やはり、創造神の加護はチートでした

弥音 雪

29話 フィリアと散策①




  門を出ていき街の大通りに向かい歩く。途中フィリアが新しい物を見つけては聞いてきたので1つ1つ説明する。

「レオン!あの串に刺さった物はなんですか?」

  フィリアは屋台の方を指して聞いてくる。

「あれは見た目の通り串焼きって言うよ。串にお肉を指してその店のタレをつけて食べるんだ。確かあのお店はボアの肉を使ってたかな。食べてみる?」

「是非お願いします!」

  結構食い気味に返事をされた。

(やっぱり新しい事は楽しいんだろうな。)

  フィリアの返事に応え屋台に向かう。

「おじさん!2本ください!」

「おう!銀貨3枚だ。今焼くから待ってろ。」

  レオンは銀貨3枚を渡し、焼いてくれた串焼きを持ってフィリアのところに戻る。

「はいどうぞ!ベンチの方に行って食べようか。」

「ありがとうございます!」

  空いているベンチに座り串焼きを頬張る。

「んっ!やっぱりこの店のは美味しいな。」

  レオンの食べ方を見てフィリアも見様見真似で食べる。

「本当ですね!お肉も美味しいですがこのタレがとても食欲をそそります!」

  串焼きの味に満足しつつどんどん食べ進めていく2人。

「美味しかったね。」

  2人は串焼きを食べ切った。レオンは平民なのであまり気にしてなかったが、フィリアは認識阻害をかけているとはいえこの食べ方に少し抵抗はあったようだ。しかしそれと味は別問題だ。

「そうですね!また食べてみたいです。」

「今日はダメだよ?まだ街を回るんだから。」

「分かってます。では行きましょう!」

  そしてまた大通りに向かう。

「さっきから思っていましたがなかなか賑やかですね。」

「そうだね。ここは商売は盛んだし、冒険者ギルドも大きいから自然と人が集まってくるんだよ。」

  ここの王都は他の王都よりも治安が良いため多くの商業が集まってくるのだ。そうなると護衛の仕事や討伐依頼などが多くなるため自然と冒険者も多くなったのだ。

「納得です。そういえばレオンは冒険者ギルドに登録しているのですよね?」

  普通にフィリアが知っていることに驚きを隠せない。

「え?なんで知ってんの?」

「学園長から聞きました。レオンは武術も魔法も長けていますしSランクにすぐなってしまうかもしれませんね。」

「買いかぶりすぎだよ。でもまぁ目指せなくは無いかな。」

「さすがですね!あ、では今度また魔法を教えてもらう時に武術も教えてくれませんか?」

「うーん、それはまず魔法をある程度までできるようになったらね。そうだな…超級魔法を無詠唱で放てるぐらいかな。」

「…分かりました。頑張ります。」

  フィリアはまだまだ先は遠いなと思い、少し気落とした。

「まぁそう落ち込まないで。僕の予想だとそのくらいまで3ヶ月あれば余裕でたどり着けるから。」

「そんなに早く…。はい!分かりました。頑張ります!」

「うん!一緒に頑張ろう!それはそうと、大通りが見えてきたよ!」

  目の前にはさっきの場所とは比べ物にならないほどの人がいた。

「さすがに多いね。」

「そうですね。でもやっぱり行ってみたいです!」

(うーん、一国のお姫様に何かあったら問題なんだけどな……。)

  だがレオンはフィリアに見つめられて折れた。

「分かった。でも何かあったら僕に言ってね?」

「はい!分かりました!」

  そうしてレオン達は人混みに飛び込む。

(あ、先に行く場所決めておけば良かった。)

   そう後悔したがもう遅い。フィリアは隣にいるがそれが精一杯で人の波に乗っていくしかなかった。

「フィリア、あの店行ってみない?」

「いいですね!行ってみましょう!」

  レオンが見つけた店は主に剣や杖を売っている店だ。

  2人は何とかその店の前にたどり着き、入ることが出来た。

「いらっしゃい。ゆっくり見ていきな。」

  店に入ると女性の店員がそう声をかけてくれた。

「なかなか良い剣だな。」

「こちらの杖も業物ですよ。」

  そう感想をこぼしつつ鑑定してみると、どちらも超級だった。

「フィリアにはいい杖かもね。」

「そうですか?」

  フィリアの取った杖には魔法威力上昇と魔力操作補助が付いていたのだ。

「別に違和感があるなら言って。そういうのは相性もあるしね。」

「そうですね……。これは少し違和感がありますね。持ち手の素材と太さが気になります。」

「…確かに少し太いかもね。素材は金属より木製の方が良いかな?」

「そうです。よく分かりましたね。」

「僕も初めて持った杖が金属だったから。あまり好きじゃなかったんだよ。」

  確か4歳の時にたまたま見つけた杖があって、感動していざ持ってみると違和感たっぷりだった。今では懐かしい思い出だが、当時は少々落胆したものだ。

「なるほど、そういう事だったのですね。」

  それから店内を見て回ったがフィリアが納得する杖は見つからなかった。

「やっぱり自分に合うものを探すのは難しいんだね。」

  レオンは自分で作ったことの方が多いので苦労はしないが、フィリアを見てて改めて痛感した。

「そうですね。少し期待したのですが…残念です。でもいいお店でしたね。仕事は丁寧で人柄もいい人でした。」

「そうだね。手入れとかしてくれるなら今度からここに行こうかな。」

「良いと思います!私も自分の杖があったらここに来たいと思いました。」

(どうにかしてフィリアに杖をあげたいな…。ん?別に買わなくても自分で作ればいいんじゃ……。よし!)

「どうしました?」

  どうやら気づかないうちに笑みがこぼれていた。

「いや、良いことを思いついただけ。ところでこの後はカフェにでも行こうかと思うんだけど、どう?」

「いいですね!」

  そうしてレオン達は大通りに戻りカフェを目指す。

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