引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

胸を大きくする方法

 セレスティアの突然の申し出。
 もちろん断る理由はない。
 だがシュンは、ある種の予感めいたものを感じ取っていた。

 セレスティアにとって、ここ王城は生まれ故郷のはず。仲の良かった部下もいるだろうし、皇女としてやるべきこともあるはずだ。

 なのに。
 それらすべて捨て置いて、シュンとロニンの客室にやってきた。しかも今夜はここで寝るという。部屋の大きさだけを鑑みれば、三人で寝泊まりするに足る大きさはあるのだが……

 考えうる可能性はひとつ。
 彼女はなんらかの《仕事》でここにやってきたということだ。

 たとえば。
 シュンやロニンを暗殺するーーとか。
 抜け目のないエルノス国王のことだ、そうやってセレスティアをたらしこんだ可能性はある。今日王都にやってきた三人のうち、最も付け入る隙があるのはセレスティアに他ならない。

「…………」
 そこまで考えたとき、シュンは思考を辞めた。
 セレスティアとて立派なシュロン国の国民だ。
 王として、部下のことくらいは信じてやらねばなるまい。

 シュンはいつものへらへら笑いを浮かべながら、ロニンの頭をぽんと叩いてみせた。
「いいぜ。このガキんちょがうっせーから、相手してくんねえか」
「ガ、ガキ……」

 ロニンがぷくーっと頬を膨らませる。

「あら。ロニンちゃんはもう立派な大人よ。料理もうまいんだから」
「ね! そうだよねティアちゃん!」
 そのようにして、明日の《褒美》を受け取るときまで、セレスティアも部屋に加わったのであった。



「それにしても、ロニンちゃん」
「ん?」
「モンスターの食事のなかに、胸が大きくなるものってあるのかしら?」
「えっ……わ、わからないけれど」
「そうなの? 人型モンスターの女の子って、その……大きい子多くない?」
「ま、まあ言われてみれば……」
「なんの話をしてンだてめーらは」

 ベッドでひそひそしていた女子トークに、のっそり入り込む国王シュン。

「あ、シュンさんいまは女子限定のお話だよ!」
「だったら俺の耳に聞こえる声で話すなよ……」 

 そのとき。
 ーーコンコン。
 ふいにドアがノックされた。
「失礼致します。お食事物を持って参りました」
「わーご飯だご飯!」
 ロニンが喜んでドアを開け、トレーに乗った食事を受け取った。

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