英雄の妹、最強を目指す!
5話 目標への一歩
神島
11年前に、突如として此の世界に現れた島。ある日突然空高く登る塔が出現し、世界中の人を驚かせた。
何かの天変地異かと、各国の重鎮たちは慌てふためいたそうだけど、その後、女神アステル様のお告げが各国の王たちにあったそう。それが、この塔の始まり。
女神アステル様のお告げを聞いた各国の王たちは、調査団を立ち上げて、その真偽を確かめに行った。
その結果、この塔は、女神アステル様の言った通りの塔であり、各国の利益になると判断した王たちは、それぞれが神島の中に領地を決めた……のだけど、ある人の発言によって、神島の管理は女神アステル様が召喚した方が治る事になった。
その決めた人が、何気に英雄であるレイヴェルトお兄様だったりする。お兄様には、各国の王たちも余り強くは言えなかったみたい。
だけど各国の王の中で、ナノールの西の国、レガリア帝国の皇帝は、お兄様の発言が気に食わなかったため、お兄様が住む国、お兄様や奥様の1人が女王を務めている国、ランウォーカー王国に攻めたみたい。
因みに、レガリア帝国とナノール王国の間に、ランウォーカー王国がある。
当然、その事に激怒したお兄様は、1人で万の軍隊を全滅させ(殺さず、気を失わせただけらしい)、レガリア帝国の帝都に1人で攻めて、皇城を半壊にさせたとか。
学園の教科書に出てくる「英雄の逆鱗」と言われている1つの事件になる。あの話が出る度に、周りの私を見る目が、少し引いた感じになったのは嫌だったわね。まるで、私も同じみたいな視線だったから。
お兄様の事が余り好きになれない理由の1つね。
まあ、そんな事があって、その代表が神島を治めている。迷宮に繋がる冒険者ギルドがあり、その中には各国と繋がる転移陣がある。
各国から神島に行く分と、神島から自分の国に帰る分には、通行料を払ったら誰でも行けるのだけど、神島から自分の住んでいる国以外の国に行く場合は、当然許可がいる。
昔無理矢理行こうとした人がいるらしいけど、許可無しに、別の国に行こうとすると、強制的に神島の牢屋に飛ばされるみたい。その転移陣の管理も当然代表が管理をしている。
そして、その転移陣を利用して、私たちもようやく神島へとやって来た。メンバーは当然、私、エリア、シロナ、ついでにデルスだ。
デルスは、本当は父親から伯爵を継ぐ兄を支えるために、伯爵位とは別に持っていた男爵を、デルスに譲ろうとしていたみたいだけど、デルスはそれを断ってまで、私たちについて来てくれた。
どうしてそこまでついてくるのか尋ねたら「レディーを守るのがナイトの仕事さ!」とか、言っていたのを思い出す。
デルスの前では、そこまで言うのなら連れて行っても良いわよ、って態度だったけど、私もエリアと裏では感謝している。
昔冒険者をしていたお母様から何度か話を聞いた事はあるけど、どうしても女は下に見られたり、性欲の対象に見られたりする事がある。
無理矢理襲われる女冒険者も少なく無いみたい。そこに男が1人でもいたら違うみたい。デルスも同じ事を考えているのだと思う。
まあ、見ず知らずの男なんかより、学園を共に過ごしたデルスの方が、まだ信用出来るしね。
そして、ナノール王国の王都の冒険者ギルドにある転移陣を使うために、通行料を払った私たちは、転移陣へと乗る。そして、係員が近くの机の上に置かれていた水晶に手を当てると、床の魔法陣が光り出し、そして一瞬で視界が変わった。
目の前には神島の担当らしき人が頭を下げて立っていた。
「皆様は初めてでございますね。まずは右側の受付で、受付をお願い致します」
どうして、私たちが初めてだとわかったのかは、わからないけど、担当の人の指示に従う。右側が初めての人専用なら、左側は何度か来たことのある人なのかな?
確かに、左側に比べて、右側の方が多い気がするのだけど。受付までの列に並ぶ事10分。ようやく私たちの番になった。
受付は、2メートルほどの身長で、タンクトップ姿の浅黒い色をしたスキンヘッドの男の人だ。どこからどう見ても、受付をやるような人には見えない。そんな失礼な事を考えながら、男の人を見ていたら、
「おう、次はお前らか。ほれ、この紙に目的を書け。観光、商売なら名前だけで終わりだ。塔へ挑むなら、死んでも自己責任という誓約書と、冒険者カードを出してくれ」
私たちはシロナ以外は塔へ挑むので、誓約書を読む。本当に簡単にだけど、塔の中で死んでも、弱かった自分の責任です、というような事が書かれてあった。
私はそれを読んで、苦笑いをしながらも、名前を書いて、冒険者カードを提出する。
「猫耳の嬢ちゃん以外は、塔を挑むんだな。ええっと……デルス、エリア、クリシアだな。ちょっと待ってろ」
男の人は、そう行って裏へと回ってしまった。多分大丈夫だと思うけど、私の事バレないわよね?
私の冒険者ギルドの登録名は、クリシアで終わっている。理由は、ランウォーカーの名前が世界で余りにも有名だから。名前を聞いて知らない人はいないくらい。
だから、ランウォーカーの名前を聞いて集まってくる人もいるので、隠していたのだ。バレないかどうか、今も少しドキドキしながら待っていると、男の人が戻ってくる。
「ほれ、この冒険者カードがあれば、次からはタダで自分の国まで行き来できる事が出来る。ただし、2週間に1回、塔へと潜らねえと、この紋様が勝手に消えるからな」
そう言って手渡された冒険者カードには、竜の顔の紋様が付けられていた。これが塔への挑戦者の証ね。
「それじゃあ、このまま死んでもう会わねえって事がねえようにな。ようこそ、神島へ!」
最後にとんでもなく不吉な事を言われたけど、私たちはようやく、夢の一歩である神島へと足を踏み入れたのだった。
11年前に、突如として此の世界に現れた島。ある日突然空高く登る塔が出現し、世界中の人を驚かせた。
何かの天変地異かと、各国の重鎮たちは慌てふためいたそうだけど、その後、女神アステル様のお告げが各国の王たちにあったそう。それが、この塔の始まり。
女神アステル様のお告げを聞いた各国の王たちは、調査団を立ち上げて、その真偽を確かめに行った。
その結果、この塔は、女神アステル様の言った通りの塔であり、各国の利益になると判断した王たちは、それぞれが神島の中に領地を決めた……のだけど、ある人の発言によって、神島の管理は女神アステル様が召喚した方が治る事になった。
その決めた人が、何気に英雄であるレイヴェルトお兄様だったりする。お兄様には、各国の王たちも余り強くは言えなかったみたい。
だけど各国の王の中で、ナノールの西の国、レガリア帝国の皇帝は、お兄様の発言が気に食わなかったため、お兄様が住む国、お兄様や奥様の1人が女王を務めている国、ランウォーカー王国に攻めたみたい。
因みに、レガリア帝国とナノール王国の間に、ランウォーカー王国がある。
当然、その事に激怒したお兄様は、1人で万の軍隊を全滅させ(殺さず、気を失わせただけらしい)、レガリア帝国の帝都に1人で攻めて、皇城を半壊にさせたとか。
学園の教科書に出てくる「英雄の逆鱗」と言われている1つの事件になる。あの話が出る度に、周りの私を見る目が、少し引いた感じになったのは嫌だったわね。まるで、私も同じみたいな視線だったから。
お兄様の事が余り好きになれない理由の1つね。
まあ、そんな事があって、その代表が神島を治めている。迷宮に繋がる冒険者ギルドがあり、その中には各国と繋がる転移陣がある。
各国から神島に行く分と、神島から自分の国に帰る分には、通行料を払ったら誰でも行けるのだけど、神島から自分の住んでいる国以外の国に行く場合は、当然許可がいる。
昔無理矢理行こうとした人がいるらしいけど、許可無しに、別の国に行こうとすると、強制的に神島の牢屋に飛ばされるみたい。その転移陣の管理も当然代表が管理をしている。
そして、その転移陣を利用して、私たちもようやく神島へとやって来た。メンバーは当然、私、エリア、シロナ、ついでにデルスだ。
デルスは、本当は父親から伯爵を継ぐ兄を支えるために、伯爵位とは別に持っていた男爵を、デルスに譲ろうとしていたみたいだけど、デルスはそれを断ってまで、私たちについて来てくれた。
どうしてそこまでついてくるのか尋ねたら「レディーを守るのがナイトの仕事さ!」とか、言っていたのを思い出す。
デルスの前では、そこまで言うのなら連れて行っても良いわよ、って態度だったけど、私もエリアと裏では感謝している。
昔冒険者をしていたお母様から何度か話を聞いた事はあるけど、どうしても女は下に見られたり、性欲の対象に見られたりする事がある。
無理矢理襲われる女冒険者も少なく無いみたい。そこに男が1人でもいたら違うみたい。デルスも同じ事を考えているのだと思う。
まあ、見ず知らずの男なんかより、学園を共に過ごしたデルスの方が、まだ信用出来るしね。
そして、ナノール王国の王都の冒険者ギルドにある転移陣を使うために、通行料を払った私たちは、転移陣へと乗る。そして、係員が近くの机の上に置かれていた水晶に手を当てると、床の魔法陣が光り出し、そして一瞬で視界が変わった。
目の前には神島の担当らしき人が頭を下げて立っていた。
「皆様は初めてでございますね。まずは右側の受付で、受付をお願い致します」
どうして、私たちが初めてだとわかったのかは、わからないけど、担当の人の指示に従う。右側が初めての人専用なら、左側は何度か来たことのある人なのかな?
確かに、左側に比べて、右側の方が多い気がするのだけど。受付までの列に並ぶ事10分。ようやく私たちの番になった。
受付は、2メートルほどの身長で、タンクトップ姿の浅黒い色をしたスキンヘッドの男の人だ。どこからどう見ても、受付をやるような人には見えない。そんな失礼な事を考えながら、男の人を見ていたら、
「おう、次はお前らか。ほれ、この紙に目的を書け。観光、商売なら名前だけで終わりだ。塔へ挑むなら、死んでも自己責任という誓約書と、冒険者カードを出してくれ」
私たちはシロナ以外は塔へ挑むので、誓約書を読む。本当に簡単にだけど、塔の中で死んでも、弱かった自分の責任です、というような事が書かれてあった。
私はそれを読んで、苦笑いをしながらも、名前を書いて、冒険者カードを提出する。
「猫耳の嬢ちゃん以外は、塔を挑むんだな。ええっと……デルス、エリア、クリシアだな。ちょっと待ってろ」
男の人は、そう行って裏へと回ってしまった。多分大丈夫だと思うけど、私の事バレないわよね?
私の冒険者ギルドの登録名は、クリシアで終わっている。理由は、ランウォーカーの名前が世界で余りにも有名だから。名前を聞いて知らない人はいないくらい。
だから、ランウォーカーの名前を聞いて集まってくる人もいるので、隠していたのだ。バレないかどうか、今も少しドキドキしながら待っていると、男の人が戻ってくる。
「ほれ、この冒険者カードがあれば、次からはタダで自分の国まで行き来できる事が出来る。ただし、2週間に1回、塔へと潜らねえと、この紋様が勝手に消えるからな」
そう言って手渡された冒険者カードには、竜の顔の紋様が付けられていた。これが塔への挑戦者の証ね。
「それじゃあ、このまま死んでもう会わねえって事がねえようにな。ようこそ、神島へ!」
最後にとんでもなく不吉な事を言われたけど、私たちはようやく、夢の一歩である神島へと足を踏み入れたのだった。
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