引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
この気持ちは嘘じゃない
「で、出会えー! 者どもー!」
騎士のひとりが我に返ったように叫び声をあげる。
「こやつはエルノス国王様を殺害した! いかに皇女様といえど許しておけぬ!」
ーーきたか。
セレスティアは油断なく構えながら、騎士たちの攻撃に備えた。
エルノス国王とは違い、一般の騎士たちに私怨はない。できれば無駄な戦いは避けたいところだが、騎士たちは問答無用でセレスティアを取り囲んでくる。こちらがいかに言葉を尽くしても、おそらく聞く耳を持たないだろう。
「殺せ、殺せー!」
「出入り口は塞げ! 逃げ道をつくるな!」
ーー戦うしかないか。
このまま放っておけば、外からも援軍を呼び出されるだろう。そうなる前に決着をつけなければ……
「その心配はいらないよ」
ふわり、と。
空を舞うように、魔王ロニンがセレスティアの背後に着地した。どうやらここまで大ジャンプしてきたらしい。
「ロニンちゃん……どうするの?」
「ま、見ててよ」
ロニンは片手を空に掲げ、はっ! と気合いを込めた。
瞬間、セレスティアやロニン、騎士たちを丸ごと巨大な光が包み込んだ。視界が目映い輝きに覆い尽くされ、なにも見えなくなる。
「こ、これは……」
セレスティアはひとり呟いた。
この魔法には見覚えがあった。きっと、この場にいた全員をどこかに《ワープ》させたのだろう。
数秒後、光が失せたときには、セレスティアたちはもう謁見の間にはいなかった。
「ここは、まさか……」
知らず知らずのうちにひとりごちてしまう。
いまは無人の魔王城、その城下町。
そこに飛ばされていたのである。
「…………」
セレスティアが呆気に取られていると、ふいに背後のロニンが言った。
「ねえ、セレスティア。二年半前のこと、覚えてる?」
「え? う、うん。人間とモンスターが戦争して、それをシュンが止めて……」
「そう。あのときもね、シュンさんは誰も殺してなかった。すっごい力で、一気に人間を無力化した」
「…………」
あのときのことは嫌というほど覚えている。
当時は一学生に過ぎなかったシュンだが、彼はその圧倒的な力で人間軍を瞬時に屈服させた。あのときの衝撃はいまでも忘れられない。
「私はシュンさんみたいになれないかもしれないけれど……でも、尊敬してるの。彼を」
「そう……。好きなんだね」
「えっ? う、うん、まあ……そうだね」
こんなときに頬を赤らめる魔王ロニンに、セレスティアは苦笑を禁じえなかった。
だけどその気持ちもわかる。
セレスティアも好きになってしまったのだ。彼の強さと、そして優しさに。
その気持ちは決して嘘ではない。
セレスティアは深く息を吸い込むと、気合いを込めて叫んだ。
「わかったわ。シュンみたいにうまくできるかわからないけど……死者を出さないように頑張りましょう!」
「ーーうん!」
そうして、魔王と皇女の共闘が幕を開けた。
騎士のひとりが我に返ったように叫び声をあげる。
「こやつはエルノス国王様を殺害した! いかに皇女様といえど許しておけぬ!」
ーーきたか。
セレスティアは油断なく構えながら、騎士たちの攻撃に備えた。
エルノス国王とは違い、一般の騎士たちに私怨はない。できれば無駄な戦いは避けたいところだが、騎士たちは問答無用でセレスティアを取り囲んでくる。こちらがいかに言葉を尽くしても、おそらく聞く耳を持たないだろう。
「殺せ、殺せー!」
「出入り口は塞げ! 逃げ道をつくるな!」
ーー戦うしかないか。
このまま放っておけば、外からも援軍を呼び出されるだろう。そうなる前に決着をつけなければ……
「その心配はいらないよ」
ふわり、と。
空を舞うように、魔王ロニンがセレスティアの背後に着地した。どうやらここまで大ジャンプしてきたらしい。
「ロニンちゃん……どうするの?」
「ま、見ててよ」
ロニンは片手を空に掲げ、はっ! と気合いを込めた。
瞬間、セレスティアやロニン、騎士たちを丸ごと巨大な光が包み込んだ。視界が目映い輝きに覆い尽くされ、なにも見えなくなる。
「こ、これは……」
セレスティアはひとり呟いた。
この魔法には見覚えがあった。きっと、この場にいた全員をどこかに《ワープ》させたのだろう。
数秒後、光が失せたときには、セレスティアたちはもう謁見の間にはいなかった。
「ここは、まさか……」
知らず知らずのうちにひとりごちてしまう。
いまは無人の魔王城、その城下町。
そこに飛ばされていたのである。
「…………」
セレスティアが呆気に取られていると、ふいに背後のロニンが言った。
「ねえ、セレスティア。二年半前のこと、覚えてる?」
「え? う、うん。人間とモンスターが戦争して、それをシュンが止めて……」
「そう。あのときもね、シュンさんは誰も殺してなかった。すっごい力で、一気に人間を無力化した」
「…………」
あのときのことは嫌というほど覚えている。
当時は一学生に過ぎなかったシュンだが、彼はその圧倒的な力で人間軍を瞬時に屈服させた。あのときの衝撃はいまでも忘れられない。
「私はシュンさんみたいになれないかもしれないけれど……でも、尊敬してるの。彼を」
「そう……。好きなんだね」
「えっ? う、うん、まあ……そうだね」
こんなときに頬を赤らめる魔王ロニンに、セレスティアは苦笑を禁じえなかった。
だけどその気持ちもわかる。
セレスティアも好きになってしまったのだ。彼の強さと、そして優しさに。
その気持ちは決して嘘ではない。
セレスティアは深く息を吸い込むと、気合いを込めて叫んだ。
「わかったわ。シュンみたいにうまくできるかわからないけど……死者を出さないように頑張りましょう!」
「ーーうん!」
そうして、魔王と皇女の共闘が幕を開けた。
コメント