引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
おてんば魔王
母親はしばらくシュンとロニンとの間で視線をさまよわせていたが、やがてロニンに声をかけた。
「え……と、あなたはたしか、ロニンちゃんだったかしら?」
「あ、はい、お邪魔をしてます」
「あなたも学園に入りたいんだって?」
「はい。できれば……」
ーーおいおい。
シュンは心中で突っ込みを入れた。
こいつ、魔王のくせに学生になるつもりかよ。そもそも学園ってどういう場所かわかってんのか。
シュンの懸念など露知らず、母親はしばらく考え込んだのちに告げた。
「うーん、わからないけれど、たぶん大丈夫だと思うわ。村長に相談してくる」
「だ、大丈夫なのかよ……」
なんというご都合主義。信じられない。
「じゃあ、これからもうちの息子をよろしくお願いします」
「ちょ、おい……」
なにを勘違いしたのか、母親はロニンに頭を下げると、そのままどこかへといなくなってしまう。
「で、お兄ちゃん、学生ってなに?」
やっぱりわかっていないおてんば魔王だった。
★
四天王。
セルス。
そして前代の魔王。
彼らが死去したことにより、モンスター側の戦力は大幅に減少した。
いくらロニンやディストが強くとも、一般モンスターの実力は心許ないままだから。
実際にも、人間側はさらにモンスターの領土を奪いつつある。そしてそのぶん、多くのモンスターが死んでいる。
晴れて魔王となったロニンだが、彼女を出迎えたのはそんな厳しい情勢だった。このままでは確実にモンスターは滅ぶ。
そんななかで、ロニンはひとつの決断を下した。
人間側の現状を把握するべし、と。
人間がなにを企み、なにを求めているのか。それさえ掴めれば、ある程度は被害が防げる。
もちろん、勇者アルスの行動が把握できればそれに越したことはない。
そう結論づけたロニンだが、人間側の情報などどうやって知ればいいのか。思い切って王都にでも忍び込べばいいのか。
悩んだすえ、ロニンは気分転換にシュンの家を訪れた。悩んだときは毎回彼のお世話になっている。
そしてーーシュンから《学園》の説明を受けたロニンは、驚きを隠さずにいられなかった。
学園。それは王都に存在する。
ごくごく自然に、人間の情報を盗むことができるのだ。
またとないチャンス。これを逃すわけにはいかない。
「……おい」
ひとしきり学生について説明しきったシュンは、ロニンの瞳をじっと見据えた。
「おまえ、なにか企んでるな」
「あ……、やっぱりばれた?」
「見え見えだ」
適わないなあ、もう。
観念したロニンは、それらの考えをすべて、包み隠さずシュンに説明したのだった。
「え……と、あなたはたしか、ロニンちゃんだったかしら?」
「あ、はい、お邪魔をしてます」
「あなたも学園に入りたいんだって?」
「はい。できれば……」
ーーおいおい。
シュンは心中で突っ込みを入れた。
こいつ、魔王のくせに学生になるつもりかよ。そもそも学園ってどういう場所かわかってんのか。
シュンの懸念など露知らず、母親はしばらく考え込んだのちに告げた。
「うーん、わからないけれど、たぶん大丈夫だと思うわ。村長に相談してくる」
「だ、大丈夫なのかよ……」
なんというご都合主義。信じられない。
「じゃあ、これからもうちの息子をよろしくお願いします」
「ちょ、おい……」
なにを勘違いしたのか、母親はロニンに頭を下げると、そのままどこかへといなくなってしまう。
「で、お兄ちゃん、学生ってなに?」
やっぱりわかっていないおてんば魔王だった。
★
四天王。
セルス。
そして前代の魔王。
彼らが死去したことにより、モンスター側の戦力は大幅に減少した。
いくらロニンやディストが強くとも、一般モンスターの実力は心許ないままだから。
実際にも、人間側はさらにモンスターの領土を奪いつつある。そしてそのぶん、多くのモンスターが死んでいる。
晴れて魔王となったロニンだが、彼女を出迎えたのはそんな厳しい情勢だった。このままでは確実にモンスターは滅ぶ。
そんななかで、ロニンはひとつの決断を下した。
人間側の現状を把握するべし、と。
人間がなにを企み、なにを求めているのか。それさえ掴めれば、ある程度は被害が防げる。
もちろん、勇者アルスの行動が把握できればそれに越したことはない。
そう結論づけたロニンだが、人間側の情報などどうやって知ればいいのか。思い切って王都にでも忍び込べばいいのか。
悩んだすえ、ロニンは気分転換にシュンの家を訪れた。悩んだときは毎回彼のお世話になっている。
そしてーーシュンから《学園》の説明を受けたロニンは、驚きを隠さずにいられなかった。
学園。それは王都に存在する。
ごくごく自然に、人間の情報を盗むことができるのだ。
またとないチャンス。これを逃すわけにはいかない。
「……おい」
ひとしきり学生について説明しきったシュンは、ロニンの瞳をじっと見据えた。
「おまえ、なにか企んでるな」
「あ……、やっぱりばれた?」
「見え見えだ」
適わないなあ、もう。
観念したロニンは、それらの考えをすべて、包み隠さずシュンに説明したのだった。
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