引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

村人の決意

 ガチャ。 

 学生寮のドアノブをまわし、シュンはひとり、寮に戻ってきた。 

「…………」
 入寮するときは騒がしかったのに、いまの室内は憎たらしいほどに静かだった。見慣れたベッドや本棚が、無言でシュンを出迎える。

 ーーなんか、私たち、け、結婚したみたい……?

 昨晩のロニンの声が脳裏に蘇る。彼女ならばきっと、一目散にベッドにダイブしていただろう。

「ちっ……」

 舌打ちをし、シュンは制服のままベッドに寝ころんだ。
 なんとも言えぬ気分だった。

《ひとりの時間》がなによりも大好きだったのに。なにも考えずに微睡まどろんでいる時間が至福だったのに。

 なのに……
 ーー嘘だろ、この俺が……

 もう辞めたはずだった。誰かを信じるなんて。誰かを好きになるなんて。

 シュンがまだ幼かった頃、村の住職が経営する学習塾に通ったことがある。学園に行けない子どもたちは、そのような小さな塾で学習するのが習わしだ。

 シュンはいじめられた。誰よりもマイペースな性格だったから。信頼していた友人すらも、シュンを裏切った。
 だから引きこもった。人と関わるのが嫌だったから。そのほうが楽だったから。

 そのときから、誰かを信じ、好きになるのは辞めたはずだった。

 なのに、いつの間に俺は……
 俺は……

 ーーなんのことはない。
 ロニンはいつも俺に感謝していたが、その実、救われたのは俺のほうだ。

 ロニンは俺の人生に彩りをくれたのだ。ずっと引きこもっていたばかりの俺に。

 ーーこんなの、ガラじゃねえのによ。

 シュンは額に手を当て、ひとつの決意を胸に秘めた。

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