引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
世間の冷たさ
世間は甘くない。
セレスティアはそれを肌に感じた。
国王シュンが、悩み抜いたすえにやっと立ち上げたシュロン国。
ずっと平和を維持できると思っていた。
  このまま何事もなく、人間とモンスターは共存できるのだと思っていた。
けれど、シュロン国の国民以外は実に冷ややかだった。
ただ、争いのない世界をつくりたい。
それだけだったのに。
《争い》のほうから、足音を立ててシュンに近寄っていくのだ。
ふうううと息を吐きながら、エルノス国王が問いかけてくる。
「どうだセレスティアよ。考えはまとまったか」
「……いえ」
「お嬢様。考え直してください」
と言ったのは親衛隊のひとりだった。
「あんな野蛮な種族と暮らすなんておかしいですよ。私たちは誉れ高き人間ではありませんか」
「違うわ。モンスターは野蛮な種族じゃない……!」
「……どうしてですか。お嬢様だって、つい最近まではモンスターを敵対視していたのに……!」
ーーそう。彼の言う通りだ。
私は二年半前まで、モンスターを絶対悪と見なしていた。だからこそ多くの騎士を従え、魔王城に殴り込みをかけたのだ。
きっと、わからないのである。実際にモンスターと寝食を共にし、彼らと接してみないことには、モンスターの本質はわからないのだ。だからこそ、人間たちはいまだにモンスターに敵愾心を抱いている。
だが、そんな人間たちを愚かだとは言えまいーー
セレスティアとて、以前までは彼らとまったく同じ意見だったのだから。
「……まあよい。セレスティアよ、部屋から出ていくがよい」
と国王は言った。
「シュンを選ぶか、はてはシュロン国を選ぶかはそなたに任せよう。健闘を、祈っておるぞ」
そうしてセレスティアは、半ば追い出されるようにして、宮居を後にしたのであった。
セレスティアはそれを肌に感じた。
国王シュンが、悩み抜いたすえにやっと立ち上げたシュロン国。
ずっと平和を維持できると思っていた。
  このまま何事もなく、人間とモンスターは共存できるのだと思っていた。
けれど、シュロン国の国民以外は実に冷ややかだった。
ただ、争いのない世界をつくりたい。
それだけだったのに。
《争い》のほうから、足音を立ててシュンに近寄っていくのだ。
ふうううと息を吐きながら、エルノス国王が問いかけてくる。
「どうだセレスティアよ。考えはまとまったか」
「……いえ」
「お嬢様。考え直してください」
と言ったのは親衛隊のひとりだった。
「あんな野蛮な種族と暮らすなんておかしいですよ。私たちは誉れ高き人間ではありませんか」
「違うわ。モンスターは野蛮な種族じゃない……!」
「……どうしてですか。お嬢様だって、つい最近まではモンスターを敵対視していたのに……!」
ーーそう。彼の言う通りだ。
私は二年半前まで、モンスターを絶対悪と見なしていた。だからこそ多くの騎士を従え、魔王城に殴り込みをかけたのだ。
きっと、わからないのである。実際にモンスターと寝食を共にし、彼らと接してみないことには、モンスターの本質はわからないのだ。だからこそ、人間たちはいまだにモンスターに敵愾心を抱いている。
だが、そんな人間たちを愚かだとは言えまいーー
セレスティアとて、以前までは彼らとまったく同じ意見だったのだから。
「……まあよい。セレスティアよ、部屋から出ていくがよい」
と国王は言った。
「シュンを選ぶか、はてはシュロン国を選ぶかはそなたに任せよう。健闘を、祈っておるぞ」
そうしてセレスティアは、半ば追い出されるようにして、宮居を後にしたのであった。
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