引きこもりLv.999の国づくり! ―最強ステータスで世界統一します―
謎の勢力
まさに地獄絵図だった。
その《村》に生存者はいなかった。すべての者が死んでいた。
――大量虐殺。
その言葉がぴたりと当てはまる。
ロニンに急かされ、生まれ故郷にワープしてきたシュンは、どこか他人事のようにそう考えていた。
みなが惨い死を遂げている。
すべての村人が、ばらばらに身体を引きちぎられている。
そこかしこに人体の一部が落ちているのだ。
それでいて、建物も丸ごと破壊されている。草木に至っては燃やし尽くされ、あらん限りの破壊の跡が見て取れる。
「こ、ここは……?」
一緒に連れて来られたトルフィンが、驚きに目を見開く。
本来ならば子どもに見せて良い光景ではない。だがトルフィンに限っては精神年齢が成人を超えているため、子どものように泣き叫んだりはしない。
「俺の……故郷だ……!」
両膝をつき、地面を殴りつけるシュン。
たとえ荒れ地になっていたとしても、見間違えるはずがない。
ここは確かに、かつてシュンが生まれ、そして引きこもり生活を享受した、懐かしの故郷である。
それが見事に破壊し尽くされている。
特に被害が甚大なのは、シュンが住んでいた家屋だ。跡形もなく燃やされている。
夫の背中を抱きながら、ロニンが呟いた。
「遅かった……ここに悪魔の気配がしたから、もしかしてと思ったけど……」
「悪魔……? 母さん、これは悪魔の仕業だってのか?」
「……いや。違うな。ちゃんと見てみろ」
シュンが代わりに答えると、トルフィンは言われた通りに村全体を見渡した。
「……わからねぇか。死体は全部、綺麗に切り刻まれてんだよ。十中八九、剣に斬られてる。悪魔の仕業じゃねえ」
「で、でもシュンさん、私、確かにここで悪魔の気配を……!」
「そうだな。そこが気がかりだ。……俺たちの知らないところで、なにかが起きてる」
シュンの実家が重点的に壊されていたところを見ても、これは怨恨の可能性が高い。シュンに恨みを抱く何者かが村を襲撃したのだ。
正直なところ、シュンには思い当たる節が沢山ある。国王という立場上、誰かに恨まれてしまうのはどうしても仕方ないのだ。
そこまで考えて、シュンは思わず薄い笑みを浮かべた。
自分の故郷、そして両親が殺されてしまったというのに、ここまで冷静でいられるとは。
これも国王という地位に就いたからか。俺もずいぶんと変わったもんだ。
「シュンさん。私、できることは全部協力するから。たまには頼ってよ」
「……俺も息子ながら協力しよう。なんつったってほぼ同い年だもんな」
「はっ。一丁前なクチきいてくれんじゃねえか。……でもありがとよ」
シュンは片手ずつ、妻と息子の頭を撫でると、そのまま立ち上がった。
「俺ゃあ大丈夫だ。さっさと村人たちの供養しようぜ。こんな惨い光景、もう見たくねえ」
その《村》に生存者はいなかった。すべての者が死んでいた。
――大量虐殺。
その言葉がぴたりと当てはまる。
ロニンに急かされ、生まれ故郷にワープしてきたシュンは、どこか他人事のようにそう考えていた。
みなが惨い死を遂げている。
すべての村人が、ばらばらに身体を引きちぎられている。
そこかしこに人体の一部が落ちているのだ。
それでいて、建物も丸ごと破壊されている。草木に至っては燃やし尽くされ、あらん限りの破壊の跡が見て取れる。
「こ、ここは……?」
一緒に連れて来られたトルフィンが、驚きに目を見開く。
本来ならば子どもに見せて良い光景ではない。だがトルフィンに限っては精神年齢が成人を超えているため、子どものように泣き叫んだりはしない。
「俺の……故郷だ……!」
両膝をつき、地面を殴りつけるシュン。
たとえ荒れ地になっていたとしても、見間違えるはずがない。
ここは確かに、かつてシュンが生まれ、そして引きこもり生活を享受した、懐かしの故郷である。
それが見事に破壊し尽くされている。
特に被害が甚大なのは、シュンが住んでいた家屋だ。跡形もなく燃やされている。
夫の背中を抱きながら、ロニンが呟いた。
「遅かった……ここに悪魔の気配がしたから、もしかしてと思ったけど……」
「悪魔……? 母さん、これは悪魔の仕業だってのか?」
「……いや。違うな。ちゃんと見てみろ」
シュンが代わりに答えると、トルフィンは言われた通りに村全体を見渡した。
「……わからねぇか。死体は全部、綺麗に切り刻まれてんだよ。十中八九、剣に斬られてる。悪魔の仕業じゃねえ」
「で、でもシュンさん、私、確かにここで悪魔の気配を……!」
「そうだな。そこが気がかりだ。……俺たちの知らないところで、なにかが起きてる」
シュンの実家が重点的に壊されていたところを見ても、これは怨恨の可能性が高い。シュンに恨みを抱く何者かが村を襲撃したのだ。
正直なところ、シュンには思い当たる節が沢山ある。国王という立場上、誰かに恨まれてしまうのはどうしても仕方ないのだ。
そこまで考えて、シュンは思わず薄い笑みを浮かべた。
自分の故郷、そして両親が殺されてしまったというのに、ここまで冷静でいられるとは。
これも国王という地位に就いたからか。俺もずいぶんと変わったもんだ。
「シュンさん。私、できることは全部協力するから。たまには頼ってよ」
「……俺も息子ながら協力しよう。なんつったってほぼ同い年だもんな」
「はっ。一丁前なクチきいてくれんじゃねえか。……でもありがとよ」
シュンは片手ずつ、妻と息子の頭を撫でると、そのまま立ち上がった。
「俺ゃあ大丈夫だ。さっさと村人たちの供養しようぜ。こんな惨い光景、もう見たくねえ」
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