俺の高校生活に平和な日常を

ノベルバユーザー177222

第3章番外編 #14「契約からの数ヶ月後」

 ---それから数ヶ月後、特に私の日常に変化の無い日々を送っていました。

 バードさんが消えた後、私の足元にピンク色の手帳が落ちていました。私はすぐに手帳を拾い上げ中身を確認して見ました。

 「…これは…」

 手帳には魔法少女についての事柄を色々と書かれていました。魔法少女の役目・使える魔法・敵対している魔女や魔獣についてetc…

 約30ページに渡り書かれている手帳をひと通り見終わり私は一つのことに気がつきました。

 それは、バードさんもといコントラクターのことに関して一つも書かれていなかったのです。

 何故バードさんは消えてしまったのか?一体バードさんはどうなってしまったのか?私には今どうしても知りたいことを知るすべがありませんでした。

 「…どうして?」

 バードさんは自分のことをあまり話してくれなかったことに私は今更ながらに思い返しました。多分、こうなることも分かっていたのかも知れません。

 「なんで言ってくれなかったの?」

 私は後悔の気持ちで胸が張り裂けそうでした。張り裂けそうな程心苦しく気がつけば涙が止まることをしらず流れ落ちていました。

 (私のこと騙したの?)

 私はそんなことを考えながら1人、涙を流しながら立ち尽くしていました。

 ---その後私は不安を抱えたまま魔法少女としての使命も忘れ普通の生活を送っていました。

 いつもと変わらない光景。唯一変わったとすればお兄ちゃんが昔のように気にかけてくれるようになったことぐらいです。一応願いは叶えられたということなんでしょうか?

 「ぐへぇ!!」

 「きゃあ!!」

 ある日、洗濯物を干す為にベランダに出ていると私の目の前に何かがもの凄い勢いで落ちてきました。私は驚いて後ずさりして危うく小さい段差に足がかかってしまいそうでした。一瞬体勢が崩れかけたもののすぐに体勢を立ち直しふと勢いで下に視線を移しました。

 するとそこには懐かしく思えてくるシルエットが私の目に映りました。

 「………っ!?」

 私はその姿を見て涙が出てきても声が出てきませんでした。

 「くっそイテーなー!なんで毎回毎回俺がこんな目に遭わなくちゃいけねーんだよ!?」

 「バードさん!!」

 私の目に映っているものは間違いなくバードさんでした。全身、群青色ぐんじょういろに染まっていて全長は手のひらサイズ程。そのうえ流暢りゅうちょうな喋りは思い当たるところが1つしかありません。

 ぶつくさ苦言を言っているバードさんに私は飛びつくようにバードさんを握り締めました。

 「ぐぐぐぐ…」

 バードさんは苦しそうな顔を見せながら必死にタップをしていました。決して恨んでやったことではないのでずが大分強めに握り締めていたようです。

 「あ、ごめんなさい」

 私は苦しそうにしていることに気づいてスッと手を離しました。

 「ハア、ハア、もうイヤ!」

 バードさんはすっかりとうつ状態になってしまいましたが私が繰り返し謝罪すると少しは機嫌を直してくれました。

 「久しぶりに会ったかと思ったら危うく殺されるかと思ったぜ!」

 「ごめんなさい」

 いつの間にか正座をしている私に皮肉を言うバードさん。久しぶりの再会したとは思えない光景。

 「あの…バードさん?」

 「んん?」

 私は重い空気の中意を決して声をかけると嫌悪感を出していたバードさんが私の方を向いてくれました。

 「いくつか質問いいでしょうか?」

 「ん」

 私の問いに短い返事と首を縦に振って返してくれるバードさん。本来、感動の再会だからもうちょっと涙でも流しながら聞いていたかもしれませんがそんな涙も今は全く流れてきませんでした。

 「あの時のことなんだけど、一体アレは何だったの!?それに何でいなくなっちゃったの!?どうしてそのこと言ってくれなかったの!?」

 しかし私は今まで溜まっていた疑問を一息で言い切りました。するとバードさんは若干困ったような顔をしました。

 「オイオイオイ!一気に言われても流石に困るんだが………分かったよ!1から説明するよ!」

 困った顔をしながらもバードさんは頭の中を整理し始めました。

 「よし!じゃあ説明させてもらうぜ!先ずあの光のことなんだが…アレは演出だよ!」

 「演出!?」

 まさか最初の疑問がそんな答えで返ってくるとは思いもしませんでした。

 「本当のことを言うとあの時、役目を終えた俺は主人マスターに強制転移で戻されたんだ」

 「マスター?」

 「そう。俺等コントラクターを造った創造主のことだ」

 「創造主…」

 私はその言葉を聞いてパッと頭の中で神様のような人物像を思い浮かべました。私の中では創造主=神様のイメージが強かったものですから。

 「役目を終えたら次の少女のところに行かないといけないからその準備やらメンテナンスやらの為に戻されたんだ。だから居なくなったのもそういう訳なんだ!あっ、一応願いはきちんと叶えてやったから大丈夫だと思うが…まあ今回はいかんせん特殊な願いだからあまり実感はないと思うが…」

 言われてみると確かにはたからすると地味な願いごとだからあまり実感は湧いていませんでした。

 「さて、聞きたいことはもう終わりか?」

 「あ、あと…」

 バードさんがそう言ってきたので私は慌てて引き止めました。聞きたいことはまだたくさんありましたがこれだけはどうしても聞いておきたいことが一つだけあったからです。

 「ねえバードさん?」

 「ん?」

 私はその一瞬言おうか言うまいか迷ってしまいましたがここまできたので意を決して聞くことにしました。

 「どうして戻って来てくれたの?」

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