引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―

魔法少女どま子

お手合わせ(意味深じゃないほう)

 秘密を暴露したことで、結果的には心の距離を縮めることに成功したようだ。心なしか、リュアの表情がほころんでいる。さっきまでのような堅苦しさはない。

 ――ああ、なんてピュアなんだ。
 リュアの純粋さに、トルフィンは舌を巻かずにはいられない。自分にもこのような時期があったのだろうか。

 そんなことを考えながら、トルフィンは好奇心のまま訊ねた。

「俺の秘密を教えた代わりに……教えてほしいことがある」
「へ?」
「君が昔、友達に嫌われるようになった理由さ。差し支えなければ教えてほしい」

 リュアが驚きに目を見開く。

「な、なんで、私の昔のこと知ってるの……?」
「あ」
 トルフィンは思わず素の声を出してしまった。

 そういえばそうだ。
 トルフィンはあくまでリュアの過去を《推測》していただけ。彼女自身からそれを告げられたわけではない。
 たいした推理をしたわけではないが、幼い子にとっては衝撃的だろう。

「さ、さっきも言ったろ。俺は六歳じゃないんだ。こういうのもわかっちまうんだよ」
「す、すごい、トルフィンくん……」

 リュアが尊敬の眼差しで見つめてくる。
 ――や、やめてくれ、そんなピュアな瞳で見ないでくれ。なんか心が痛い。
 トルフィンが自責の念に駆られていると、リュアは決意したように話し始めた。

「私のお父さん、《騎士団長》っていう仕事してるから……私も教えてもらってるの。剣の使い方を」
「へぇ」
「だから喧嘩したとき……私、思いっきり友達を怖い目に遭わせちゃって。お父さんと謝りにいったけど、もうみんな、怖がって近寄ってくれない……」

 ――な、なるほど。可愛い見た目に反してかなりお強いようだ。騎士長の娘というから、それも当たり前か。

 リュアが心配そうにちらちらと視線を向けてくる。

「トルフィンくん。やっぱり私のこと、嫌いにならない……?」
「何度も言わせるな。ならねえよ」
「よかった……」
「なら、一丁お手合わせといくか?」
「え?」
「軽く打ち合いをしてみようぜ。これから入学式だし、かるーくだけど」
「いいけど……大丈夫なの? 私、強いよ?」
「はは。大丈夫さ。俺だって強い」

 興味があった。
 シュンやロニンに《強い強い》と誉め称えられた自分は、実際どれくらい強いのか。当然、実践などしたことがないからわからないのだ。

 リュアはなおも悩んでいたようだが、遠慮がちに頷いた。

「わかった。ちょっとだけなら……」
「おう。そしたら木剣借りてくる。ちょっと待っててくれ」

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