アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。

じゃくまる

第21話 スライムと依頼達成報告


「スライムの名前、なんにしようかな?」
 汚染されたスライムを浄化したら、仲間モンスターとして生まれ変わったけど、結構特殊な種類のスライムだったようだ。
 アルケミアスライム、錬金術を使えるちょっと変わったスライムだ。

「スライムってオスとメスの区別あったっけ?」
「基本的にはどっちにもなれるんじゃないかしら? 単細胞生物みたいなものじゃない?」
「で、スピカちゃん、その子、どっちなの?」
「一応メス……というか女の子っぽいです。変更も出来るみたいですけど」
 アーク兄達が色々と議論していたけど、鑑定でボクは答えを知ってたんだよね。
 というか、スライムにも一応男女あるのか……。
 まったくわからないや。

(スライムは女性の方が気性が穏やかなのです。男性のほうは気性が荒く、すぐに攻撃を仕掛けてきますけど)
 スライムからの念話がボクに届く。
 このスライム、年齢の割に落ち着いた話し方をするんだよね。

(君、1歳なのに随分落ち着いてるね? 子供とかの区別あるの?)
 ボクの問いかけに対して、スライムが少しだけプルプル震えるた。

(スライムに子供の区別はありません。細胞分裂することで増えるので、全員が全員大人だと思ってください。それと、私達アルケミアスライムは知識と知恵を持っています。他のスライムでは片言でしか話せませんが、私達は違います)
 このスライムは随分と流暢に話すので、違和感が半端じゃない。
 知識を持ってるって言ってたけど、脳とかはあるんだろうか……?

(スライムって、どこで考えてるの? 具体的には脳とかあるの?)
 ボクの再度の問いかけに対して、スライムはまたもやプルプルと震えた。

(スライムと言っても、私達は精霊に近いスライムです。ある意味では体全体が脳であると言えます。アルケミアスライムは、スライムが少しずつ進化していき、空気中の元素や魔力と交わることで意識を獲得していきました。ある意味では転生とも言えます。新しく生まれ変わり、アルケミアスライムとなったスライムは、長い生の中で徐々に精霊へと昇華していきます。私は生まれ変わって1年ほどになりますが、それでもこの程度の知識を有しています)
 スライムによるスライム生の語りが始まってしまった。
 スライムって案外奥が深いんだね……。

(精霊となったアルケミアスライムは、様々な属性の精霊の1つとなり、身体を捨てていきます。その時に分裂して生まれるのが、アルケミアスライムの適性を持ったスライムです)
 新説、スライムは精霊だった。
 スライムってすごいんだなぁ……。

(ほかのスライムは意識を持たないの?)
 スライムってなんなんだろう?
 ボク的にはアメーバみたいな不定形の一種だと思ってたんだけど……。

(意識を持つ個体は隠れ住んでいるでしょう。ただ地面を這うのは意識を持たない分裂体です)
 スライムの区別はつかないけれど、住んでいる場所や挙動によっては一応見分けは付くようだ。

「スライムの名前何かいいのないかな?」
「う~ん、スラとかどう?」
「アケで!」
「みんな安直じゃないか? ここはシルにしよう」
「う~ん……。ミアかなぁ?」
 みんな結構名前の案を出してくれるけど、なかなか決まらない。
 スライムに選んでもらおう。

「どの名前が良い? その人の方向を指し示してね」
 スライムに問いかけると、スライムはうにょ~んと身体の一部を伸ばして、ボクを指した。

「えっ? ミアでいいの?」
 再度問いかけると、スライムはプルプルと揺れ動いた。

「じゃあ、君は今日から『ミア』ね! よろしく、ミア」
 こうして、アルケミアスライムのミアが正式な仲間になった。

 
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「はい、依頼お疲れ様です。スピカちゃん、結構経験値稼げたかな?」
 ギルドで依頼達成の報告と、素材の納品を終えたボク達は、手に入れた獲物たちの清算が終わるのを待っていた。

「結構いい感じに。みんな同じくらいのレベルなんで、楽しく冒険できましたよ?」
 魔術師二人に、剣士一人、道士一人に、弓術師一人、そしてプリースト見習いが一人だ。
 レベル10になると、転職で見習いから卒業が出来る。
 そうすると、今までよりも格段に強くなるので、狩りが断然楽になった。
 正直言えば、今が一番楽しいのかもしれない。
 レベルも2上がって、12になったしね。
 狼美味しいです!

「それにしても、アークさん達はダンジョンブラウンウルフを狩るのが上手いですね? あんなにきれいな仕留め方だったら、毛皮が良い値段で売れますよ? 期待していてくださいね?」
 アニスさんはボク達の仕留め方についてとても褒めてくれた。
 まぁ、頭を狙って仕留めたのはコノハちゃんなんだけどね……。

「お手柄だね、コノハちゃん」
「えへへ、ありがとうございます」
 ボクが褒めると、コノハちゃんは嬉しそうにお礼を言ってきた。
 本当に可愛い妹分だ。

「今、メルヴェイユの街では異世界の冒険者さん達の転職ラッシュが始まってるんですよ。スムーズにいく人もそうでない人もいますけど、いろんな場所がにぎわっていて楽しいですよ? そんな冒険者さん達をターゲットにしたお店なんかも増えているので、是非立ち寄ってあげてください。あっ、これ、宣伝するとバックマージンが貰えるんですよ! うへへ」
 アニスさんは嬉しそうにそう言った。
 それ、話しちゃダメなんじゃ?
 それにしても、お金が貰えるのはいいけど、なんてだらしない顔をしてるんだろう……。

 その時のアニスさんの顔は、金欲にまみれた顔をしていた。
 お金大好きなんだね……。

「アニスさん、お金好き過ぎでしょ? まぁ私も好きだけどさ」
 カレンさんもアニスさんと同じくお金が大好きなようだ。
 まぁ、お金は有れば困らないものね。

「あ~、そうか。ならさ、今度屋台だしてみないか? 調理スキル持ってるし、ちょっと美味しいもの作って提供しようぜ?」
 アーク兄が出店を提案している。
 アーク兄の料理スキルなら、結構お客きそうだからいいと思うな。

「アーク君、料理出来るの?」
「カレン、アーク君は料理上手だよ?」
「えっ? マジ?」
「優良物件」
「お前らなぁ~……。ともかくだ、俺が料理するけど、出来そうなら手伝ってくれていい。だめなら売り子してくれ。顔は良いんだから、集客力は抜群なはずだしな」
 アーク兄は確かに優良物件だと思うから、買って損はないと思うよ?

「お手伝いかぁ~。う~ん、学祭前だけど練習兼ねてやろうか?」
「私は調理補助でも売り子でもどちらでもいいかな? 一応料理は出来るし」
「私は売り子!」
「私も売り子かなぁ。お兄ちゃんと違ってあまり料理出来ないし。でも、練習して作るのは有りかな?」
「スピカはどうする?」
「ほえ? なにが?」
 ボクは考え事をしていたせいか、何か話を聞き逃してしまったようだ。
 突然振られてちょっとびっくりしてしまった。

「や、驚かせたのは悪かったけどな。で、調理補助と売り子、どっちやりたい?」
 アーク兄のお手伝いかぁ。
 ボクはどっちの方が適性あるかな?

「お姉ちゃん、私と練習してみよ? ダメだったら売り子で」
「えぇ~。ボク料理したことないよ?」
 果たして、上手くできるんだろうか?
 リアルで練習しなきゃなぁ……。

「大丈夫だよ、一緒にやろ?」
「おう、俺も手伝うし教えるからな!」
 ボクの兄妹は頼りになる人ばっかりだ。
 それじゃ、ちょっとだけ頑張ってみようかな?

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