センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

12話 天万手(あましゅ)。



 12話 天万手あましゅ


「ちなみにですが、ゼノリカ・コレクション(第二宝物殿に保管されている至宝)をご覧になられたことは?」


 問われたアダムは、首を軽く横に振って、


「いや……第一宝物殿(センエース・コレクションが保管されている金庫)しか確認していない」


「一度、ご覧になられてはいかかでしょうか。なかなか、ツブが揃っていますよ。ゼノリカの天上に属する職人は腕が違います。まあ、もちろん、大半は、『今のボクらクラスの存在値』には耐えられないゴミアイテムですが、なかには、異次元砲のように、『注いだ魔力やオーラの分だけ効果を発揮するタイプ』の至宝もあり、それらは、今でも充分に使えます。たとえば、こんな具合に――」


 そこで、平熱マンは、特殊な亜空間魔法を使い、ゼノリカ・コレクションにアクセスする。


 平熱マンが言ったように、『攻撃力+1000』などといったアイテムは、今となってはゴミ(現世では国宝級)だが、『攻撃力+20%』や『注いだ魔力の量×1000アップ』などは、解放され神となった現在でも普通に使える。


 そして、もちろん、ゼノリカ・コレクションは、単純な『ステータスを補助するアイテム』だけで構成されている訳ではなく――


「これは、『天万手あましゅ』と呼ばれる、サポートアイテムなのですが――」


 平熱マンの手によって倉庫から取りだしされた『天万手』は、彼の身の丈とほぼ同じサイズの、『無数の剣で装飾された、巨大でゴツい右腕』だった。


「――かつて、現世で暴虐の限りをつくし、最後には、師によって滅ぼされた愚神バーチャ・ルカーノ・ロッキィが用いていた神器。正直、あのカスが使っていたアイテムなど使いたくはないのですが、しかし、神器だけあって、こいつが、また、実に便利かつ強力でしてね……過去にとらわれるより、前を向くべきだとも思いましたし――」


「露骨な時間稼ぎはそこまでだ。プラスのハンデとして、2分はくれてやった。さぁて、残り3分。稼げるかな」


 言いながら、アダムは右手を出現させて、その手の中にオーラを注ぎ込んでいく。


 そんな『遊び』のない様子を見て、平熱マンは、


「……ちっ」


 軽く舌を打ちつつ、同時に『天万手』を起動させる。
 ヴーーーーン……
 と、低く唸るような音がして、ゆっくりと、浮遊する。
 平熱マンの右腕の右隣にセットされた天万手。
 キュイィインという嫌な音がして、天万手の指先がポォっと光った。


 次の瞬間、平熱マンの左肩から、腕が二本、ニョキニョキと生えてくる。
 追加の腕2本が生え切ったと同時に、平熱マンは叫んだ。


「オールセット!!」


 呼応するように、天万手が輝き、全ての腕に『禍々しい剣』が装備された。


「腕が増えるだけ……ではないようだな、どうやら」


 距離を取って様子を見ているアダムがそう言ったのを聞いて、
 平熱マンは言う。


「天万手を装備することにより、全部で12種類のアビリティが追加されます。
 1、『腕が増えて装備できる武器の数が増える』。
 2、『天万手専用の特殊な剣を召喚できる』
 もし、3から先も聞きたいというのであれば、すべて、懇切丁寧に説明させていただきますが、どうします?」


「それには及ばない。自分の目で確かめる」


 言って、アダムは、平熱マンの懐に飛び込んだ。
 練り上げた魔力で平熱マンを吹き飛ばそうとした、
 が、


「っ」


 ギンッと鈍い音がして、『平熱マンを吹き飛ばそうとしたアダム』の方が吹き飛んだ。


「残念。天万手を使っている間のボクは無敵です。全ての攻撃を反射する無敵のフィールド展開、それが天万手を装備する事で使えるようになる12アビリティの一つです」


「……そんなアイテムがあってたまるか」


「はい、もちろん嘘です」





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