引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
読めない男
ーー自分の家に帰るだけ。
お兄ちゃんはさっきそう言った。
たしかにその通りだ。私は自分の家に戻るだけでしかない。
けれど、いままで私の世話をしてくれたモンスターが、今度は敵対心を剥き出しにして襲いかかってくる。
その辛さには、どう頑張っても慣れそうになかった。
無事に空間転移を済ませたロニンとシュンは、二人同時に周囲を見渡した。
裏口。たしかにその言葉がぴたりと当てはまる。
魔王城は正面入口以外は広大な湖に囲われている。
ロニンたちが立っている場所もまた、見渡すばかりの湖に包まれていた。
魔王城の裏側に設けられた小さな足場。そこに二人は転移していた。
「ひゅう」
ロニンの緊張感など吹き飛ばすように、シュンは口笛を鳴らした。
「すげえな。本当に《秘密の場所》じゃねえかよ。……で、これからどうすんだ?」
言いながらシュンは周囲を見渡す。
そう。
転移したはいいが、魔王城への入り口があるわけでもなし、ただ足場に突っ立っているだけ。シュンには今後の展開が把握できなかった。
「えっとね……」
ロニンは魔王城の壁面をじーっと見つめると、とある三点を指先で押し込んだ。
瞬間。
ゴゴゴゴゴ……という振動音を響かせながら、壁の一部が二枚扉のように開かれた。これなら中に入ることができる。
「へぇ。こんな仕組みなんだな」
目を輝かせながら壁を触るシュン。
そんな彼を見て、ロニンは驚嘆を禁じ得ない。
魔王城とは、人間にとっては未開の地、シュンとて初めて訪れる場所のはずだ。
しかも最上階には、人類にとって最悪の敵ーー魔王が待ち構えている。
なのに、シュンの堂々たる振る舞いは変わらない。
素直にすごいと思う。
ーー私は……こんなに緊張しているのに。
その内面を見抜いたのか、シュンはさっと手を差し出してきた。
「さ、いこうぜ」
「え……?」
「え、じゃない。手を繋ぐんだ手を。おまえ、このままじゃ心臓が破裂して死ぬぞ」
「あ……」
「魔王と戦う前に死んだロニン! そんな馬鹿馬鹿しい結末は御免だぜ、俺は」
「わ、私だって嫌だもん!」
反論しながらも、ちゃっかり手を繋ぐロニンであった。
お兄ちゃんはさっきそう言った。
たしかにその通りだ。私は自分の家に戻るだけでしかない。
けれど、いままで私の世話をしてくれたモンスターが、今度は敵対心を剥き出しにして襲いかかってくる。
その辛さには、どう頑張っても慣れそうになかった。
無事に空間転移を済ませたロニンとシュンは、二人同時に周囲を見渡した。
裏口。たしかにその言葉がぴたりと当てはまる。
魔王城は正面入口以外は広大な湖に囲われている。
ロニンたちが立っている場所もまた、見渡すばかりの湖に包まれていた。
魔王城の裏側に設けられた小さな足場。そこに二人は転移していた。
「ひゅう」
ロニンの緊張感など吹き飛ばすように、シュンは口笛を鳴らした。
「すげえな。本当に《秘密の場所》じゃねえかよ。……で、これからどうすんだ?」
言いながらシュンは周囲を見渡す。
そう。
転移したはいいが、魔王城への入り口があるわけでもなし、ただ足場に突っ立っているだけ。シュンには今後の展開が把握できなかった。
「えっとね……」
ロニンは魔王城の壁面をじーっと見つめると、とある三点を指先で押し込んだ。
瞬間。
ゴゴゴゴゴ……という振動音を響かせながら、壁の一部が二枚扉のように開かれた。これなら中に入ることができる。
「へぇ。こんな仕組みなんだな」
目を輝かせながら壁を触るシュン。
そんな彼を見て、ロニンは驚嘆を禁じ得ない。
魔王城とは、人間にとっては未開の地、シュンとて初めて訪れる場所のはずだ。
しかも最上階には、人類にとって最悪の敵ーー魔王が待ち構えている。
なのに、シュンの堂々たる振る舞いは変わらない。
素直にすごいと思う。
ーー私は……こんなに緊張しているのに。
その内面を見抜いたのか、シュンはさっと手を差し出してきた。
「さ、いこうぜ」
「え……?」
「え、じゃない。手を繋ぐんだ手を。おまえ、このままじゃ心臓が破裂して死ぬぞ」
「あ……」
「魔王と戦う前に死んだロニン! そんな馬鹿馬鹿しい結末は御免だぜ、俺は」
「わ、私だって嫌だもん!」
反論しながらも、ちゃっかり手を繋ぐロニンであった。
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コメント
空白
ロニンちゃんかあいいれすねぇ