引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

国の宝がこんなにもいっぱい

 出産確認を無事に終え、シュンは病院を出た。妻やトルフィンともっと戯れたい気持ちはあるが、シュンは国王である。プライベートなことにばかり囚われてはいられない。

 まず田畑の偵察。
《城下町》からほど近い草原を開墾し、米や作物の栽培をモンスターに任せてある。彼らは本当によく働いてくれている。

 特に植物型モンスター《ネプト》の働きはすさまじい。通常、米は秋頃に収穫時期となるが、ネプトのおかげで、シュロン国にのみ春・秋が収穫時期となる。それでいて質もしっかりしているのだから恐ろしい。

「はは……すげえな」
 苦笑しながら、シュンは目の前に広がる田んぼを見渡した。
 地平線まで広がる田園に、程良く成長した麦が風に揺れている。そして、あちらこちらに植物型モンスター《ネプト》が両手を合わせているのが見て取れる。ネプトもロニンと同じ、人間の女の子の姿を模している。体毛が草になっているが。

「どうだ、調子は」
 シュンは近くにいたネプトに話しかけた。
「あ……王様……」
 ネプトは顔を赤らめながらシュンを見上げた。
「えへへ……はい、ばっちりです」
「ほん?」
「王様が毎日、しっかりした食事を私たちにくださるおかげです。昔よりも《祈り》が通じるようになりました」
「……なるほどな」

 少女たちが言うには、ネプトらは毎日、作物に《祈り》を捧げているらしい。そうして成長を促進させているのだと。
 まあ、それだけではなく、魔王城とシュロン国では土地の質が違う。それらいくつもの要素が、豊かな収穫に繋がっているのである。

 ネプトは変わらず頬を染めたまま、シュンに言った。
「私の仲間、みんな言ってます。王様のおかげで幸せになれたと」
「そんなこたぁないんだぜ? 頑張ってんのはおまえたちだ」

 実際、この件に関してシュンがやっているのは、大切な人材を適所に配置しているだけ。国民は実によく働いてくれている。
 人間とモンスター。
 二つの種族を協力させるだけで、思わぬ相乗効果を得たというわけだ。さすがにシュンはそこまで予想していなかった。

 シュンはネプトの頭を撫で、優しく言った。

「おまえたちは国の宝だ。これからも頑張ってくれよ」
「あ……あうあう」

 ネプトはなぜかさらに顔を赤くし、続いてぶんぶん首を縦に振った。

「わ、わわわかりました! 一族にもそのように伝えておきます!」
「おう」
「……羨ましいな、ロニン様」
「なんか言ったか?」
「な、なんでもありません!」
「そうかい」
 シュンは最後に手を振りながら、農場を後にした。

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