏鳴の突然の質問ムーブに狐々愛は思わず驚く。
「狐々愛ちゃんの好きなタイプってどんなひと?」
「え………」
「教えてよー! いいじゃーん! 減るものじゃないし!」
「授業もまともに受けん奴が色恋にうつつを抜かすんじゃねぇよ」
「ちょっと狐々愛ちゃん、そんな怖い声で……ん?」
奏鳴はゆっくりと振り向く。
そこには鬼のような形相を浮かべ腕を組んでいる谷崎が仁王立ちしていた。
「鬼嶋ぁ……わかっとるのぉ?」
「はい……放課後喜んで化学室の掃除をさせていただきます」
ドンマイ、奏鳴……
「お前が封印を解いた妖怪、また封印されちまったな」
「黙れ馬鹿猫が、そもそもあんな妖怪に期待などしていない」
「えー、ヒドーイ」
「ぼ、僕は、み、みんなだ、大事な仲間だと、お、思うよ?」
四人の声が部屋に響く。
「おまた〜」
そこに四人とは別の声が加わる。
「四神、ここに揃っております」
「うんうん、誰一人も欠けることなく揃って何より何より」
「それで、今回の召集の理由は?」
四人の中の一人が代表して聞く。
「そう急がないの牙狩。うん、今回は君たちに指令を与えようと思ってね。で、その内容なんだけどーーー
各地の神獣たちの封印を解け」
「「「「はっ!」」」」
四人の気配が消える。
「さあ、始まるよ……妖怪の天下が……ふふふふ……ははははは!」
不穏な陰が、日本各地へと広がった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
キャラが増えると作者は書き分けが出来なくなります。予めご了承ください。
それではまた次回!
2020/4/18一部改稿
そして、事件から三日が過ぎた。
「えー、普通科のお前らには関係ないが、パソコン室は暫く使用不可だ。爆発の原因は電気の漏電によるものらしい。もし校内で漏電しそうなところがあったら先生に報告するように」
「起立、気を付け、礼」
SHRが終わり、みんな一時限目の準備を始める。
悠火も教科書とノートの準備をしていると、奏鳴が駆け寄って来た。
「なぁ悠火。事件の原因が電気の漏電になってるのって……」
「ああ、狐々愛の能力で関係者の記憶を上書きしたんだ」
「狐々愛ちゃん可愛い見た目で、やることエグくね?」
奏鳴が小声で囁く。
「奏鳴君、呼んだ?」
シャーペンのノックをカチカチと押しながら狐々愛が笑っている。
狐々愛の席は悠火の隣だ、きっと聞こえた上で聞いているのだろう。
狐々愛は耳が良いし。
そして不動の笑顔が怖い。
「いやっ、その……狐々愛ちゃんはいつも可愛いなって」
「そ、ありがと」
狐々愛は愛らしい笑顔で答える。
しかし、いつも可愛いって言われると照れるくせに、照れてないのは何でだろうか。
「三人とも、次は移動教室だよ」
巫山戯合っている三人に光秀が声をかける。
「あ、そうだった。化学室だよな?」
「そう」
光秀を含めた四人で化学室へと向かう。
ちなみに余談だが、狐々愛は理科の中では生物が得意で化学が苦手なようだ。
一時間目の授業の担当の谷崎は見た目が完全にヤの人だ。
坊主に吊り目、鍛え抜かれた肉体、そして極め付けに超低ボときた。
新入生の女子に流れるのが悩みだと言う。
「今日は炎色反応の実験を行う。火の取り扱いには十分気をつけるように。わからないことは先生に聞いてからするように」
「「「はーい」」」
炎色反応実験など、教科書を見れば良いではないと思うが、まあ座学よりは幾らかマシだ。
そんな科学は割と得意な悠火の横で、頭を抱えている者がいた。
「うぅ、何故燃やす物が違うと色が変わるのじゃ? まったく、色が違うから何なのじゃ……。そもそも妾の狐火ならばそんなこと考えずに色を自在に変えれるのに……」
ぶつぶつと文句を言っている。
狐々愛は悠火たちに対してはいつも通りの口調で話すようになった。
悠火は内心、いつかボロが出てしまわないかとヒヤヒヤしている。
「狐々愛さん……是非その狐火とやらを研究させてくれ!」
光秀は妖怪の存在を化学的に解明すると明言してからと言うもの、狐々愛について人一倍知ろうとしている。
側からみると光秀が狐々愛に熱血アプローチをしているようにしか見えない。
「お、おお構わんが……」
狐々愛はその熱気にいつも押されている。
「おい! 光秀! 狐々愛ちゃんが困ってるだろ!」
奏鳴は正体を知ってからも狐々愛のことを妖怪ではなく、一人の女の子として扱ってくれている。
周りに怪しまれないためのカモフラージュなどではないことは悠火もよく分かっている。
普通の学園生活を送りたい狐々愛にとって、奏鳴の思いやりは本当にありがたいだろう。
「狐々愛さん迷惑かな?」
光秀は残念そうにシュンとした表情を浮かべる。
あまり言いたくはないが光秀はイケメンだ。
クッキリとした二重に高い鼻、色白の肌に、180cmの高身長と言う完璧なスペックを誇っている。
そんなイケメンのシュンとした表情で靡かない女子などいないだろう。
「ん? 別に構わんぞ?」
いや、いた。
ここにいた。
悠火は狐々愛のことについて本人を除いた中で一番知っていると自負している。
伊達に同居していない。
しかし、狐々愛の異性のタイプについては全く情報がない。
唯一わかってることと言えば、悠火が“可愛い”と言われると赤くなることくらいだ。
「じゃ、じゃあ俺も聞いていい!?」
「な、何じゃ?」
奏鳴の突然の質問ムーブに狐々愛は思わず驚く。
「狐々愛ちゃんの好きなタイプってどんなひと?」
「え………」
「教えてよー! いいじゃーん! 減るものじゃないし!」
「授業もまともに受けん奴が色恋にうつつを抜かすんじゃねぇよ」
「ちょっと狐々愛ちゃん、そんな怖い声で……ん?」
奏鳴はゆっくりと振り向く。
そこには鬼のような形相を浮かべ腕を組んでいる谷崎が仁王立ちしていた。
「鬼嶋ぁ……わかっとるのぉ?」
「はい……放課後喜んで化学室の掃除をさせていただきます」
ドンマイ、奏鳴……
「お前が封印を解いた妖怪、また封印されちまったな」
「黙れ馬鹿猫が、そもそもあんな妖怪に期待などしていない」
「えー、ヒドーイ」
「ぼ、僕は、み、みんなだ、大事な仲間だと、お、思うよ?」
四人の声が部屋に響く。
「おまた〜」
そこに四人とは別の声が加わる。
「四神、ここに揃っております」
「うんうん、誰一人も欠けることなく揃って何より何より」
「それで、今回の召集の理由は?」
四人の中の一人が代表して聞く。
「そう急がないの牙狩。うん、今回は君たちに指令を与えようと思ってね。で、その内容なんだけどーーー
各地の神獣たちの封印を解け」
「「「「はっ!」」」」
四人の気配が消える。
「さあ、始まるよ……妖怪の天下が……ふふふふ……ははははは!」
不穏な陰が、日本各地へと広がった。
読んでいただきありがとうございます。コングです。
キャラが増えると作者は書き分けが出来なくなります。予めご了承ください。
それではまた次回!
2020/4/18一部改稿
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コメント
コング“シルバーバック”
頑張るよ!これからもよろしく!
白葉南瓜
うむ、中々にいい出来ですな。
続きがマジで楽しみだが早めに書いてくれると嬉しいのー。
by蒲焼