転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~
第十六話 三人の冒険者
三人は馬車にのり、イルスティン連邦に向かった。
「それにしてもなんで他国だからって争う必要があるんだろうね……」
そう呟いたのはメグミだった。
「何かに洗脳されたような感じになってるよな」
ユウヤがそれに同調した。
「もうちょっとでイルスティン連邦の都市につくぞー」
セイヤが口を挟んできた。
「ちょっと、街に入ったら、教会でお祈りしていきましょう。旅の無事を祈って」
メグミの提案に二人が頷いた。
街の入口でギルドカードを提示し、中に入っていく。宿をとり、馬車をおいてから教会に向かう。
入口でシスターにお布施を渡し祭壇に向かう。
三人で並んで膝を付き祈るポーズを取る。
「神さまたち、わたしたちを見守ってください」
三人が祈った瞬間だった。
その瞬間に視界は真っ白な空間に包まれた。
何が起きたかわからずに、三人は周りを見渡した。
何もないただ白い世界だった。
「すまんな。いきなり呼び出してしまって」
声のする方を向くと、そこには大きなテーブルとそこに座っている七人がいた。
「そこまで緊張しなくてもいいぞ。そこに座ると良い」
真ん中に座っている老人が声を掛けてきた。
三人は勧められるがままその椅子に座った。
「まずは自己紹介としようか。わしはゼノムじゃ。創造神ゼノムといえばわかるかな。ここにいるのは他六神だ、一人いないがな……」
ゼノムは申し訳なさそうな顔をしながら、説明しはじめた。
神と聞いて、三人は驚いた。
「まさか……神と実際に会うことがあるなんて……ぼ、僕は、ユウヤ・ヒラサワです」
「セイヤ・シイナだ。隣にいるのは妻のメグミ・シイナです」
「メグミ・シイナです」
「うむ。見ておった。召喚されし勇者たちよ。そなたたちに頼みがあってここに呼ばせてもらったのじゃ」
ゼノムが話し始めた。
「実はな、この世界の混乱は一人の神がしでかしたことなのじゃ。名前を遊戯の神アーロンという。この世界はのぉ、あまり遊戯がないのじゃ。それでじゃ、遊戯のために人々に神託をおろし、戦争へと進んでしまったのじゃ。わしらが気づいて神の資格を剥奪したのだが、そのまま地上界に堕ちたことでさらにひどい状態になってしまったのじゃ。地上に降りてしまってはワシらでは何もできん。それで君たちに頼みたいのじゃ」
創造神はテーブルに手をついて頭を下げた。
それにならって、一緒に並んでいた座っていた神々も頭を下げる。
「僕たちで……そ、その……アーロンは倒せるのでしょうか……」
ユウヤが緊張した顔で問いかけた。
「それは俺たちがやる必要があるのでしょうか……。できれば妻と調べ物をしながら過ごしていきたい」
セイヤもそれに続いた。
「今この世界にいる人々では、アーロンの洗脳には勝てん。アーロンの洗脳に勝てるのは君たちだけだ。ただ、今の君たちのレベルのままでは無理だ。さらに上げてもらわないとな。そのための協力は惜しまない」
「私たちの加護を最大限まであげるわ。それで成長もぐっと伸びる。そして武器と防具も用意する。だからお願い。アーロンをとめて……」
神の一人、ベラが悲しそうに伝えてくる。
「それと、君たちでもアーロンは倒せないかもしれない。だから、念のために封印石を用意しておいた。弱ってきたところでこの封印石を押しあて、呪文を唱えればアーロンは封印される」
そう言って、技能神グリムが手の平にのるくらいの石を出して渡してきた。
「俺からは武器と防具を渡そう」
武神サーノスは空間から日本刀のような刀と、剣、鎧を出してきた。
「メグミは賢者だから私が渡すわ」
魔法神レノが杖とローブを出してきた。
「これらの武器は防具は神具となっておる。武器は強力すぎるから気をつけるのじゃ」
「修行の場も用意しておる。こちらの世界とは時間軸がずれておるからの。そこの世界で一年修行しても一分しかこの世界では時間が進んでおらん。そこで修行するが良い」
ゼノムが手をかざすと何もないところに扉が現れた。
「三人とも、申し訳ないが頼んだぞ……」
そうして、三人は扉をくぐって修行の場に向かった。
その世界でどれくらいいたのだろう。ゼノム様からは身体の成長は止めておくと言われてたおかげで外見的な成長はしていない。ただ、ひらすら魔物を倒していく日々を過ごしていた。
どれくらいの期間魔物の相手をしていたかわからないほど魔物たちと戦ってきた。
それでも本当に神と同等のアーロンに勝てるかの不安からひたすらレベルを上げていった。
そして三人がその世界から出てきた。
出たと思ったところは教会だった。
そしてまだいつだったか忘れたくらい過去にあったイルスティンの教会で祈っている状態だったのだ。
「「「これは……」」」
三人は目を合わせ頷く。
神の世界で修行していた時間は、教会で祈っている時間ほどしかなかったのだ。
無言のまま三人は教会をあとにし、予約してあった宿屋の部屋に集まった。
「あれは夢じゃないよね……」
「夢じゃないと思う。ほら」
メグミに問いにユウヤはそう返した。そして神からもらった日本刀みたいな剣をアイテムボックスから出してきた。
「やはりそうだったか、俺のアイテムボックスにも鎧一式と剣が入っていた」
「私たちがやらないといけないのね……」
そうして三人はアーロンを倒すために旅立った。
◇◇◇
一年の旅をし、情報を集めながらアーロンの場所を探し当てた。
今、目の前には十五歳くらいに見える少年が一人で立っている。
周りには、アーロンを讃えるものたちが倒れている。
「これでもうお前一人だ。覚悟はいいか」
セイヤとユウヤがアーロンに向かって剣を向け、後ろではメグミが杖を構えている。
「フンッ。三人で雑魚どもを倒したからって調子にのるなよ。これでも神だ。お前らごときでは相手にならんな」
お互いの距離は十メートルとなったとき、ユウヤとセイヤは一気に攻め寄っていった。
メグミの強化魔法をかけてもらい、目に見えないスピードで向かっていく。
アーロンは両手に二本の剣を持ち立っている。
二人からの剣技を二本の剣で受け止める。
「こんなもんか……」
アーロンは一言だけ呟き剣を振り払うと、それだけでセイヤとユウヤは吹き飛ばされた。
「まじかよ……」
着地したユウヤはそう呟いた。
「あんだけレベルあげるために修行してたのに、まだこれだけ差があるのか……」
「そんなこと言っても仕方ないわよっ!」
メグミから激が飛んできた。
『獄炎地獄』
メグミがアーロンに魔法を放つ。
炎の渦がアーロンを巻き込んでいく。
炎が消えたあとには、先ほどまでと何一つ変わらないアーロンが立っていた。
「これでもなんともないなんて……」
三人とも悲壮感にかられていた。
その時、後ろから馬の蹄の音が聞こえてくる。
「みなさん、手伝いにきました!」
振り返ると、馬に乗り先頭を走り叫んだのは聖女メリネだった。
そしてその後ろには冒険者たちがあとを追ってきた。
その冒険者たちには、見覚えがあった。
三人が旅をするにあたって同じ依頼を受けたりしていた仲間たちだった。
「よう! 久々だなっ!! 手助けしにきたぜっ!」
三人はその仲間たちを見て悲壮感は消え、笑顔になるのだった。
「それにしてもなんで他国だからって争う必要があるんだろうね……」
そう呟いたのはメグミだった。
「何かに洗脳されたような感じになってるよな」
ユウヤがそれに同調した。
「もうちょっとでイルスティン連邦の都市につくぞー」
セイヤが口を挟んできた。
「ちょっと、街に入ったら、教会でお祈りしていきましょう。旅の無事を祈って」
メグミの提案に二人が頷いた。
街の入口でギルドカードを提示し、中に入っていく。宿をとり、馬車をおいてから教会に向かう。
入口でシスターにお布施を渡し祭壇に向かう。
三人で並んで膝を付き祈るポーズを取る。
「神さまたち、わたしたちを見守ってください」
三人が祈った瞬間だった。
その瞬間に視界は真っ白な空間に包まれた。
何が起きたかわからずに、三人は周りを見渡した。
何もないただ白い世界だった。
「すまんな。いきなり呼び出してしまって」
声のする方を向くと、そこには大きなテーブルとそこに座っている七人がいた。
「そこまで緊張しなくてもいいぞ。そこに座ると良い」
真ん中に座っている老人が声を掛けてきた。
三人は勧められるがままその椅子に座った。
「まずは自己紹介としようか。わしはゼノムじゃ。創造神ゼノムといえばわかるかな。ここにいるのは他六神だ、一人いないがな……」
ゼノムは申し訳なさそうな顔をしながら、説明しはじめた。
神と聞いて、三人は驚いた。
「まさか……神と実際に会うことがあるなんて……ぼ、僕は、ユウヤ・ヒラサワです」
「セイヤ・シイナだ。隣にいるのは妻のメグミ・シイナです」
「メグミ・シイナです」
「うむ。見ておった。召喚されし勇者たちよ。そなたたちに頼みがあってここに呼ばせてもらったのじゃ」
ゼノムが話し始めた。
「実はな、この世界の混乱は一人の神がしでかしたことなのじゃ。名前を遊戯の神アーロンという。この世界はのぉ、あまり遊戯がないのじゃ。それでじゃ、遊戯のために人々に神託をおろし、戦争へと進んでしまったのじゃ。わしらが気づいて神の資格を剥奪したのだが、そのまま地上界に堕ちたことでさらにひどい状態になってしまったのじゃ。地上に降りてしまってはワシらでは何もできん。それで君たちに頼みたいのじゃ」
創造神はテーブルに手をついて頭を下げた。
それにならって、一緒に並んでいた座っていた神々も頭を下げる。
「僕たちで……そ、その……アーロンは倒せるのでしょうか……」
ユウヤが緊張した顔で問いかけた。
「それは俺たちがやる必要があるのでしょうか……。できれば妻と調べ物をしながら過ごしていきたい」
セイヤもそれに続いた。
「今この世界にいる人々では、アーロンの洗脳には勝てん。アーロンの洗脳に勝てるのは君たちだけだ。ただ、今の君たちのレベルのままでは無理だ。さらに上げてもらわないとな。そのための協力は惜しまない」
「私たちの加護を最大限まであげるわ。それで成長もぐっと伸びる。そして武器と防具も用意する。だからお願い。アーロンをとめて……」
神の一人、ベラが悲しそうに伝えてくる。
「それと、君たちでもアーロンは倒せないかもしれない。だから、念のために封印石を用意しておいた。弱ってきたところでこの封印石を押しあて、呪文を唱えればアーロンは封印される」
そう言って、技能神グリムが手の平にのるくらいの石を出して渡してきた。
「俺からは武器と防具を渡そう」
武神サーノスは空間から日本刀のような刀と、剣、鎧を出してきた。
「メグミは賢者だから私が渡すわ」
魔法神レノが杖とローブを出してきた。
「これらの武器は防具は神具となっておる。武器は強力すぎるから気をつけるのじゃ」
「修行の場も用意しておる。こちらの世界とは時間軸がずれておるからの。そこの世界で一年修行しても一分しかこの世界では時間が進んでおらん。そこで修行するが良い」
ゼノムが手をかざすと何もないところに扉が現れた。
「三人とも、申し訳ないが頼んだぞ……」
そうして、三人は扉をくぐって修行の場に向かった。
その世界でどれくらいいたのだろう。ゼノム様からは身体の成長は止めておくと言われてたおかげで外見的な成長はしていない。ただ、ひらすら魔物を倒していく日々を過ごしていた。
どれくらいの期間魔物の相手をしていたかわからないほど魔物たちと戦ってきた。
それでも本当に神と同等のアーロンに勝てるかの不安からひたすらレベルを上げていった。
そして三人がその世界から出てきた。
出たと思ったところは教会だった。
そしてまだいつだったか忘れたくらい過去にあったイルスティンの教会で祈っている状態だったのだ。
「「「これは……」」」
三人は目を合わせ頷く。
神の世界で修行していた時間は、教会で祈っている時間ほどしかなかったのだ。
無言のまま三人は教会をあとにし、予約してあった宿屋の部屋に集まった。
「あれは夢じゃないよね……」
「夢じゃないと思う。ほら」
メグミに問いにユウヤはそう返した。そして神からもらった日本刀みたいな剣をアイテムボックスから出してきた。
「やはりそうだったか、俺のアイテムボックスにも鎧一式と剣が入っていた」
「私たちがやらないといけないのね……」
そうして三人はアーロンを倒すために旅立った。
◇◇◇
一年の旅をし、情報を集めながらアーロンの場所を探し当てた。
今、目の前には十五歳くらいに見える少年が一人で立っている。
周りには、アーロンを讃えるものたちが倒れている。
「これでもうお前一人だ。覚悟はいいか」
セイヤとユウヤがアーロンに向かって剣を向け、後ろではメグミが杖を構えている。
「フンッ。三人で雑魚どもを倒したからって調子にのるなよ。これでも神だ。お前らごときでは相手にならんな」
お互いの距離は十メートルとなったとき、ユウヤとセイヤは一気に攻め寄っていった。
メグミの強化魔法をかけてもらい、目に見えないスピードで向かっていく。
アーロンは両手に二本の剣を持ち立っている。
二人からの剣技を二本の剣で受け止める。
「こんなもんか……」
アーロンは一言だけ呟き剣を振り払うと、それだけでセイヤとユウヤは吹き飛ばされた。
「まじかよ……」
着地したユウヤはそう呟いた。
「あんだけレベルあげるために修行してたのに、まだこれだけ差があるのか……」
「そんなこと言っても仕方ないわよっ!」
メグミから激が飛んできた。
『獄炎地獄』
メグミがアーロンに魔法を放つ。
炎の渦がアーロンを巻き込んでいく。
炎が消えたあとには、先ほどまでと何一つ変わらないアーロンが立っていた。
「これでもなんともないなんて……」
三人とも悲壮感にかられていた。
その時、後ろから馬の蹄の音が聞こえてくる。
「みなさん、手伝いにきました!」
振り返ると、馬に乗り先頭を走り叫んだのは聖女メリネだった。
そしてその後ろには冒険者たちがあとを追ってきた。
その冒険者たちには、見覚えがあった。
三人が旅をするにあたって同じ依頼を受けたりしていた仲間たちだった。
「よう! 久々だなっ!! 手助けしにきたぜっ!」
三人はその仲間たちを見て悲壮感は消え、笑顔になるのだった。
コメント
ノベルバユーザー249689
カインくんみたいな人が3人いるんだったら意外に大丈夫そうだけど笑