英雄の妹、最強を目指す!
27話 死霊騎士
「き、来ます!」
現れたデュラハンは馬を走らせてくる。逃げて来た冒険者を見ずに、そのままなぜか私たちへと向かってくるデュラハン。
意味が分からないけど、このまま黙って見ているわけにはいかないわ!
「エリア! アイスランス!」
「は、はい! フレイムランス!」
私とエリアは向かってくるデュラハンへと魔法を放つ。それぞれの属性の魔法の槍が一直線にデュラハンへと向かうけど、デュラハンはいとも簡単に手に持つ剣で叩き切ってしまった。
そのまま突き進んで来るデュラハン。私はエリアを守るように立つけど、さらに前にデルスとリリーナが盾を構えて立ってくれる。
デュラハンは、手に持つ漆黒の大剣をリリーナに向けて振り下ろす。それに合わせてリリーナは盾を突き出す。触れる瞬間に光る盾。デュラハンの剣を反射させる気ね!
リリーナの技は上手い事決まり、デュラハンの剣は跳ね返された……けど、直ぐに振り下ろして来た。今までの敵ならそのままバランスを崩したのに! 体勢を立て直すのが速すぎる!
斜めに振り下ろして来る剣を、リリーナはしゃがんで避ける。ここに来る間に聞いたけど、反射の技は間を空けないと直ぐには使えないみたい。
「くぅっ、スラッシュ!」
デュラハンの剣をギリギリで避けていたリリーナは、本来なら剣の当たらない距離から剣を振った。何を!? と思ったけど次の瞬間、リリーナの持つ剣から斬撃が飛んでいった。ゴブリン相手じゃ使わなかったから初めて見たわね。
しかし、その斬撃もデュラハンには効かなかった。デュラハンが纏っている鎧に弾かれたのだ。その上
「危ない、リリーナ!」
「くっ!」
リリーナは転がるように避ける。まさか、馬の頭の無い首から魔法が放たれるなんて。あれは闇魔法ね。デルスも攻撃しようと近づくけど、デュラハンの激しい攻撃に近寄れない。
逃げ込んで来た冒険者たちは戦意喪失して戦えそうな雰囲気は無いし。私とエリアの魔法もそこまで効果は無い。
「エリア、私はデルスやリリーナも一緒に前に出るわ。援護をお願い」
「わかりました。気を付けて下さいね」
私はエリアの言葉に頷いて、走り出す。黒賢杖を強化して、2人と戦うデュラハンへと向かう。デュラハンはアンデッドモンスター。本当なら弱点の光魔法を使いたいところだけど、生憎私は使えない。
まあ、無いものを強請っても仕方ない。私が今やれる事をしないと。黒賢杖の先を氷で鋭い刃に変える。薙刀のように形を変えた黒賢杖を構えて、私はデュラハンへと向かう。
デュラハンも、走って来る私に気が付いたのか、剣を横に振ってきた。私は地面スレスレまで頭を下げて、下から黒賢杖を振り上げる。
下から振り上げた黒賢杖は、デュラハンの剣に簡単に防がれたけど、両サイドからリリーナとデルスが切りかかる。
リリーナは剣の効果なのか刀身が輝き、デルスは風を纏わせていた。リリーナの下から振り上げられた剣を、デュラハンは剣で受け止め、風を纏ったデルスの剣は、左手に持つ自分の頭で防いだ。ヘルムを被っているからって自分の頭で防ぐなんて凄いわね。
っと、感心している場合じゃ無い。私たち3人で攻めても、全く攻めきれない。エリアの魔法も同様に防がれる。
「ーーー!」
「っ! みんな下がって!」
攻めきれずどうすればと考えていると、デュラハンの剣に魔力が集まっていくのがわかる。私の咄嗟の言葉にリリーナもデルスも離れた瞬間、デュラハンは回転するように剣を振る。
そして時間差で衝撃波が飛んできた。危なかった。下がるのが遅かったら直撃していた。デュラハンはそのまま馬を走らせる。向かった先にはデルスが。
デルスに向けて剣を突き出すデュラハン。デルスは盾で逸らすけど、そこにデュラハンは反対の左手に持つ頭で、鈍器のように殴りかかる。デルスはギリギリ体との間に盾を挟むけど、耐え切れずに殴り飛ばされた。
「がっ、はっ」
「デルスさん! このぉっ!」
「リリーナ、待ちなさい! ったく! エリア、デルスをお願い!」
エリアにはデルスを任せる。私もデルスの事が気にはなるけど、それよりもデュラハンに突っ込むリリーナの方が心配だわ。
デュラハンに攻撃を仕掛けるリリーナの体は、気が付けば光が淡く包んでいた。今まで以上の動きの速さ、攻撃の鋭さ。身体強化のようなものみたいね。あれは鎧の効果なのかしら?
「はあぁっ!」
デュラハンへと怯む事なく攻め続けるリリーナ。だけど、あんな激しい動きを続けられるわけがない。確実にステータス以上の動きをしているもの。
私も身体強化を使ってデュラハンへと攻撃を仕掛けるけど、軽くあしらわれてしまう。このままじゃいけない、そう感じた時はもう手遅れだった。
デュラハンから噴き出す魔力、闇属性の魔力がデュラハンの剣を包む。デュラハンは魔力を集めた剣を大きく振り上げ、そしてリリーナに向けて振り下ろされた。
リリーナに向けて放たれた黒い斬撃は、部屋を大きく揺らすほどの衝撃を持ち、一直線にリリーナへと向かっていく。リリーナは避けるのは間に合わないと思ったのか、盾に魔力を流しているのがわかる。
「リフレクション!」
デュラハンの斬撃が迫る中、リリーナは自身の盾を前に突き出し、盾の能力を発動。デュラハンの斬撃がリリーナの見えない障壁にぶつかる。
いつもならここで敵の攻撃は弾かれるのだけど、がりがりがりがりとせめぎ合っている。一瞬の拮抗の内、パリンと割れる音が聞こえた。そして、壁に斬撃がぶつかり大きく揺れる部屋。
リリーナは……盾を持っていた左腕を切り落とされ、斬撃の衝撃に巻き込まれ吹き飛んでいった。
「リリーナぁぁ!!!」
私は倒れたままぴくりとも動かない。私の頭の中で嫌な想像が浮かんだけど、それよりも速く側に行かないと!
だけど、デュラハンがそれを許してくれるはずもなく、再び剣に魔力を集め始めた。あんなのが連続で放てるなんて!?
デュラハンは再び剣を振り上げる。狙った先には倒れ込むリリーナがいた。とどめを刺すつもりのようね。私がリリーナの下に辿り着いたのと同時に、放たれる斬撃。
このままじゃあ、私もリリーナも助からない。アレを使うしか無いの!? ……迷っている暇は無いわ。リリーナを助けるためなら、私のつまらないプライドなんて捨ててやる!
そう思って自分のステータスに意識を向けた瞬間、私たちとデュラハンの迫る斬撃の間に魔法陣が浮かび光り輝く。
その輝きが1番強くなった瞬間、斬撃が魔法陣へとぶつかったけど、斬撃は消滅してしまった。私は倒れるリリーナを抱えながら光の方を見ていると、光の中から人が現れた。
……ど、どうしてあの人がここに。私は助かった安堵より、現れた人に対しての疑問と戸惑いしかなかった。
「なんでこんな低い階層にデュラハンなんかいるんだ? 塔が出来て11年、どこかに綻びでも出来たか?」
デュラハンを目の前にしても焦る事なく自然のまま立つ男の人。バチバチと体に雷を纏わせる後ろ姿。忘れるはずもない。何故なら
…………その人は私の兄だったのだから
現れたデュラハンは馬を走らせてくる。逃げて来た冒険者を見ずに、そのままなぜか私たちへと向かってくるデュラハン。
意味が分からないけど、このまま黙って見ているわけにはいかないわ!
「エリア! アイスランス!」
「は、はい! フレイムランス!」
私とエリアは向かってくるデュラハンへと魔法を放つ。それぞれの属性の魔法の槍が一直線にデュラハンへと向かうけど、デュラハンはいとも簡単に手に持つ剣で叩き切ってしまった。
そのまま突き進んで来るデュラハン。私はエリアを守るように立つけど、さらに前にデルスとリリーナが盾を構えて立ってくれる。
デュラハンは、手に持つ漆黒の大剣をリリーナに向けて振り下ろす。それに合わせてリリーナは盾を突き出す。触れる瞬間に光る盾。デュラハンの剣を反射させる気ね!
リリーナの技は上手い事決まり、デュラハンの剣は跳ね返された……けど、直ぐに振り下ろして来た。今までの敵ならそのままバランスを崩したのに! 体勢を立て直すのが速すぎる!
斜めに振り下ろして来る剣を、リリーナはしゃがんで避ける。ここに来る間に聞いたけど、反射の技は間を空けないと直ぐには使えないみたい。
「くぅっ、スラッシュ!」
デュラハンの剣をギリギリで避けていたリリーナは、本来なら剣の当たらない距離から剣を振った。何を!? と思ったけど次の瞬間、リリーナの持つ剣から斬撃が飛んでいった。ゴブリン相手じゃ使わなかったから初めて見たわね。
しかし、その斬撃もデュラハンには効かなかった。デュラハンが纏っている鎧に弾かれたのだ。その上
「危ない、リリーナ!」
「くっ!」
リリーナは転がるように避ける。まさか、馬の頭の無い首から魔法が放たれるなんて。あれは闇魔法ね。デルスも攻撃しようと近づくけど、デュラハンの激しい攻撃に近寄れない。
逃げ込んで来た冒険者たちは戦意喪失して戦えそうな雰囲気は無いし。私とエリアの魔法もそこまで効果は無い。
「エリア、私はデルスやリリーナも一緒に前に出るわ。援護をお願い」
「わかりました。気を付けて下さいね」
私はエリアの言葉に頷いて、走り出す。黒賢杖を強化して、2人と戦うデュラハンへと向かう。デュラハンはアンデッドモンスター。本当なら弱点の光魔法を使いたいところだけど、生憎私は使えない。
まあ、無いものを強請っても仕方ない。私が今やれる事をしないと。黒賢杖の先を氷で鋭い刃に変える。薙刀のように形を変えた黒賢杖を構えて、私はデュラハンへと向かう。
デュラハンも、走って来る私に気が付いたのか、剣を横に振ってきた。私は地面スレスレまで頭を下げて、下から黒賢杖を振り上げる。
下から振り上げた黒賢杖は、デュラハンの剣に簡単に防がれたけど、両サイドからリリーナとデルスが切りかかる。
リリーナは剣の効果なのか刀身が輝き、デルスは風を纏わせていた。リリーナの下から振り上げられた剣を、デュラハンは剣で受け止め、風を纏ったデルスの剣は、左手に持つ自分の頭で防いだ。ヘルムを被っているからって自分の頭で防ぐなんて凄いわね。
っと、感心している場合じゃ無い。私たち3人で攻めても、全く攻めきれない。エリアの魔法も同様に防がれる。
「ーーー!」
「っ! みんな下がって!」
攻めきれずどうすればと考えていると、デュラハンの剣に魔力が集まっていくのがわかる。私の咄嗟の言葉にリリーナもデルスも離れた瞬間、デュラハンは回転するように剣を振る。
そして時間差で衝撃波が飛んできた。危なかった。下がるのが遅かったら直撃していた。デュラハンはそのまま馬を走らせる。向かった先にはデルスが。
デルスに向けて剣を突き出すデュラハン。デルスは盾で逸らすけど、そこにデュラハンは反対の左手に持つ頭で、鈍器のように殴りかかる。デルスはギリギリ体との間に盾を挟むけど、耐え切れずに殴り飛ばされた。
「がっ、はっ」
「デルスさん! このぉっ!」
「リリーナ、待ちなさい! ったく! エリア、デルスをお願い!」
エリアにはデルスを任せる。私もデルスの事が気にはなるけど、それよりもデュラハンに突っ込むリリーナの方が心配だわ。
デュラハンに攻撃を仕掛けるリリーナの体は、気が付けば光が淡く包んでいた。今まで以上の動きの速さ、攻撃の鋭さ。身体強化のようなものみたいね。あれは鎧の効果なのかしら?
「はあぁっ!」
デュラハンへと怯む事なく攻め続けるリリーナ。だけど、あんな激しい動きを続けられるわけがない。確実にステータス以上の動きをしているもの。
私も身体強化を使ってデュラハンへと攻撃を仕掛けるけど、軽くあしらわれてしまう。このままじゃいけない、そう感じた時はもう手遅れだった。
デュラハンから噴き出す魔力、闇属性の魔力がデュラハンの剣を包む。デュラハンは魔力を集めた剣を大きく振り上げ、そしてリリーナに向けて振り下ろされた。
リリーナに向けて放たれた黒い斬撃は、部屋を大きく揺らすほどの衝撃を持ち、一直線にリリーナへと向かっていく。リリーナは避けるのは間に合わないと思ったのか、盾に魔力を流しているのがわかる。
「リフレクション!」
デュラハンの斬撃が迫る中、リリーナは自身の盾を前に突き出し、盾の能力を発動。デュラハンの斬撃がリリーナの見えない障壁にぶつかる。
いつもならここで敵の攻撃は弾かれるのだけど、がりがりがりがりとせめぎ合っている。一瞬の拮抗の内、パリンと割れる音が聞こえた。そして、壁に斬撃がぶつかり大きく揺れる部屋。
リリーナは……盾を持っていた左腕を切り落とされ、斬撃の衝撃に巻き込まれ吹き飛んでいった。
「リリーナぁぁ!!!」
私は倒れたままぴくりとも動かない。私の頭の中で嫌な想像が浮かんだけど、それよりも速く側に行かないと!
だけど、デュラハンがそれを許してくれるはずもなく、再び剣に魔力を集め始めた。あんなのが連続で放てるなんて!?
デュラハンは再び剣を振り上げる。狙った先には倒れ込むリリーナがいた。とどめを刺すつもりのようね。私がリリーナの下に辿り着いたのと同時に、放たれる斬撃。
このままじゃあ、私もリリーナも助からない。アレを使うしか無いの!? ……迷っている暇は無いわ。リリーナを助けるためなら、私のつまらないプライドなんて捨ててやる!
そう思って自分のステータスに意識を向けた瞬間、私たちとデュラハンの迫る斬撃の間に魔法陣が浮かび光り輝く。
その輝きが1番強くなった瞬間、斬撃が魔法陣へとぶつかったけど、斬撃は消滅してしまった。私は倒れるリリーナを抱えながら光の方を見ていると、光の中から人が現れた。
……ど、どうしてあの人がここに。私は助かった安堵より、現れた人に対しての疑問と戸惑いしかなかった。
「なんでこんな低い階層にデュラハンなんかいるんだ? 塔が出来て11年、どこかに綻びでも出来たか?」
デュラハンを目の前にしても焦る事なく自然のまま立つ男の人。バチバチと体に雷を纏わせる後ろ姿。忘れるはずもない。何故なら
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