俺の高校生活に平和な日常を
第4章 #40「結局こうなってしまうのか」
 「ハア〜、つかれた〜〜」
 「お兄ちゃん達、大変だったもんね」
 イーリスちゃんが出してくれた転移門を抜けると一瞬のうちに自分の家の玄関前にたどり着いた。幸いなことにも廊下には誰も居らず見られるようなことはなかった。
 とにかく今回の事はなんとかなったしと心から安堵の表情が溢れる。それと同時に俺の身体は疲労感がかなり溜まっている事を知らせてくる。まだそんなに暗い時間帯ではないが今日はもう熱い風呂に入ってふかふかのベットでぐっすりと眠りたいものだ。
 「にしても、いいのか梓?今日まで泊まるつもりだったんだろ?」
 そんな事を考える傍、俺は梓の方に視線を向ける。仕方のない事とはいえ折角楽しみにしていたであろう2人の時間を無下にしてしまった事に対し少しばかり罪悪感を覚える。
 「気にしないで。それにお兄ちゃん達あれからご飯食べてないでしょ?」
 「あっ、そういえば…」
 俺の問いかけに対し涼しげな笑顔で返事を返す梓。言われてみれば丸1日あの島で過ごしていたが口に入れたものといえば海水ぐらいだ。
 梓に言われてその事に気がつくと突如空腹感に襲われた。しかし今の俺には『生きてる』という実感が湧いて少しばかりホッとしている。
 グゥー
 「あっ」
 俺と梓がそんな会話をしていると後ろから腹の虫の音がはっきりと聞こえてくる。思わず俺達は後ろを振り返ると頰を赤らめた白石先生が立っていた。
 「先生もよかったらどうですか?」
 「えっ!?」
 そんな先生を見かねてか梓が先生を食事に誘っていた。先生も何も口にはしていないから腹が減っててもおかしくない。
 「…じゃあお言葉に甘えて…」
 先生は梓を見た後、俺の方に視線を向けた。多分、俺の様子を見て判断しようとしているのだろう。無論、先生を邪険に扱う訳もなく俺は何も言わず微笑み返す。それを察してか先生は申し訳なさそうに思いながらも梓の誘いを受けた。
 「ほら、有紗も行ででで…」
 そんなこんなで梓は先生を家に入れそのまま夕飯の支度をし始めていった。その頃俺は密かについて来ていた有紗に声をかけた。
 さっきから俯いて一言も喋らずついて来ていた有紗だがいつのまにか梓の中学の制服を着ていた。梓がありのままの姿の有紗を見てすぐに着させたのだろう。幸いなことにサイズは割と合っていたようだ。
 そんな白のセーラー服を見にまとった有紗はおもむろに俺の顔面を掴み出した。見た目とは裏腹にゴリラ以上の握力を誇る有紗はそのまま俺の顔面を握り潰すかのように力を入れてくる。
 「やめろ…って…俺が…何した…って…」
 激痛で涙まじりになりながらも有紗を説得してみたがまるで反応がない。
 「おい、話聞け…」
 あまりにも理不尽な暴力に流石の俺も業を煮やし強めの口調で止めようとしたその時、有紗はゆっくりと顔をあげた。
 その目は別人のように死んだ目をしていた。しかしながらもその目を見ると死を感じさせてしまう程の殺気を感じた。今までで何度か感じたことはあったが正直、今回は格が違う。本気で殺しかねない。
 「アンタハキョウナニモミナカッタ。ソウ。ナニモミナカッタ。ナニモ、ナニモ…」
 有紗はカタコトで何かを呟いていた。その口調はサイコパスのような狂気を感じた。
 「ハヤクキオクケシテ、ソウダ。キオクヲケサナキャ」
 「ヒィッ!?」
 サイコパスと化した有紗はブツブツと呟きながら俺を家の中へと連れて行く。そんな有紗の姿を見て裏返った声が漏れる。
 多分俺の予想ではあるが有紗はきっと裸にされた時のことをまだ根に持っているのだろう。裸にされて砂浜で1日中放置されたのだからそりゃあ腹立つ気持ちは分からんでもないがまさかここまで逆鱗に触れるとは思いもしなかった。
 「キオクヲケセバスベテモトドオリ。モトドオリ、モトドオリ…」
 「だ、だれかたすけ…」
 俺は必死に助けを呼ぼうとするが恐怖のあまり誰にも届かない程の涙声しか出てこず、そのまま地獄へと連れて行かれるのだった。結局こうなってしまうのか。
 「お兄ちゃん達、大変だったもんね」
 イーリスちゃんが出してくれた転移門を抜けると一瞬のうちに自分の家の玄関前にたどり着いた。幸いなことにも廊下には誰も居らず見られるようなことはなかった。
 とにかく今回の事はなんとかなったしと心から安堵の表情が溢れる。それと同時に俺の身体は疲労感がかなり溜まっている事を知らせてくる。まだそんなに暗い時間帯ではないが今日はもう熱い風呂に入ってふかふかのベットでぐっすりと眠りたいものだ。
 「にしても、いいのか梓?今日まで泊まるつもりだったんだろ?」
 そんな事を考える傍、俺は梓の方に視線を向ける。仕方のない事とはいえ折角楽しみにしていたであろう2人の時間を無下にしてしまった事に対し少しばかり罪悪感を覚える。
 「気にしないで。それにお兄ちゃん達あれからご飯食べてないでしょ?」
 「あっ、そういえば…」
 俺の問いかけに対し涼しげな笑顔で返事を返す梓。言われてみれば丸1日あの島で過ごしていたが口に入れたものといえば海水ぐらいだ。
 梓に言われてその事に気がつくと突如空腹感に襲われた。しかし今の俺には『生きてる』という実感が湧いて少しばかりホッとしている。
 グゥー
 「あっ」
 俺と梓がそんな会話をしていると後ろから腹の虫の音がはっきりと聞こえてくる。思わず俺達は後ろを振り返ると頰を赤らめた白石先生が立っていた。
 「先生もよかったらどうですか?」
 「えっ!?」
 そんな先生を見かねてか梓が先生を食事に誘っていた。先生も何も口にはしていないから腹が減っててもおかしくない。
 「…じゃあお言葉に甘えて…」
 先生は梓を見た後、俺の方に視線を向けた。多分、俺の様子を見て判断しようとしているのだろう。無論、先生を邪険に扱う訳もなく俺は何も言わず微笑み返す。それを察してか先生は申し訳なさそうに思いながらも梓の誘いを受けた。
 「ほら、有紗も行ででで…」
 そんなこんなで梓は先生を家に入れそのまま夕飯の支度をし始めていった。その頃俺は密かについて来ていた有紗に声をかけた。
 さっきから俯いて一言も喋らずついて来ていた有紗だがいつのまにか梓の中学の制服を着ていた。梓がありのままの姿の有紗を見てすぐに着させたのだろう。幸いなことにサイズは割と合っていたようだ。
 そんな白のセーラー服を見にまとった有紗はおもむろに俺の顔面を掴み出した。見た目とは裏腹にゴリラ以上の握力を誇る有紗はそのまま俺の顔面を握り潰すかのように力を入れてくる。
 「やめろ…って…俺が…何した…って…」
 激痛で涙まじりになりながらも有紗を説得してみたがまるで反応がない。
 「おい、話聞け…」
 あまりにも理不尽な暴力に流石の俺も業を煮やし強めの口調で止めようとしたその時、有紗はゆっくりと顔をあげた。
 その目は別人のように死んだ目をしていた。しかしながらもその目を見ると死を感じさせてしまう程の殺気を感じた。今までで何度か感じたことはあったが正直、今回は格が違う。本気で殺しかねない。
 「アンタハキョウナニモミナカッタ。ソウ。ナニモミナカッタ。ナニモ、ナニモ…」
 有紗はカタコトで何かを呟いていた。その口調はサイコパスのような狂気を感じた。
 「ハヤクキオクケシテ、ソウダ。キオクヲケサナキャ」
 「ヒィッ!?」
 サイコパスと化した有紗はブツブツと呟きながら俺を家の中へと連れて行く。そんな有紗の姿を見て裏返った声が漏れる。
 多分俺の予想ではあるが有紗はきっと裸にされた時のことをまだ根に持っているのだろう。裸にされて砂浜で1日中放置されたのだからそりゃあ腹立つ気持ちは分からんでもないがまさかここまで逆鱗に触れるとは思いもしなかった。
 「キオクヲケセバスベテモトドオリ。モトドオリ、モトドオリ…」
 「だ、だれかたすけ…」
 俺は必死に助けを呼ぼうとするが恐怖のあまり誰にも届かない程の涙声しか出てこず、そのまま地獄へと連れて行かれるのだった。結局こうなってしまうのか。
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