引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
かつての淫夢
夜。
急拵えで作った木製のテーブルに、さまざまな料理が並べられていた。鳥の唐揚げやサラダ、フルーツ……それはもう色とりどりで、国民たちの腹をおおいに鳴らした。
これら豪勢な料理をつくったのはロニンと、そしてセレスティアだ。
「むう……」
手際よく鉄板で肉を焼くセレスティアを、ロニンは見惚れたように眺めている。ちなみに調理器具もセレスティアが調達してくれた。
「す、すごいねセレスティアさん。お上手……」
「あら、そうでもないわよ? あなただってその胸にしてはすごく手際がいいわ」
「胸……?」
ロニンは訳がわからないといったふうに首をかしげるが、数秒後、調理具を両手に持ち、セレスティアの隣に並ぶ。
「わ、私に料理を教えてください……セレスティアさんっ」
セレスティアはしばらく目を瞬かせるも、やがてにっこり微笑んで言った。
「まさか魔王に料理教室を開くことになるとはね。ーーいいわ。あと、私のことはセレスティアでいい」
「うん!」
ロニンも笑顔で応じる。
かつて人間の調理を学びたいと願ったことがあったが、まさかこんな形で叶うことになろうとは。ロニンにとっては考えてもいなかった。
そうして丹念につくられた品々を、国民たちは無心で頬張り続けた。そこに人間もモンスターも関係ない。美味しく食事をするときの幸福感は、種族を問わないのである。
気分がよくなったのか、人間とモンスターが気兼ねなく話している様子もそこかしこに見られる。俺の物理ステータスはどうだ、とか、平気で個人の情報をさらけ出している者もいる。
ーーこれが、本来のあるべき姿だよな。
ひときわ豪勢な椅子に座りながら、シュンは国民たちの姿を眺めていた。ちなみに彼はお誕生席に着席している。
幸せそうに食事をする姿は、人間もモンスターも関係ない。互いが一歩を踏み出せば、こうしてわかりあえるはずなのだ。
感慨にふけるシュンに、ふと話しかける者がいた。
「シュン様……」
「おわっ!」
オークだった。かつての最悪な淫夢が脳裏に蘇る。
「覚えてます? ほら、あんとき無礼にもシュン様を監禁してた俺ですよ」
「お、おう、覚えてるぜ」
というより、忘れられない。
「俺ゃ人間を誤解してたみたいです。こんなに楽しい連中とは思いもしませんでした。それに……」
「んお?」
「俺たちゃ、こんなにうめえ飯を食ったのは久々なんでさ。シュン様にはもうなんとお礼を言ったらいいか……」
若干の泣き顔で迫ってくるオーク。
シュンはそんな彼を押しつけて言った。
「ま、まあそう思うなら、明日からちゃんと働いてくれや。あとこれ以上近寄るな」
「へい、頑張りやす!」
オークは最後にシュンに頭を下げると、宴会の輪に戻っていった。
急拵えで作った木製のテーブルに、さまざまな料理が並べられていた。鳥の唐揚げやサラダ、フルーツ……それはもう色とりどりで、国民たちの腹をおおいに鳴らした。
これら豪勢な料理をつくったのはロニンと、そしてセレスティアだ。
「むう……」
手際よく鉄板で肉を焼くセレスティアを、ロニンは見惚れたように眺めている。ちなみに調理器具もセレスティアが調達してくれた。
「す、すごいねセレスティアさん。お上手……」
「あら、そうでもないわよ? あなただってその胸にしてはすごく手際がいいわ」
「胸……?」
ロニンは訳がわからないといったふうに首をかしげるが、数秒後、調理具を両手に持ち、セレスティアの隣に並ぶ。
「わ、私に料理を教えてください……セレスティアさんっ」
セレスティアはしばらく目を瞬かせるも、やがてにっこり微笑んで言った。
「まさか魔王に料理教室を開くことになるとはね。ーーいいわ。あと、私のことはセレスティアでいい」
「うん!」
ロニンも笑顔で応じる。
かつて人間の調理を学びたいと願ったことがあったが、まさかこんな形で叶うことになろうとは。ロニンにとっては考えてもいなかった。
そうして丹念につくられた品々を、国民たちは無心で頬張り続けた。そこに人間もモンスターも関係ない。美味しく食事をするときの幸福感は、種族を問わないのである。
気分がよくなったのか、人間とモンスターが気兼ねなく話している様子もそこかしこに見られる。俺の物理ステータスはどうだ、とか、平気で個人の情報をさらけ出している者もいる。
ーーこれが、本来のあるべき姿だよな。
ひときわ豪勢な椅子に座りながら、シュンは国民たちの姿を眺めていた。ちなみに彼はお誕生席に着席している。
幸せそうに食事をする姿は、人間もモンスターも関係ない。互いが一歩を踏み出せば、こうしてわかりあえるはずなのだ。
感慨にふけるシュンに、ふと話しかける者がいた。
「シュン様……」
「おわっ!」
オークだった。かつての最悪な淫夢が脳裏に蘇る。
「覚えてます? ほら、あんとき無礼にもシュン様を監禁してた俺ですよ」
「お、おう、覚えてるぜ」
というより、忘れられない。
「俺ゃ人間を誤解してたみたいです。こんなに楽しい連中とは思いもしませんでした。それに……」
「んお?」
「俺たちゃ、こんなにうめえ飯を食ったのは久々なんでさ。シュン様にはもうなんとお礼を言ったらいいか……」
若干の泣き顔で迫ってくるオーク。
シュンはそんな彼を押しつけて言った。
「ま、まあそう思うなら、明日からちゃんと働いてくれや。あとこれ以上近寄るな」
「へい、頑張りやす!」
オークは最後にシュンに頭を下げると、宴会の輪に戻っていった。
コメント
ア〇シズ教の元締めの女神
お前のことが好きだったんだよ(迫真)